越智久美子、ソロマハ、越智友則、シャイタノワ、大下結美花などが華やかに昼夜を踊り分けた

ワールドレポート
大阪・名古屋

2016/2/10掲載

ワールドレポート／大阪・名古屋

すずなあつこ: text by Atsuko Suzuna

越智インターナショナルバレエ

『くるみ割り人形』ワレリー・コフトン、タチアナ・タヤキナ：振付

キエフ・バレエの往年の大スター・故ワレリー・コフトンの演出・振付を元に、タチヤナ・タヤキナが振付けた『くるみ割り人形』。昼夜、キャストを変えて上演された。基本的にオーソドックスな演出なのだが、はじめに幕前で主要キャストがポーズを取り役名などの紹介があって初めて観る方にも分かりやすくなっていたり、この会場に花道があることを活かして、パーティーへの客人たちが花道を通るなどオリジナリティを持った工夫も随所に凝らされていた。

昼公演のキャストは、少女クララを加藤子々、くるみ割り人形が王子（ワディム・ソロマハ）に変わって、冬の松林に向かうところからオレシア・シャイタノワ、そして金平糖の精としてグラン・パ・ド・ドゥを踊るのは越智久美子。夜公演は、少女クララを土井ありさ、冬の松林から最後のグラン・パ・ド・ドゥまでをクララ・大下結美花、王子・越智友則。私は昼公演を鑑賞した。
少女クララとフリッツ（後藤旭）は、大人のダンサーが演じるのではなく本当の子ども、観ている子どもたちには身近に感じられたのではないだろうか。

『くるみ割り人形』昼　クララ：オレシア・シャイタノワ、王子：ワディム・ソロマハ　撮影：田中聡（テス大阪）

オレシア・シャイタノワ、ワディム・ソロマハ
撮影：田中聡（テス大阪）

夜のくるみ割り人形とネズミの戦いが終わると、クララ＆王子はオレシアとワディムに。オレシアは優しげな表情、なめらかで羽が生えたような軽やな動き、ワディムもしっかりとしたバレエテクニックと自然な演技、二人のプロらしい息の合った踊りで気持ちよく物語に引き込んでくれた。
２幕は小さな天使たちのシーンからお菓子の国へ。ディベルティスマンが楽しく繰り広げられた後は、越智久美子とワディムが踊る金平糖のグラン・パ・ド・ドゥ。丁寧で夢見るような越智の金平糖、ソロマハの喜びが溢れるような美しいアントルシャで、華やかにクライマックスを盛り上げた。
（2015年12月25日昼　日本特殊陶業市民会館ビレッジホール）

『くるみ割り人形』王子：越智友則　撮影：田中聡（テス大阪）