パフォーマンスからすべてをオンラインに切り替えて見事に成功したフェリペ・ガルガンニに聞く

ワールドレポート/ニューヨーク

インタビュー=ブルーシャ西村

フェリペ・ガルガンニ(タップダンサー、教師、振付家)Felipe Galganni

ニューヨークではロックダウンになり、ソーシャルディスタンスをとるため全てのダンス公演が中止、ダンススクールも閉鎖になりました。3月半ばから、ニューヨークのダンスカンパニーに所属していない個人のダンサーたちは全ての仕事を失い、困窮しているダンサーが多いです。でも中には逆境を落ち着いて見つめ、前向きに新しく、たった一人で自分で仕事を創造して、成功するダンサーも出てきました。
フェリペ・ガルガンニはロックダウン前は、ニューヨークで毎週木曜日から週末にかけてパフォーマンスの仕事があり、ダンススクールをいくつか掛け持ちで教える講師としての仕事もあり、タップダンサーとして成功していました。
この一連の激動の変化の中でインターネットへとシフトして対応していった努力、経験は、参考になる情報だと思い、さらに詳しく電話でインタビューをしました。

----Covid-19のパンデミックでニューヨークもロックダウンになり、3月半ばからダンススクールはすべて閉鎖し、公演やパフォーマンスはキャンセルになりましたが、その後のダンサーとしてのニューヨークでの生活はどう変化しましたか。

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ガルガンニ:私は、ロックダウン後は、ニューヨークでの全ての仕事を失いました。ダンススクールの仕事も毎週末あったパフォーマンスの仕事も、全てもう無いですし、もう簡単にはCovid-19の前のようには元通りに戻らないと思っています。でもニューヨークの家賃を払い続けて生活していかなければならないので、何か自分で出来ることを生かして、自分で仕事を創造しました。仕事が全て無くなったならどうやって生きていけばいいのか?と考えて、新しい仕事を自分で作り出したのです。今は全ての仕事がオンラインに変化しました。全てがオンラインです!

----いち早く3月下旬にはオンライン・クラスをやり始めていらっしゃいましたし、ショート・タップ・コンボの販売、オンライン・個人レッスン、インスタグラムでのライブ生中継など、インターネットの様々な技術を駆使していらっしゃいますね。こういったインターネットの技術や情報は、全て自分で学んで作っていったのですか。

ガルガンニ:はい、自分一人で少しずつ、学んで調べながらオンラインの準備をしていき、作っていきました。

----オンラインで展開する準備は、ロックダウンの前から少しはしてありましたか。それともロックダウン後に準備し始めたのですか。

ガルガンニ:ロックダウン直後にすぐ、Zoomとか録画とかオンライン・クラスが出来る環境を準備し始めました。ロックダウン前にはほとんど準備はできていませんでした。

----自宅の部屋から撮影なさっているのですよね。

ガルガンニ:はい、自宅の部屋を撮影スタジオに仕立てて、部屋から撮影しています。ずっと自宅にいます。外には出かけないです。

----自宅に1人でずっといながら、オンラインのやり方を相談出来ない状況で、1人で自力でオンラインと撮影をやり遂げていることがすごいですね。
ロックダウン後の、ダンサーとしてのご自身の生活は、例えば練習は自宅で毎日なさっていますか。

ガルガンニ:自宅待機では、タップの練習は毎日はしていません。時々自分のために練習しますが、毎日オンライン・レッスンの仕事がたくさんつまっているので、教える時にいつも踊って動いています。振付もよく考えているので、毎日いつも踊っていて、体はよく動かしています。タップ以外の運動もします。お陰様でオンラインの仕事で多忙でして、クレイジーな状況です。

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----ロックダウンでダンサーたちが仕事を失って途方に暮れている人たちが多い中で、逆に仕事が増えて多忙になっているなんて!

ガルガンニ:はい、今もタップダンスの仕事だけで上手くやっていけているので、ありがたいです。十分です。お陰様で毎日いつもスケジュールがつまっていて、今もクラスとクラスの合間の数分間に軽食を摂りながら電話しています。すき間時間しか空いていない状態です。多忙でクレイジーですが、ありがたいです。

----ロックダウンの最中に、自分一人の力でそんなに成功しているなんて、クラスの生徒はあちこち世界中から集まっていらっしゃいますか。

ガルガンニ:はい、世界中から生徒が来ます。例えば、ニューヨークだけでなく、他にもアメリカ各地、ブラジル、日本、ハワイ、スペインなど、世界中のあちこちに生徒がいます。もうじき、タップダンスのカレッジを自分で創ろうと思って準備中です。世界各地の生徒たちとカレッジを創って、お互いにZoomで参加して集まり、学べる環境にして、お互いにダンスの録画をアップしたり励まし合って、オンラインでタップダンスのコミュニティを作りたいです。

----素晴らしいですね。今後の様子もぜひ、カレッジが出来たらまたお伺いしたいです。ところで、ロックダウン後の自宅待機の生活で、今はパフォーマンスが出来ないですし、ダンサーとしてのモチベーションはどのように保ち続けていらっしゃいますか。

ガルガンニ:タップダンスは音楽に関連していることなので、いつも自宅では音楽を聴いています。音楽をいつも聴いていると、歌とタップダンスのパフォーマンスについて自然にインスピレーションが湧きますから。タップダンスのためには、常に音楽がとても大事なのです。また自分の生徒たちに励まされ、力づけられています。生徒達には本当に感謝しています。
(2020年5月24日、電話によるインタビュー)

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フェリペ・ガルガンニ Felipe Galganni

タップダンサー、教師、振付家。ブラジル、サンパウロ出身、ニューヨーク在住。ブラジリアン音楽とタップダンスを融合させた独自のスタイルのタップダンスを開拓。
Steps on Broadway, Joffrey Ballet School, Broadway Dance Center, the American Tap Dance Foundation(ATDF)で講師として教えている。ブレンダ・バファリーノ(Brenda Bufalino)のthe New American Tap Dance Orchestraのメンバー。2017年に自身が振付、出演、芸術監督で創作したパフォーマンス、TAP&TOMを初演。2018年に、the Machado de Assis Medal for disseminating the Brazilian culture in the USAを受賞。2019年に歌とタップダンスのソロ・ショー、Felipe 101を初演。
www.felipegalganni.com
ショート・タップ・コンボ、Short Tap Combo(振付&解説)
https://www.felipegalganni.com/store/p1/tapcombo1.html
オンライン・タップ・クラス(個人レッスン):
https://www.felipegalganni.com/online-tap-classes.html
Instagram:
https://www.instagram.com/GALGANNI/
Facebook:
https://www.facebook.com/galgannitap/
また、ニューヨークのダンススクール、ステップス・オン・ブロードウェイ(Steps on Broadway)では、バーチャル・ステップス(Virtual Steps)というライブ・ストリームでの授業を5月から放映するようになりました。
https://www.stepsnyc.com/classes/virtual-steps-a-livestream-class-experience/
また、ジョフリー・バレエ・スクール(Joffrey Ballet School)で、4月13日から5月末まで、毎週月曜日に、ガルガンニのタップダンスのクラスを開講しました。
https://www.joffreyballetschool.com/

Links:Quarantine Tap Dance:
https://youtu.be/UVMimRyh3tU
Short Tap Combo:
https://youtu.be/mrChOqtfla0

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