法村珠里のオーロラ姫と奥村康祐のデジレ、喜びの溢れる『眠れる森の美女』
- ワールドレポート
- 大阪・名古屋
掲載
ワールドレポート/大阪・名古屋
- すずな あつこ
- text by Atsuko Suzuna
法村牧緒:演出・振付
法村友井バレエ団
法村珠里と奥村康祐が、オーロラ姫とデジーレ王子を踊った『眠れる森の美女』。フロレスタン24世を法村牧緒、王妃を宮本東代子と現実の父母が演じていたのも微笑ましい。
プロローグ、6人の妖精はそれぞれ適材適所で個性が出ていて良かった。特にリラの精の松岡愛は、物語の雰囲気を作ることが出来る人で貴重だ。1幕、法村珠里の明るく華やかな姿は幸せなお姫様そのもの。脚は高くジャンプの形も開いていて美しい。ローズ・アダージオでのバランスが若干崩れたのが残念だが、4人の王子とのパートナーとしての相性の問題かも知れない。
2幕、登場する奥村は、にこやかで気品があり何の困り事もない王子様というのが自然に感じられた。
3幕、中尾早織と大野晃弘の長靴を履いた猫の踊りは、中尾の表情が多彩で茶目っ気たっぷり、パも伸びやかでまず眼を奪われる。そして青い鳥のパ・ド・ドゥがまた良い。フロリナ王女の高田万里の美しい脚での高いアラセゴンが眼に焼き付くラインのきれいな踊りで、知的な大人の魅力が良い。この役は可愛い雰囲気で踊られる場合が多いが、まったく違ってとても新鮮だった。青い鳥の吉田旭もフレッシュで伸びやか、彼のここ1年ほどの日々の成長の早さを実感した。
そして、オーロラ姫とデジーレ王子のグラン・パ・ド・ドゥ。とにかく2人の作り出すポーズは、それぞれそのまま絵になる美しさ。2人とも高いバレエテクニックを持っている上に、溢れる喜びを無邪気に表す王子と可愛らしく柔らかい輝くようなお姫様──童話の主人公そのままに感じられた。
(2010年2月20日 メイシアター 大ホール)
撮影:尾鼻文雄