岡田兼宜プロデュースによる創作と古典のパ・ド・ドゥ
- ワールドレポート
- 大阪・名古屋
掲載
ワールドレポート/大阪・名古屋
- すずな あつこ
- text by Atsuko Suzuna
岡田兼宜:演出・振付『Mother Road』『BE REAL』ほか
岡田兼宜Ballet&Modern Dance「BE REAL」
バレンタイン・デーに行われた岡田兼宜プロデュースの舞台。彼の仲間たちと言えるダンサーたちと共に、クラシックのパ・ド・ドゥから彼自身が振付けた創作作品までを見せてくれた。
幕開けは涌田美紀と末原雅広によるフレッシュな魅力の『ダイアナとアクティオン』のグラン・パ・ド・ドゥ。末原は高度なテクニックを自然な笑顔でイキイキと。涌田は丁寧に品も感じさせ丁寧にダイアナを踊った。続いては岡田兼宜振付の『Mother Road』。12人のダンサーによる踊りで、母なる道とでも言うような"道"を表した作品。男女の恋模様のようなものも織り込みながら見せた。
板東ゆう子と山口章の『ジゼル』2幕よりグラン・パ・ド・ドゥは、大人の魅力を持った丁寧な踊り。板東はこれまで、もっとハッキリしたタイプの踊りに向いているイメージを私は持っていたのだが、もともと基礎的な力のある人、表現に集中していたのが感じられ好感が持てた。
そして最後は、岡田兼宜振付『BE REAL』。舞台中央に組まれたイントレを効果的に使った女性4人、男性6人のダンス。岡田が踊る存在は、動物のように生まれ、明るい調子のダンスをする人たちには溶け込みきらずに、何かを探し続けている──そんな孤高な存在に見えた。ラストはイントレのてっぺんで、希望に向かって手を高く伸ばす・・・。いつもダンサーとして観て来た彼は、こんな作品を創る人だったんだと心の内側を少しだけ覗いたような気分になった。
(2010年2月14日 豊中市民会館 大ホール)
撮影:岡村昌夫(テス大阪)/李亜衣(テス大阪)