『ショピニアーナ』と『フェアリードール』を上演──バレエ協会関西支部主催バレエ芸術劇場
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ワールドレポート/大阪・名古屋
- すずな あつこ
- text by Atsuko Suzuna
バレエ協会関西支部「バレエ芸術劇場」
『ショピニアーナ』M・フォーキン:振付、『フェアリードール』M.G.レガット、S.G.レガット:振付
バレエ協会関西支部主催の「バレエ芸術劇場」。43回目となった今回の演目は、『ショピニアーナ』と『フェアリードール』の2つ。特に『フェアリードール』は、ロシアのワガノワ・バレエ・アカデミーのレパートリーを、22年前にこのバレエ芸術劇場の第21回で日本初演した。同協会にとって思い出深い作品だ。その後、第31回にも上演されており、今回3回目の上演となる。
幕開けはまず『ショピニアーナ』。慎ましく清らかな "白" のコール・ド・バレエは、いつ観てもバレエの魅力が凝縮されているように感じられる。今回のダンサーたちがワガノワ・メソッドを大切にレッスンして丁寧に踊っていたのに好感が持てた。
ソリストはさすがに実力あるダンサーたちが選ばれていて、ワルツの堀端三由季の柔らかな踊り、プレリュードの松本真由美の知性と柔らかさを併せ持った踊り、そしてマズルカの安積瑠璃子は "白" の世界ながら、小さな白い花というよりは存在感のあるた大輪の輝き。夜に遊ぶ妖精には、こんな魅力もありだなと思いながら観た。パートナーのアンドリュー・エルフィンストンは、他の女性ソリストたちに比べて、この作品に不慣れな印象も受けたが、端正にこなしていた。
『ショピニアーナ』撮影:古都栄二(テス大阪)
『ショピニアーナ』撮影:田中 聡(テス大阪)
『ショピニアーナ』撮影:古都栄二(テス大阪) osaka1603a_2387.jpg
そして『フェアリードール』。タイトルロールのフェアリードール役は井澤照予。昨年末に発表された文化庁芸術祭で新人賞に選ばれたダンサーで、受賞対象の役も『コッペリア』のスワニルダで2幕の人形ぶりが印象的だったのだが、今回も人形役。美しい身体のライン、高いバレエテクニックの上に甘くチャーミングな魅力を持ったダンサー。彼女の踊りには"香り"がある。
ピエロ人形の青木崇と末原雅広も高いテクニックを駆使して舞台を盛り上げた。物語の要、夜中に店に閉じ込められてしまう(それで夜に人形たちが踊りを楽しむのを観る)雑用係りの店員役は佐々木嶺。きちんとしたバレエの基礎の上に、自然な表現力、これからぜひ良い成長をと、楽しみなジュニア。また、この作品は人形たちが踊り出すということで、さまざまなダンサーにソロの見せ場がある。うさぎの太鼓叩き人形の太田朱音の清らかさも感じられる可愛らしさをはじめ、中国人形の林田まりや、フランス人形の木岡多真美、スペイン人形の平林万里、日本人形の株田佳香、こわれた人形の前原唯乃、チロル人形の長尾美花、ママー人形の長島由佳などがそれぞれの個性を活かした魅力で楽しませてくれた。
(2016年1月30日 フェスティバルホール)
『フェアリードール』
撮影:岡村昌夫(テス大阪)
『フェアリードール』撮影:古都栄二(テス大阪)
『フェアリードール』撮影:古都栄二(テス大阪)
『フェアリードール』撮影:古都栄二(テス大阪)
『フェアリードール』撮影:古都栄二(テス大阪)
『フェアリードール』撮影:古都栄二(テス大阪)
『フェアリードール』撮影:古都栄二(テス大阪)