関西風のコミカルなタッチの『卒業記念舞踏会』、癒される暖かな雰囲気の『やさしいひとたち』
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- 大阪・名古屋
掲載
ワールドレポート/大阪・名古屋
- すずな あつこ
- text by Atsuko Suzuna
カンパニーでこぼこ
『卒業記念舞踏会』『やさしいひとたち』脇塚力;振付ほか
14回目を迎えたカンパニーでこぼこの公演は、主宰の脇塚力振付の『やさしいひとたち』『卒業記念舞踏会』と、『ライモンダ』、『ラ・シルフィード』の4演目のプログラム。
まず、最初に上演されたのは、コール・ド・バレエや民族舞踊付きの『ライモンダ』3幕からで、ライモンダ&ジャン・ド・ブリエンヌを踊ったのは中山恵美子&高須佑治。中山は昨年の公演『しあわせの王子』のツバメ役での素直な演技が印象に残っているダンサー。今回、まったく違うタイプの役柄だが、やはり素直で晴れやかな魅力、それは屈託がなくてとても良いのだけれど、この役は特にこの場面、もう少し音楽に合う憂いがあったらさらに良かったように思う。ちなみに民族舞踊の中心は三股ナナエと脇塚力で、大人だからこその表現力が感じられた。
次には、脇塚力振付の『やさしいひとたち』。靴屋の夫婦(デイビッド・デ・ピューリーと岡田智子)のもとを夜中に訪れ、靴を作ってくれる小人たち。ピューリーと岡田の記号的な踊りと、小人たちを踊った子供たちの伸び伸びとした踊りで、昨年の『しあわせの王子』に続くあたたかい作品に癒やされた。
『ライモンダ』中山恵美子
撮影:テス大阪(すべて)
続いては、スコティッシュ・バレエのプリンシパルとして活躍していた佐藤智美と脇塚力を中心とした『ラ・シルフィード』の2幕から。佐藤の踊りは品があって、動きにとても美しいフワッとした余韻、そして香りがある、本当に素敵なシルフィードだと感じた。
ラストは脇塚力が振付けた『卒業記念舞踏会』。さまざまな性格の女学生や士官候補生たちを、それぞれのダンサーが活き活きと表現し、関西らしく、フェッテ競争もたっぷりと楽しませた。女校長の郷原信裕も良い味。コミカルなものをあたたかく楽しく上演するのが得意なカンパニーでこぼこならではで、この演目はうってつけだった。
(2016年5月1日 いたみホール)
『ライモンダ』中山恵美子、高須佑治
『やさしいひとたち』
『やさしいひとたち』
『ラ・シルフィード』佐藤智美
『ラ・シルフィード』佐藤智美、脇塚力
『卒業記念舞踏会』郷原信裕
『卒業記念舞踏会』
撮影:テス大阪(すべて)