ダンサーのハートには様々な音楽があり、それが心と身体と魂を通して足へ現れてくる: ジェイソン・E・バーナード=インタビュー

ワールドレポート/ニューヨーク

インタビュー=ブルーシャ西村

Jason.E.Bernard

1981年3月11日、ニューヨーク、ブロンクス生まれ
タップ・ダンサー、タップ・ダンス教師

Q:まず初めにお聞きしますが、どのようにダンスを始めましたか。

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Jason:私は6歳の時にダンスを習い始めました。姉がダンス・スクールで習っていたので、その影響です。当時はマンハッタンのハーレム、125丁目にあって、ルース・ウィリアムス・ダンス・スクールというところでした。
両親が最初は姉にダンス・スクールで学ぶことをすすめて、姉と私をここに連れて通っていました。私は5歳頃、姉についていって、そのダンス・スクールにいつも居ました。その私の姿を見て、両親は私に「あなたも来年からここでダンスのクラスを受けるほうがいい」 とすすめました。翌年の6歳からダンス・スクールで学び始めて、それ以来34年間ずっとダンスを続けています。

Q:あなたはタップ・ダンスのクラスを受けていましたか。

Jason:はい。タップ・ダンスのみです。私はタップ・ダンスの音が大好きで、とても楽しいからです。

Q:このダンス・スクールは現在もありますか。

Jason:いいえ、今はもうないです。10年前くらいに閉鎖しました。オーナーが亡くなり、その後はスクールを維持するのが難しかったからです。

Q:あなたのお姉様はダンサーですか。

J:いいえ、姉はもうダンスをやっていないです。彼女は学校の教師です。でもダンスを学んで知っていることは、他のあらゆる仕事、例えば学校の教師の仕事にも常に何かの助けになりますし、ダンスで培った知識や経験を人生全体で生かすことが出来ます。より良いダンス教師になるだけではなく、より良い学校の教師になることが出来ます。

Q:タップ・ダンスはダイエットにも良いですね。

Jason:そのとおりです! もちろんダイエットに良いです。

Q:あなたは、どのようにプロのタップ・ダンサーのキャリアを始めましたか。

Jason:高校生の時に友人が、バック・ステージ・マガジンという雑誌の切抜きをくれたのです。それは、ブロードウェイ・ミュージカルの"Bring In Da' Noise, Bring In Da' Funk"*のオーディションについての告知でした。
私は両親に、「このブロードウェイ・ショーのオーディションを受けたい!」と話したら、
「あなたはもうその準備が出来ていると思うの?」と聞かれたので、
「イエス!」
「O.K.」
そして、このオーディションを受けたら、私は一発で合格しました。
*(Bring In Da' Noise, Bring In Da' Funk:1995年11月、ニューヨークのオフ・ブロードウェイで初演、1996年4月からブロードウェイのアンバサダー・シアターに移動して、1999年1月まで上演されたミュージカル。1996年、トニー賞4部門受賞。セヴィアン・グローヴァー(Savion Glover)振付・主演。)

Q:何歳の時ですか。

Jason:1998年4月、17歳の時です。

Q:すごいですね。 とても若いですね。 もうプロになる準備が出来ていたのですね。

Jason:はい。でも本来は、皆さんも準備が出来ているものなのですよ! つまり、多くの人々はずっと準備して、準備して、準備して・・・長い間ずっといつまで経っても準備が出来ていないままの状態でいるか、または、ただ準備出来ているのか、どちらかですよ。

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Bring In Da Noise, Bring In Da Funk, 1998

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Bring In Da Noise, Bring In Da Funk, 1998

Q:オーディションに受かってから、ステージに立つまでに、どのようなトレーニングがあったのですか。

Jason:ショーを観て、そのステージのための準備が始まりました。でも、私はもうその時までにすでに11年間もトレーニングを積んできた経験がありましたので、ダンスに慣れていましたし、ダンスが大好きですし、すでに十分の準備が出来ていた状態でした。
そして何よりも、私はこのショーが大好きだったのです。そのストーリー、アフリカン・アメリカンの歴史、どのように私たち黒人はアフリカからアメリカへ連れてこられたのか、どのように私たちはアメリカの奴隷にさせられたのか、そういう物語で大好きでした。

Q:当時、日々、何時間くらい、どのようにショーのためのトレーニングをしましたか。

Jason:それは私にとって、少しチャレンジングなことでした。私は当時高校生だったので、早めに下校して、放課後にトレーニングをしなければなりませんでした。ショーのために、とても長時間のトレーニングを重ねました。
私は、ブロンクスのカトリック系の私立男子校の高校に通っていました。私立なので公立高校よりも特別な教育を私の両親は私に与えました。ですから、この学校に通うことは私にとってとても良い経験となりました。これは本当に正しい選択でしたので、両親にとても感謝しています。
私は毎日、放課後に、ブロンクスからマンハッタンへショーのトレーニングのために通いました。 

Q:練習のスタジオはどこにありましたか。

Jason:1つはマンハッタンのアスタープレイスのあたりにありました。他にも何箇所か練習スタジオがありました。すべてマンハッタンでした。

Q:ショーのためのトレーニングは、どんな感じでしたか。

Jason:私たちは、素晴らしい人たちからトレーニングを受けました。
テッド・レヴィ(Ted Levi)、マーシャル・デイヴィス(Marshall Davis)、ジェイソン・サミュエル・スミス(Jason Samuel Smith)、バーカリ・ワイルダー(Baakari Wilder)
この4人に教えていただいたことは、とても感謝しています。素晴らしい経験でした。
彼ら4人は全員がタップ・ダンサーでショーに出演していました。
テッド・レヴィは振付助手でした。彼は私たちのインストラクターであり、メンターでもあり、私たちが優れたパフォーマーになるためにどのようにすれば良いか、を理解するために助けて、週8本のショーを私たちがどのように、上昇飛行して最大限に完全に発揮させるのか、指導してくださいました。
ジェイソン・サミュエル・スミスは私より1歳年上なので当時とても若かったですが、彼はすでにスキルが高かったので、このショーの出演者へ指導もしていました。

Q:ショーに出演するまでは、どのくらいの期間、トレーニングをしましたか。

Jason:数ヶ月間です。私はアンダースタディー(代役)でした。アンダースタディーは、毎晩ショーに行って待機しなければならない役割です。1998年4月にオーディションに受かった後、私が最初にショーの出演の機会が回ってきたのは、1998年12月でした。それから1999年1月の千秋楽までの間でした。

Q:その後、プロのタップ・ダンサーとしての仕事は何をやりましたか。

Jason:2000年に、セヴィアン・グローヴァーと共に、スパイク・リー(Spike Lee)監督の映画『迷惑』("Banboozled")に出演しました。セヴィアンが私を抜擢してくださったのです。
その次は、2001年に、グレゴリー・ハインズ(Gregory Hines)主演の映画『ボージャングルズ』("Bojangles")に、セヴィアン・グローヴァーと共に出演しました。

Q:あなたは、生前のグレゴリー・ハインズと一緒にお仕事したのですね! それは今となっては、貴重な素晴らしい経験をなさいましたね。彼はどんな方でしたか。

Jason:はい、素晴らしい経験でした。私はハインズと共演できてラッキーでした。とても感謝しています。
ハインズはとても素晴らしい方でした。素晴らしいプロフェッショナルで、とても気さくで、とても自然体で普通にふるまう方で、なんと彼は私たちと一緒にランチを食べたりしました。そして、とても物静かな方でした。

Q:共演なさったセヴィアン・グローヴァーは、どんな方でしたか。

Jason:セヴィアンは素晴らしい方です。彼は、いつも私に対してとても親切でした。とても感謝しています。

Q:あなたの人柄が良いことと、タップ・ダンスの才能と実力が高かったからこそ、セヴィアンは映画の共演にあなたを抜擢してくださったのですよね? 実力があまりぱっとしなかったら、セヴィアンに抜擢してもらえないです。

Jason:はい、そうだといいなと思います。

Q:その後、他には、プロとしての仕事は何をなさいましたか。

Jason:「リバーダンス」(Riverdance)です。2001年にメンバーとして参加して、世界中をツアーで周りました。私はトータルで10年間、このメンバーとして参加して、ずっと世界ツアーをしていました。世界ツアーでは、アメリカ全土、カナダ、ヨーロッパ、オーストラリア、アジアなどほぼすべて周りました。アフリカ大陸と南極大陸には行きませんでしたが(笑)。
公演のため日本に滞在した経験がありますが、これは私の人生で最も素晴らしい時間を過ごしました。私は日本が大好きです。たしか2008年だったと思いますが、3ヶ月間、日本に公演ツアーに行きました。東京ではホテル・ニューオータニに泊まり、とても美しい豪華なホテルで素晴らしかったです。日本中を公演で周り、大阪、奈良、名古屋、福岡、宮島(広島)などに行ったことを覚えています。他の場所にも周りました。
その時期に、日本だけではなく、アジアの他の地域、台湾と中国にも公演ツアーに行きました。

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at Radio City Music Hall, "Riverdance" 25th Anniversary, 2020

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Q:10年間も世界ツアーで公演できて、あなたは素晴らしい経験をなさったのですね。Covid-19のパンデミックの前に、世界ツアーにたくさん周ることができたので、本当に良かったですね。

Jason:はい、公演で世界中を旅行できて、とても素晴らしい経験が出来ました。楽しかったです。Covid-19の前の時代で、今思えば本当に良かったです。私はラッキーで感謝しています。

Q:「リバーダンス」はアイリッシュ・ダンスですね。これはニューヨークのプロダクションですか。

Jason:はい、そうです。アイリッシュ・ダンスのショーです。このショーの中に、アイリッシュ・ダンサーとタップ・ダンサーのダンス・バトルのシーンが出てきます。メンバーはほとんどがアイリッシュ・ダンサーで30名位いますが、2〜3名のタップ・ダンサーもいます。
2020年の「リバーダンス」の25周年記念のショーに、私は参加していました。そのニューヨークのラジオシティーの劇場で公演中に、新型コロナ・ウイルスのパンデミックのため2020年3月12日からニューヨークの劇場が閉鎖しました。この時、私は、この25周年記念の公演を3回出演したばかりでした。結局、これが、その年の最後の公演となりました。

Q:あなたはこのショーの中で、アイリッシュ・ダンスもするのですか。

Jason:いいえ、私はアイリッシュ・ダンスをしません。タップ・ダンスをします。

Q:アイリッシュ・ダンスとタップ・ダンスの違いはどういうところですか。

Jason:この2つのダンスは似ていますが、基本がすごく違います。私が正確に説明できていることを望みますが、私の理解では、アイリッシュ・ダンスはもっと位置が固定されていて、身体はもっとアップ・ポジション(重心を上にキープした状態)で踊ります。そして、腕もあまり使わないです。
両方とも踊りの中に、リズム、音、パーカッションがあるので、どちらも同じリズムを鳴らすことが出来ますから、似ているダンスでもあります。

Q:タップ・ダンスからアイリッシュ・ダンスへ変えて踊るのは、難しいですか。
 
Jason:それは少し難しいです。興味深いことですが、少しチャレンジングです。私はアイリッシュ・ダンシングを完璧にマスターしているわけではありませんが、フィナーレのために少しアイリッシュ・ダンシングを練習しました。それはタップ・ダンスとは基本が違います。
 
Q:あなたは世界の人たちへ向けてオンライン・クラスでは教えていますか。

Jason:はい、時々オンラインでクラスを教えることはありますが、少しです。私の生徒にオンラインで動画を送ってもらって指導することはあります。

Q:あなたはあまり、世界へ向けてオンライン・クラスのビジネスを積極的にしたいとは思いませんか。オンラインでしたら、きっと世界中から生徒が受講すると思いますが。

Jason:積極的にはしないですが、今後は、オンライン・クラスをもっとやってみることも良いですね。
私が教える主なクラスは、直接、生徒たちに教えることです。私は常により良い経験をするように心がけているので、私にとっても生徒にとっても実りが多いようにしたいからです。
例えば、先週と今週はとてもたくさんのクラスを教えていて、1週間で7日、毎日です。私はすごくたくさんのクラスを毎日教えています。
そして、私は教えるためにいつもたくさん旅行しています。明日はデンバーへ、ダンス・コンベンションで教えに行きます。LAダンス・マジックで、500から700人の生徒へ教えます。
でも、いつでもどんな状態でも、オンラインでも教える機会があれば、大歓迎です。

Q:ニューヨークでは、Covid-19が落ち着いてきてから現在は、どこでクラスを教えていますか。

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Jason:1つは、マンハッタンのハーレムにあるダンス・スクール、ゴー・ハード・ダンス・スタジオ(Go Hard Dance Studio)で、私はここの副監督を務めています。オーナーはシェリル・トーマス(Cheryl Thomas)で、私たちは子供の頃に同じダンス・スクールに通っていたクラスメイトでした。以前、私がリハーサル用のスタジオをハーレムに探していた時に、久しぶりにチェリルに連絡したことがありました。その後、今から2年前位に、このダンス・スタジオの副監督になってもらいたいと頼まれました。もっとここをダンス・スクールとして美しく明確に大きくするために。そして、ここを、生徒たちにとってより素晴らしい環境にすることが出来ました。
このスタジオでは、私は、現在は子供のクラスを週3日20クラス位、教えています。ここで、大人のクラスも夜間に開講したいなと思っています。

Q:去年(2020年)の3月12日以降、Covid-19のパンデミックのため、ニューヨークのすべての劇場が閉鎖し、ダンス・スクールも閉鎖し、長い間自主隔離の生活になりましたが、その期間は、あなたも多くの仕事を失いましたか。

Jason:はい、私はとても多くの仕事を失いました。大きなダンス・コンベンションの仕事は、去年3月12日から12月末まで失いました。そして私が仕事を再開し始めたのは今年2021年1月からでした。

Q:大きなダンス・コンベンションで教える仕事は、あなたは1年に何回くらい参加していますか。

Jason:1年間に、15から17都市で参加しています。

Q:それはすごいですね!あなたは全米でダンス教師としても大成功なさっているのですね。

Jason:はい、私は教えることが大好きなのです。

Q:あなたはATDF(アメリカン・タップ・ダンス・ファンデーション)でも教えていらっしゃいますね。

Jason:はい、ATDFには、アーティスト・イン・レジデンスとして2019年から2021年まで、2シーズン所属していました。そこのリズム・イン・モーション(Rhythm In Motion)という公演で、振付2作品を発表しました。でも今シーズンは所属していません。今、私は多忙で、いつも旅をしているからです。でも将来またATDFに戻ります。
もう1つ、ATDFの中に、クリエイティブ・カウンセル・アーティスツ(Creative Counsel Artists)という組織があり、私はそこに所属しています。これはATDFとはまた別の組織です。Covid-19のパンデミックの最中に立ち上げてスタートしました。私たちはよくオンライン・ミーティングをしています。ここには多くのタップ・ダンサーや振付家がいて、ATDFと世界のために、タップ・ダンサーたちの将来のビジョンを提案して牽引していく活動をしています。

Q:このクリエイティブ・カウンセル・アーティスツは、ATDFのディレクターのトニー(Tony Waag)のアイデアですか。

Jason:はい。また2〜3年位前に、私はトニーに電話して、ATDFのために多くのタップ・ダンサーやタップ教師たちの意見を集めて協力していける場所があればいいということ、例えば委員会のような仕組みを作るといいというアイデアを話して、頼みました。たしか、2018年にトニーに頼んだと思います。Covid-19のパンデミックが起こる前でした。

Q:では、この組織が出来たきっかけは、あなたのアイデアだったのですね。

Jason:はい、かなり私のアイデアが採用されたと思います。

Q:Covid-19のパンデミックの間、あなたも多くの仕事を失いましたが、どのように生き延びましたか。

Jason:はい、パンデミックで、私は多くの仕事を失いました。その時期は、経済的にも、収入が大幅に減りました。パンデミックの影響は私にとって多方面のあらゆることでありました。今出来ていることが、翌日には全て出来なくなっているということがたくさん起こりました。
そのためパンデミックの期間は、私はもう一度自分の人生を見つめ直す機会にしました。そしてパンデミックは、私にとって良い息抜きの時間となり、よく休むことができました。これは、私にとってとても大切なことでした。私は今までずっと活動し続けてきて世界中を飛び廻っていたので、パンデミックによって休む機会を与えられて、本当に良かったです。お陰様で、これは私にとってラッキーなことでもありました。
パンデミックで世界が終わって、様々なことが起こり、あらゆることが別のことへ変わり、たくさんの悲劇がありましたよね? 普段なら何か悲劇が月曜日起こっても、翌日の火曜日には「OK!」と言って受け流すことが出来た世界にいましたが、あのパンデミックとは私は向かい合う必要がありました。私は逃げるわけにはいきませんでした。皆、気分が悪い思いをしていても、社会の人々とお互いに助け合わなければならなかったし、いろいろなことをよく考えていかなければならなかったです。それは私にとっても同じで、よく考えて毎日を過ごしていました。
そのお陰で、今は、私は以前よりもより良いアーティスト、より良い教師になっていて、より熱意があり、すべてのことに対してより思いやりがあります。そのため、パンデミックは、私が大きく成長できる助けとなりました。

Q:あなたは、パンデミックを自分の中で良い方向へ利用して、よく考える時間として使い、あなたの栄養に変わったのですね?

Jason:はい。そのとおりです。パンデミックのお陰で、私は人々のことを以前よりもより良く理解できるようになったので、それを、タップを教えることへより良く応用することが出来ました。
例えば、タップを教えることは誰でも出来ますが、私はステップを教える時に「今その生徒がどのように何を感じているのかをその場でつかみたい」と考えています。なぜなら、生徒のフィーリングを正確につかむことが出来れば、より確実に早く教えることが出来るので、その生徒の足には魔法がかかって改善されるのです。

Q:あなたの生徒たちは、素晴らしいプロのタップ・ダンサーになった方々がいますね。 私も何人か知っています。

Jason:はい。私の生徒たちは大勢、プロとして活躍しています。多くの生徒が、すでにオン・ブロードウェイのショーに出演しています。彼らはまだ子供ですよ。彼らのうち多くは、出演しているブロードウェイのショーの千秋楽の後にも、再び私のクラスに戻ってきてさらにトレーニングを受けてくれています。私の生徒たちは、ブロードウェイのショーに出演したり、また私のクラスに戻ってきたり、また出演したり、ブロードウェイを出たり入ったりし続けて活躍しています。

Q:それは素晴らしいですね! 生徒たちが、タップ・ダンスの世界一のレベルのニューヨークのブロードウェイでそんなに大勢活躍しているなんて、彼らを育てたあなたは優れたタップ・ダンス教師でもあるのですね。

Jason:はい、私は良い教師でもあり、彼ら生徒にもとても感謝しています。彼らはいつもずっと私のところへ来続けてくれるのです。

Q:それは、あなたが素晴らしい教師だからこそ、生徒たちがいつも追いかけて付いて来てくれるのです。

Jason:はい。生徒たちは私のところにいつも戻ってきてくれます。
他にも、例えば、私の生徒の1人がその後とても成功していて、ブロードウェイの『キス・ミー・ケイト』"Kiss Me Kate"のキャストとして活躍しています。そこでタップ・ダンスの指導者が必要な時に、彼がその出演者たちを私のところへ送ってくれるので、教えています。彼はジェームス・T・レーン(James T. Lane)で、とても優れたダンサー、タップ・ダンサー、俳優、歌手でもあり、大成功しています。彼と私は『キス・ミー・ケイト』で共に働いています。
ジェームスは今年12月から、ブロードウェイ・ミュージカルのヒット作『エイント・トゥー・プラウド』"Ain't Too Proud - The Life and Times of the Temptations"の全米ツアーで主役(テンプテーションズのメンバー役)を務めます。ジェームスの活躍を、私はとても嬉しく、誇りに思っています。

Q:素晴らしいですね! あなたのような、教えるのが上手な素晴らしいダンス教師には、ぜひ、日本や世界の人々が受講できるようにオンライン・クラスも開講していただきたいです。そうすれば、日本にいる人々でも、世界一の水準のあなたのタップ・ダンス・クラスを、オンラインで学べる機会が出来るので喜ばれると思います。きっと日本のダンサーたちも、あなたのクラスを受講したい人々は多いと思います。
Covid-19のパンデミックの間、あなたはオンライン・クラスを開講していましたか。

Jason:積極的にはやりませんでしたが、私はアイルランドへ何回かオンライン・クラスを開講しました。2時間のワークショップでした。面白いことに、時差があったので、彼らが12:00PMの時刻の時に、私は7:00AMでした。朝7時から、私のリビングルームから教えていました。

Q:アイルランドへだけ、オンライン・クラスをなさっていたのですね。
Covid-19のパンデミックの間、あなたはどのように過ごしていましたか。

Jason:多くの仕事を失いましたが、アメリカ政府が経済的に助けてくれましたし、問題は無かったです。でもその時は、私は多くの仕事を失ったので、将来もこのように急にすべての仕事を失うこともあるかもしれないと考えて、金銭的な面について私は日頃からより意識して考えるように変わりました。そして、私は、もしも仕事を失った時でも生きていけるように備えるようになりました。そのため、今は、私の将来はより心配のない安全なものになりました。Covid-19がきっかけで、私が将来のリスクに備えるように変わったことは、私にとって良かったです。

Q:あなたは、タップ・ダンスを子供と大人に向けて教えていますか。

Jason:はい。私はほとんど子供に向けて教えています。大人向けに教えてもいますが、少ないです。子供向けのクラスは、ここハーレム(マンハッタン)、ロング・アイランド・シティー(クイーンズ)、ニュージャージー
他に私は、コモン・グラウンド・タップ(Common Ground Tap)というワーク・ショップのシリーズでも教えています。これは、2年前に、ジャスティン・ボッチット(Justin Boccitto) とジャーメイン・サルスバーグ(Germaine Salsberg)が立ち上げたワーク・ショップのポップ・アップのシリーズです。月2回くらい開講しています。過去のワーク・ショップの動画も格安で購入できます。私のものもありますよ。
https://www.commongroundtap.com/classes
このように、私はいつも多くの教える機会があるので、とても感謝しています。
Q:あなたは、他に将来やりたい計画はありますか。

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Elementary School Yearbook

Jason:はい、いろいろやりたいことはあります。
私は最近引越しをしたので、自宅にはまだダンボール箱がたくさん積みあがっている状態でして、私は今は箱の中で暮らしている状態です。クリエイティブな空間にするためには荷物を整理整頓して、自宅の中を整えなければならないので、荷物の片付けにまだあと2〜3週間くらいかかります。まず、この荷物の先に片付けを出来るだけ早く進めて終わらせてから、クリエイティブな空間を作って、自分のアイデアをよく取り出せるように自分が感じやすい環境にして、自分がやりたいことに取り組んでいきたいです。
実は私は、ストレート・プレイもやりたいのです。ダンスが無い演劇です。私は演劇が大好きなのです。私は演技することも得意です。子供の頃から演劇も学んでいました。大人になってからも演劇のクラスで時々学んでいます。ブロードウェイの演劇もやりたいです。私には、私は演劇も出来ると知っています。だから私はやります!*ストレート・プレイ:(伝統的な演劇の一形態で、セリフ劇。歌を使わない演劇。)

Q:今からダンス以外のことに取り組んでやってみようとするなんて、あなたの精神は若々しいですね。そういえば、あなたは外見も、実年齢の40歳よりもずいぶん若く見えますよね。 あなたの肉体も精神も実際より若々しく保っていらっしゃいますね。

Jason:はい。私は常にダンスをしているので、若い肉体を保っています。また、ダンサーなので、人一倍食事にも気をつけて節制しているので、より肉体を若く保つ努力をしています。また、考え方、価値感、家族、友人も、若々しさを保つことに大きく影響するので、これらも私の大事な栄養です。

Q:ダンサーとしての食事には、具体的にどのように気をつけていらっしゃいますか。

Jason:私は、野菜食が中心で、魚は食べますが、鶏肉・牛肉・豚肉は一切食べません。15歳の時に、この食事法を選んで実践してきて以来、この方法は私にとってはとても良くて、効果がありました。だからといって、他のダンサーたちにも同じことを安直に奨めはしません。それぞれの肉体にとって効果がある食事法を自分で選ぶことが大事です。私はキャンディやケーキ、クッキーなどスイーツも好きです。人それぞれに合う食事は違うので、各自が自分でよく見極めることです。大事なことは、食事のバランスを取ることです。
何事も、バランスは大事なことです。私は食事に気を付けるだけではなく、ニューヨーク・シティをよく自転車で走って運動しています。ニューヨーク・シティ全体の5地域を、私は自転車で移動するので、地下鉄はもう使わないです。私は運動が大好きで、自転車で走る他に、ジムに通って身体を鍛えています。

Q:ニューヨーク・シティを全部、自転車で移動しているのですか。それは大変な運動量ですね。ニュージャージーへも自転車で移動していますか。

Jason:いいえ、ニュージャージーは電車で通っています。ニューヨーク・シティ内は全部自転車で移動しています。

Q:ジムへは週何日通っていますか。1回何時間トレーニングをしますか。

Jason:ジムへは、週3日、1回1時間通って、ウェイト・トレーニングをしています。

Q:週7日クラスで教える以外にも、日頃から自転車で移動して身体を鍛えていて、さらに週3回ジムでトレーニングしているなんて、ダンサーとしてすごく真面目ですね。

Jason:はい、私は真面目に取り組んで、毎日体を鍛えています。私は運動が大好きです。

Q:タップ・ダンスの練習自体は、週何時間くらい取り組んでいますか。

Jeaso:タップ・ダンスは、私の場合はほとんどがクラスで教えることで行っています。だいたいいつも、週10時間から15時間位は教えています。タップ・ダンスの練習はこれで十分足りています。

Q:Covid-19のパンデミックの間、スタジオに練習しに行けなかった時期は長かったですが、あなたはどのようにタップ・ダンスの練習をしていましたか。

Jason:はい、スタジオには長い期間、行くことが出来なかったので、自宅でタップ・ダンスの練習をしていました。床にボードを置いて練習しますが、そのボードの下にラバーマットを敷いて、近所の人々に騒音で迷惑をかけないように気をつけました。
そして、私が自宅でオンライン・クラスをしなければならない時は、前もって近所の人々にいつクラスをやるから騒音のご迷惑をおかけするかもしれませんと皆さんに伝えておいて、ご理解ご協力をいただくようにしていました。
近所への騒音のことは、私はとても気を使いまして、近所の人々をすごく尊重しています。私は、自宅でのオンライン・クラスでは出来る限りタップ・シューズを履かないように気をつけて、タップの音無しにして、音があまり鳴らないキャラクター・シューズを履いて教えました。
でも、私はダンスをする時に、タップの音だけではなく、レザーが板にこすれる音も面白いから大好きなのです。ですから、騒音を立てないようにタップ・シューズを履かないでクラスを教えることは、苦ではなかったです。

Q:ご自宅で、タップ・シューズを履かないでタップ・ダンスのクラスを教える他、あなた自身のためのタップの練習の時もそうしていたのですか。

Jason:はい、自分のタップの練習の時も、同じようにそうしていました。

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at Cotton Club, Parade

Q:Covid-19のパンデミックの時期でも、ダンサーはダンサーとしての肉体を保つために練習し続けていなければなりませんね。

Jason:はい。でもダンサーとしての肉体を保つために、練習をし続けること以外にも大事なことは、太らないように気を付けることです。パンデミックの間、私は普段より踊らなくなってしまったので、その分、いつも寝そべってテレビや映画を観たり、スイーツ クッキーを食べ過ぎてしまったりして、その時期は太ってしまいました。
 でも、良いタップ・ダンサーになるためには常に練習をすることも大事ですが、パンデミックの間は、私は人間の経験をたくさん探求しました。読書もたくさんして、全ての物事に関連して、私は「人間」についてよく観察しました。
人は朝日が昇ってから日没までずっと1日中練習することも出来ますが、でももしすべての練習があなたのハートにコネクトしていなかったなら、それは全く何にもなりません。自分がやっているそれが何であるかよく知っていなければならないことが大切だと、私は気が付きました。
例えば、オスカー・ワイルド(Oscar Wild)が、「私は、演劇を最も偉大な芸術形態、人間が人間であることの感覚を他の人と分かち合うことができる最も直接的な方法であると考えています。」と語っていました。もし踊っている時にこれを完全に理解していて出来ていれば、あなたはいつでも成功できます。私はこの格言が大好きです。私は演劇を愛しています。
ニューヨーク・シティそれ自体が劇場そのものですよ。地下鉄の中もライブ劇場です。ブロードウェイだけが劇場の舞台ではないのです。食料品店に行けば、そこも劇場です。皆それぞれ、何かの役柄を演じているようなものです。

Q:なるほど。興味深いです。ダンスのパフォーマンスは、技術と練習だけの問題ではないのですね。
「地下鉄の中もライブ劇場」で思い出しましたが、去年からニューヨークでもアジア人へのヘイトクライムが増えていて、例えば地下鉄で日本人が黒人の方々から殴られて負傷したり、アジア人が黒人女性からハンマーで殴られたり、黒人の方々のアジア人ヘイトが強まっている報道がありました。今年、ニューヨークの日本国総領事館から、ニューヨーク在住の日本人はなるべく地下鉄に乗らないでバスかタクシーで移動するようにとか、夜遅くならないように早めに帰宅するように、など連絡がありました。ニューヨークのアジア人ヘイトクライムは黒人の方が多いようですが、ご存知ですか。それについて、どう思いますか?周りの黒人の方からそのような様子を聞いたことはありますか。

Jason:はい、そのニュースは聞きました。とても悲しいことです。それは、黒人がアジアをヘイトしている人が多いというよりも、そのようなアジア人ヘイトクライムをする一部の黒人がいるということだと思います。世の中にはあらゆるところに、どの人種の人であれ、誰かを嫌う人はいるものです。逆に私は人々が大好きなので、アジア人も日本人も好きです。ある人種が他の特定の人種をヘイトすることは、人種差別です。そのような人種差別をしている人は、なぜ自分が特定の人種を嫌っているのか自分で分かっていないのです。彼らはなぜそう考えているのかも分かっていないです。
私は以前、人種差別について調査したことがあります。人種差別の事件について調べた時もそうですが、例えば周りで誰かを憎んでいる人に直接、「なぜあなたはその人をそんなに憎んでいるのですか?」と聞くと、そういう人は全員、その理由を答えることが出来ずに、黙ってしまいました。彼らは誰かをなぜ憎んでいるのか自分でも分かっていないのに、不幸なことにそういう彼らの中に潜んでいる憎悪が外に出てしまって実際に表現されて事件になってしまったのです。彼らの中に憎悪が潜んでいたことが先で、その憎悪が何かのきっかけで出てしまったことが原因だと思います。自分の中に憎悪が潜んでいる人は愛が足らないのです。このような彼らは全員、「愛」(LOVE)を学ばなければならないのだと私は思います。
このニューヨーク・シティは様々な人種がいますからお互いに尊重しながら生活するべきで、アジア人人口も他の都市に比べて多いはずなのです。人間が誰か特定の人種を憎んで他の人間を殴って事件を起こすなんてぞっとすることです。

Q:あなたがオンライン・クラスをする機会があれば、その告知はあなたのインスタグラムで発表しますか。日本のダンスファンの方々は、インスタグラムをチェックしていればその情報を見つけることができるでしょうか。

Jason:はい。オンライン・クラスについては、インスタグラムでお知らせします。

Q:Covid-19のパンデミックの後、劇場やダンス業界の状況は少しずつ良くなってきているとは思いますが、それ以前と同じようにはまだまだ回復していないです。こんなご時世で、ダンスを続けたい人々はどうすれば良いか、何かアドバイスはありますか。

Jdeason:You Tubeを観ることがおすすめです。You Tubeには、無料で素晴らしい情報がたくさんあります。例えばタップ・ダンスでも、様々な違うタイプのダンスの情報を見つけることができます。ジミー・スライド、ロン・チェイニー、チャック・グリーンなど、たくさんの偉大なダンサーたちの情報が出てきます。
また、ダンスの映像だけではなく、彼らのような様々な偉大なダンサーたちのインタビューを見つけてください。彼らのインタビューを見て、その魂、人柄、それらをダンスへ落とし込んでいることなど、理解してください。例えば、今回のようなインタビュー記事もそうです。
そして、様々なタイプの音楽をたくさん聴いてください。ダンサーはジューク・ボックスと同じです。ダンサーのハートには様々な音楽があり、それが心と身体と魂を通して(タップ・ダンサーの)足へ現れてくるからです。ですから、タップ・ダンサーは音楽を理解して愛していなければならないです。

Q:最後に、日本のダンスファンへ、何かメッセージをください。

Jason:日本人は素晴らしいと思うので尊敬しています。そして日本食は、世界一素晴らしいと思います。私は再び来日することが待ち遠しいです。
(2021年11月19日午後ハーレムで。12月16日まで数回電話でインタビュー)

Instagram: broadwayjayb
https://www.instagram.com/broadwayjayb/

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