上杉真由率いる"niconomiel"の旗揚げ公演──ヘアショーのような、ファッションショーのようなダンス
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ワールドレポート/大阪・名古屋
すずな あつこ Text by Atsuko Suzuna
niconomiel ニコノミエル
『幸食い虫の涙』上杉真由;演出・振付
岡本博雄バレエ出身で大阪芸術大学を卒業、現在、クラシック・バレエだけでなくコンテンポラリー・ダンスの振付でも光るものを見せる上杉真由が、プロダンサーと言える女性たちとともに旗揚げしたダンスカンパニー"niconomiel"="ニコノミエル"。その第1回目の公演が行われた。"niconomiel"とは、「xeno(異端)」、「nihil(無い)」、「mico(輝き)の3つを語呂合わせした造語だという。
ともに踊ったのは、全員がバレエの基礎を持つ女性たちで、モデルとしても活躍する石井真彩子、ミュージカル女優の田中遙、ミス・ユニバースジャパン広島ファイナリストでもある寺倉礼那、バレエコンクールでの数々の実績を持つ中津文花。
そんなメンバーが取り組んだのは『幸食い虫の涙』。上杉真由が振付し、ヘアスタイリストのからつさわこ、デザイナーのVanilla Ryoukoと共同制作した。「ヘアショーのような、ファッションショーのような、ダンス公演」とプログラムにあるが、オリジナリティ豊かなヘアアレンジやファッションをバレエで鍛えられた身体のダンサーたちが着こなして動く、そんなコラボが心地よく感じられる仕上がり。
洋服でもなんでも、手に入れても、手に入れても、まだ欲しくなる、得ても得ても、満たされない・・・そんな気持ちをせつなさを持って描いた。「そんなにいらないんじゃない?」と優しく語りかけるような感じ。上杉真由は、これまでに輪廻転生といった仏教に関連するテーマに良い作品を振付けているが、今回の作品も根底に仏教の考え方が、さりげなく流れているような気がした。だが、ストレートにそれを言うのではなく、センス良く、ダンサーそれぞれの個性、一人一人違った可愛らしさを上手く活かして構成。約1時間ほどの作品だったが、あっという間に感じられた。
『幸食い虫の涙』撮影:川口春瑠
(2018年5月19日 一心寺シアター倶楽トライアウトスペース)
撮影:川野伸二
撮影:川野伸二
撮影:川口春瑠
撮影:川口春瑠
撮影:川口春瑠
撮影:川野伸二