コンプレクションズの25年の歴史を集大成し、一望のもとに構成したバレエ

ワールドレポート/ニューヨーク

ブルーシャ 西村 Text by BRUIXA NISHIMURA

Complexions Contemporary Ballet
コンプレクションズ・コンテンポラリー・バレエ

"FROM THEN TO NOW" by Dwight Rhoden
「フローム・ゼン・トゥー・ナウ」 ドワイト・ローデン:振付

2月19日から3月20日までチェルシーのジョイスシアターで、コンプレクションズ・コンテンポラリー・バレエの公演が行われました。プログラムA、B、Cの3種類の上演があり、私は8つの作品を上演したプログラムBを2月28日夜の公演で観ました。

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" Spill "©Joseph Franciosa

プログラムBのタイトルは、「フロム・ゼン・トゥ・ナウ」、サブタイトルは、An amalgamation of audience favorites spanning COMPLEXIONS's 25-year history (コンプレクションズの25年の歴史の中の観客のお気に入りの融合)です。
出演したダンサーは16名で、多人種のダンサーで構成されており黒人ダンサーの割合が多いです。日本人ダンサーの杉村英里子も出演しました。
コンプレクションズ・コンテンポラリー・バレエは、1994年に振付家ドワイト・ローデンと歴史的な黒人ダンサーであるデズモンド・リチャードソンが創立した、ニューヨークを拠点とするダンスカンパニーです。リチャードソンは、1997年に黒人ダンサーとして初めてABTの『オテロ』で主役を踊りました。
現在の第一振付家はドワイト・ローデンですが、このカンパニーはダンス教育にも力を入れていて、すでに20カ国以上へ教えに行きました。2006年から「サマー・インテンシヴ・プログラム」を開始しました。
ダンサーは全員レベルが高く、鍛錬をよく積まれていて、柔軟性もテクニックも素晴らしかったです。
女性ダンサーは、バレエシューズとともにトゥシューズで踊る演目もありました。基礎がしっかりしていて安定していました。
振付は、クラシック・バレエ・ベースのコンテンポラリー・ダンスで、全体的に似たような傾向があり、2番ポジションでグラン・プリエをして静止したり、180度開脚してグラン・バットマンをしたり、アラベスクをしてそのまま静止しているところが多かったです。その反対に、すごく速い動きを続けて、躍動感があるところも多かったです。静と動のメリハリが強いです。パ・ド・ドゥも多くのリフトを駆使されていました。
全体的に、2名ずつのダンサーが次々と登場して踊り、踊っては次に入れ替わりと、流れるようにダンサーたちが踊って消えていきました。

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" Choke "©Justin Chao

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" On Holiday "©Steven Pisano

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" On Holiday "©Justin Chao

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" On Holiday "©Steven Pisano

演目は"RISE" (2008)「ライズ」"SPILL" (2010)「スピル」"WONDER - FULL" (1994)「ワンダー・フル」"CHOKE" (2006)「チョーク」"ON HOLIDAY" (2010)「オン・ホリデー」"TESTAMENT" (2011)「テスタメント」"STAR DUST" (2016)「スターダスト」A Ballet Tribute to David Bowie "WOKE" (2019)世界初演「ウォーク」など8つの作品で、、それぞれ長編の作品の一部分を短く抜粋したものが多かったです。25年間の集大成として、初期の踊りから最新作の世界初演のものまで、バラエティーに富んだ構成でした。

印象に残ったダンス『テスタメント』は、男女のパ・ド・ドゥ。特に情感を込められた祈りのような踊りで、演技力も高く、表現も踊りも良かったです。ゴスペル音楽に乗った感動的なシーンでした。動きにはキレがありメリハリが強かったです。2人で引っ張り合いながら遠心力を利用して踊ったり、リフトもありました。
『スターダスト』はデヴィッド・ボウイが永眠した時につくられたトリビュートのバレエで、人気の演目です。その中から少し抜粋して短くまとめられた踊りでした。ジャンプが多く、走り回ったり、元気いっぱいの躍動感がある踊りでした。楽しい振付です。第一幕の最後でしたので、ここでカーテンコールがあり一旦幕が閉じました。

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"Star Dust"© Sharen Bradford

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Star Dust"© Sharen Bradford

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Star Dust"© Sharen Bradford

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Star Dust"© Sharen Bradford

休憩をはさんで第二幕は『ウォーク』の世界初演です。これはとても長く感じられる演目でした。8曲の様々な音楽のメドレーで、女性ダンサーは、トゥシューズをはいて踊るところが多かったです。振付の難易度は高く、クラシック・バレエの基礎がきちんと出来ているダンサーしか踊ることが出来ないレベルのものでした。
ソロで踊るところ、ペア、4〜8名のグループで踊るところ、5組のペアが同時に同じ振付で踊るところ、全員が出てくるところなど、次々に速い速度で展開していき、ダンサーが踊っては消えて流れていきました。ペアでは、リフトをして上でダンサーを回しているところもありました。
男性2人と女性1人のトリオで踊るところは、女性1人を男性2人で引っ張ったり支えたり、リフトをしていました。男性3人で踊るところもありました。素速く動いて、自由にのびのびとバレエベースで踊りました。
25年間の集大成の節目の公演を観ることができてよかったです。
(2019年2月28日夜 ジョイスシアター)

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" WOKE " ©Nina Wurtzel

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" WOKE " ©Nina Wurtzel

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" WOKE " ©Nina Wurtzel

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" WOKE " ©Nina Wurtzel

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