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プティパの振付に基づいてラトマンスキーが再振付した、『アレルキナーダ』全幕をABTが初演

ワールドレポート/ニューヨーク

ブルーシャ 西村 Text by BRUIXA NISHIMURA

American Ballet Theatre アメリカン・バレエ・シアター

"Harlequinade" Choreography by Marius Petipa, Staging & additional choreography by Alexei Ratmansky
『アルレキナーダ』マリウス・プティパ:振付、アレクセイ・ラトマンスキー:演出・再振付

5月14日から7月7日までABTのニューヨーク・春のシーズン公演でした。
今回上演された『アルレキナーダ』は、プティパの振付をもとにラトマンスキーが演出・再振付し6月4日に初演されました。休憩をはさんで全2幕で構成です。

『アルレキナーダ』は1900年にプティパ振付、リカルド・ドリゴ作曲により『百万長者のハーレキン』" Les Million d'Arlequin "というタイトルで、サンクト・ペテルブルクのエルミタージュ劇場で世界初演されました。
プティパはマリインスキー劇場の首席バレエ・マスターを務め、約30年間に渡りバレエを創作しました。その頃すでに『眠れる森の美女』『ラ・バヤデール』『白鳥の湖』や『ドン・キホーテ』などの名作が創られていました。『アルレキナーダ』は、1903年に引退したプティパ晩年の作品のひとつです。
主なキャストは、ハーレキンはジェフリー・シリオ、コロンビーヌはサラ・レーン、ピエロはデヴィッド・ホールバーグ、ピエレットはステラ・アブレラです。
衣装や舞台セットはとても可愛くてカラフルで、絵本の中のような世界が広がっていて、美しかったです。1900年の衣装と舞台セットを再現したとのことです。

最初、街角の舞台セットがありました。ピエロ、ピエレットが出てきて踊り、大勢が出てきてみんなでワルツを踊りました。
アルルカンとコロンビーヌは恋に落ちていますが、コロンビーヌの父親カサンドルはそれを許さず、お金持ちのレアンドルと結婚させたがっています。そして父親はアルルカンをコロンビーヌから遠ざけようとして、コロンビーヌを家に閉じ込めてしまいました。父親は彼の従者であるピエロに、その鍵を預かって守るように命じました。でもピエロの妻であるピエレットはコロンビーヌに共感して、その鍵を盗もうとしました。
アルルカンと、その周りに仲間の音楽隊が到着して、コロンビーヌの家の前の街角で、バンジョーのような楽器の演奏にのって、みんなで踊りました。男性2人組や、ペアが4組くらい次々に踊り、とても楽しそうで明るく、陽気な踊りが続きました。
コロンビーヌはピエレットの助けによって、閉じ込められていた父親の家から逃げ出しました。そしてアルルカンとコロンビーヌのパ・ド・ドゥの踊りがあり、ロマンティックな恋心を表現していました。2人は恋に陥ちて燃え上がっている様子を、オーバーなくらい情熱的に陽気に踊っていました。
ピエロはその様子をその家のバルコニーから見ていて、あわててカサンドルのために、彼の部下に追いかけさせました。家の中で乱闘になり、アルルカンはバルコニーからストリートへと押し出されて落下してしまいました。舞台ではこのシーンは、アルルカンがバルコニーから落ちるところは等身大の人形を使って表現されていて、彼は死んでしまった設定でした。
しかし、アルルカンは奇跡的に生き返りました。
恋人たちを守護しているグッド・フェアリーが、アルルカンにそれを明かします。アルルカンは生き返らせてくれたお礼をして、コロンビーヌと結婚するために助けて欲しいとお願いしました。すると、グッド・フェアリーは、アルルカンに、彼の望みをかなえてくれる魔法の打棒(スティック)を与えました。アルルカンはスティックを受け取ってとても喜んで、ふりかざして踊りました。
レアンドルがコロンビーヌのところへ来ると、アルルカンはスティックを使って自分の分身をたくさん出して、やっつけました。そして家のほうへ向けてスティックをふると、コロンビーヌとピエレットがバルコニーから姿を現して、またスティックをふると、そのバルコニーごと下にスーッと下がってきて地面に着いて止まり、彼らは街角の表まで出てきて踊りました。家の中のピエロたち2人はアルルカンの魔法に捕らえられて、驚いて慌てふためいているところに、下の皆は喜んで幸せそうに広場から去っていってしまいました。そこで1幕は閉じました。

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「アレルキナーダ」サラ・レーンとジェフリー・シリオ Photo: Erin Baiano.

第2幕は、アルルカンとコロンビーヌの結婚式のために、たくさんの人々が集まっています。宮殿のような大きな場所です。大勢の大人たちの他、大勢の子供たちも集まりました。

カサンドルは、コロンビーヌにレアンドルと結婚するように命令するために、セレモニーを邪魔しようとしてきましたが、彼女はそれを拒否しました。カサンドルは従者にアルルカンを襲わせようとしましたが、彼は魔法のスティックによって逃げました。
グッド・フェアリーがカサンドルに何かささやいて、アルルカンは台の上に魔法のスティックをふると、黄色い紙(札束)がたくさんあふれてきて、有り余るほどの豊かさが明らかにされました。それを見て、カサンドルはようやく彼らの結婚を承諾しました。
そして、アルルカンとコロンビーヌが踊り、ピエロとピエレットも踊りました。周りの大勢の祝福している人々も踊り、踊りのハイライトが続きました。
アルルカンとコロンビーヌのパ・ド・ドゥの踊りは、ゆったりとしてロマンティックでした。ヴァリエーションは続き、アルルカンのソロは大技が繰り広げられて、力強い踊りで、14回転もありました。コロンビーヌのソロは、両手を少しはためかせて、楽しさと嬉しさを表現して踊りました。そしてフィナーレとなり、幕が閉じました。ハッピーエンドの楽しい作品でした。
(2018年6月8日夜 メトロポリタン・オペラ・ハウス)

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