キューバ国立バレエ団がプリマバレリーナのヴァルデスを副芸術監督に任命。実質的な後継者に

ワールドレポート/ニューヨーク

三崎 恵里  Text by Eri Misaki

アメリカのダンス・マガジンの報道によると、盲目のプリマバレリーナ、アリシア・アロンソ(Alicia Alonso)率いるキューバ国立バレエ(Ballet Nacional de Cuba)は、地元で人気を博している同カンパニーのバレリーナ、ヴィエンセイ・ヴァルデス(Viensay Valdes) を副芸術監督に任命した。これは、彼女が即座にバレエ団の運営に携わることを意味している。現在98歳のアロンソは、代表取締役のポジションに留まるが、実質的にはヴァルデスが芸術的な判断に関しては責任者となる。

1948年に夫フェルナンド・アロンソ(Fernando Alonso)と彼の弟、アルベルト・アロンソ(Alberto Alonso)と共に設立したBNC(キューバ国立バレエ)では、これまでアロンソが唯一のディレクターとして君臨してきた。しかし、彼女が高齢になるにつれ、ファンの間では彼女がカンパニーの後継者を誰にするのか、憶測が高まっていた。特に昨年秋のハバナ国際バレエフェスティバルに健康上の理由でアロンソが姿を見せなかったことから、後継者指名を急務とする声が多く出ていた。

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Viengsay Valdés with Alicia Alonso Photo by Nancy Reyes

ヴァルデスは現在42歳で、そろそろ現役引退の時期に近づいており、これまでも長い間後継候補者と考えられてきた。彼女はキューバでは絶大な人気を保っており、彼女の超人的なバランスと回転に観客が大歓声を上げる公演は、ロックコンサート並みと言われている。

後継者として挙がっていたもう一人は、同バレエ団の「放蕩息子」的な存在のカルロス・アコスタだった。しかし、彼はバーミンガム・ロイヤル・バレエの芸術監督に就任するというニュースで、キューバでのポジションの可能性から外された。

ヴェルデスはプレンサ・ラティノ紙のインタビューに、アロンソは彼女にとって常にアイドルであり、「一致団結した強いバレエ団という共通の夢を分かち合うこと」をダンサーたちに啓発し続けたいと語った。また、彼女はバレエ団とスクールの関係の強化にもつとめ、カンパニーのダンサーのトレーニングとキャリアの発展にも尽くしたいと語った。しかし、彼女は長期にわたって変化のないカンパニーのレパートリーに関しては言及していない。

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