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演出家、プロデューサーとして多くのミュージカルを製作した、ブロードウエイの巨星、ハロルド・プリンス逝去、91歳

ワールドレポート/ニューヨーク

三崎 恵里  Text by Eri Misaki

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『ウエスト・サイド・ストーリー』、『キャバレー』、『屋根の上のバイオリン弾き』、そして最長ロングランミュージカル『オペラ座の怪人』など、ミュージカル史上不朽の名作といわれる多くの作品をブロードウエイに送り出したプロデューサー・演出家のハロルド・プリンスが7月31日、アイスランドのレイキャビクで死去した。91歳だった。

プリンスの死を発表したスポークスマンのリック・ミラモンテスによると、プリンスはニューヨーク在住で、スイスの別宅から帰る途中体調を崩し、アイスランドのレイキャビクで治療を受けたが7月31日の朝死亡したという。遺族は妻のジュディさん(56歳)と娘と息子、そして3人の孫。プリンス本人の希望で葬式は行わないが、今年秋に、彼が70年間所属し愛したブロードウエイ演劇界のメンバーで追悼会を行うという。

ハロルド・スミス・プリンス(Harold Smith Prince)は1928年1月30日にニューヨーク市マンハッタンに生れた。ペンシルバニア大学で教養学の学位を取得後、米軍に所属して第二次世界大戦後のドイツに二年間駐留。帰還後、芸術の仕事を始めた。当時はブロードウエイ全盛期で、コール・ポーターやロジャーズ&ハマースタインが音楽を担当して、ミュージカルは手ごろなエンターテーメントであるだけでなく、アメリカの芸術として確固たる地位を築いていた。

プリンスのブロードウエイでの初仕事はミュージカル・レビューの『チケット下さい!/ Tickets, Please! (1950)』のアシスタント・ステージマネージャーだった。そして『マダムと呼んで/ Call Me Madam (1950)』で大物演出家ジョージ・アボット(George Abbott)に付いてアシスタント・ステージマネージャーとして働き、『ワンダフル・タウン/ Wonderful Town (1953)』でステージ・マネージャー兼フランク・リップンコット役のアンダースタディーとして働いた。

『パジャマゲーム/ The Pajama Game (1954)』でアボットはプリンスを共同プロデューサーに起用し、ミュージカルは大成功、プリンスは最初のトニー賞最優秀ミュージカル賞を獲得する。そして、『ダム・ヤンキーズ/ Damn Yankees (1956)』『フィオレロ!/ Fiorello! (1960)』『ローマで起こったおかしな事/ A Funny Thing Happened on the Way to the Forum (1963)』で次々と最優秀ミュージカル賞を受賞。特に『ローマで起こった...』は、後に大御所と呼ばれた音楽家スティーヴン・ソンドハイムとの共同制作第一号だった。ソンドハイムとはそれから多くの制作を共にする。その次のヒット作は『屋根の上のバイオリン弾き/Fiddler on the Roof (1965)』で、3,000回以上公演というロングランとなった。

プリンスの演出家としてのブロードウエイデビュー作は『キャバレー/ Cabaret (1966)』だった。この作品でプリンスはトニー賞の最優秀演出賞と最優秀ミュージカル賞を獲得した。数年後には、ソンドハイム作詞作曲、ジョージ・ファース脚本の『カンパニー/ Company (1971)』でプリンスは演出家及びプロデューサーとしてトニー賞を受賞する。

プリンスがトニー賞を受賞した作品には、『フォーリーズ/ Follies (1972)』『キャンディード/ Candide (1974)』『スゥイニー・トッド/ Sweeney Todd (1979)』『エヴィータ/ Evita (1980)』『オペラ座の怪人/ The Phantom of the Opera (1988)』などが含まれ、特に『オペラ座...』は今も上演されているブロードウエイ史上最長ロングラン作品だ。プリンスの最後のトニー賞は『ショーボート/ Show Boat (1995)』で、最優秀演出家賞だった。

その他にプリンスがブロードウエイに製作した名作で我々になじみ深いものは、『ウエスト・サイド・ストーリー/ West Side Story (1957)』『シー・ラヴズ・ミー/ She Loves Me (1963)』『ゾルバ/ Zorba (1968)』『太平洋序曲/Pacific Overtures (1976)』『蜘蛛女のキス/ Kiss of the Spider Woman (1993)』などがある。

2017年に『ブロードウエイのプリンス/ Prince of Broadway』と銘打った、プリンスが過去に製作演出したミュージカルをメドレー式にしたレビューが上演された。このショーがプリンスの最後のブロードウエイショーとなった。

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