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41周年を迎えた、全米最大のアフロ・アメリカンのダンスの祭典「ダンス・アフリカ2018」

ワールドレポート/ニューヨーク

ブルーシャ 西村 Text by BRUIXA NISHIMURA

" Dance Africa 2018 "「ダンス・アフリカ2018」

" Remenbrance, Reconciliation, Renewal "「記憶、和解、再生」
Artistic Director: Adel R. Salaam アデル・R.サラーム:芸術監督

今年、第41回を迎えるダンス・アフリカ2018のメイン公演「記憶、和解、再生」が、ブルックリンのBAMで、5月25日から28日まで5公演開催されました。
ダンス・アフリカは、1977年に故ババ・チャック・デイヴィス(2017年永眠)が創設した、全米最大のアフロ・アメリカンのダンス・音楽・文化の祭典です。2015年に、アデル・R.サラームへとリーダーシップのバトンが受け継がれました。
音楽もダンスも見事なクオリティーで、毎年アフリカから直接、ダンス・カンパニーとミュージシャンたちが招聘されます。
ダンス・アフリカの期間中は、今ではメイン公演のほか、アフリカン・ダンスのワークショップ、上級者向けダンス・クラス、ダンス・パーティ、コミュニティ・デイ、映画上映、アート展、マーケットなどが開催されます。中でもBAMの周囲のストリートに設置されるマーケットは、規模が大きいもので、アフリカン、アフロ・アメリカン、カリビアンのアート、工芸品、料理など200店以上のベンダー(屋台)が出展し、毎年3万人以上の来場者があるほどです。
私は25日の夜の公演を観ました。今年は、南アフリカ共和国からダンス・カンパニーが招聘されていました。
最初、Spitit Walkers(スピリット・ウォーカーズ)の" Umbono 1 " ( Vision 1 ) - Rise(ウンボノ1-ライズ)のダンス、お祈りが上演されました。衣装デザイン、振付はアデル・R.サラームです。
白一色のアフリカの民族衣装を着たダンサーたちが大勢、手に小さな明かりを持って、客席後方から通路を伝って歩いて前に進み、舞台上につながる階段を登って、次々に登場しました。音楽はたくさんの太鼓(ジンベ)の演奏でした。そしてうす暗い照明の中で幻想的に、ダンサーたちはだんだん盛り上がり、激しいアフリカン・ダンスを踊りました。
そして続けてその人々の中に、芸術監督のサラームが登場し、オープニングの舞台挨拶をしました。その後、" Umbono 2" ( Vision 2)『ウンボノ2』(バージョン2)が、そのまましばらく続きました。

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DanceAfrica Spirit Walkers DanceAfrica ©Julieta Cervantes

次は、南アフリカ共和国から呼ばれた、Siwela Sonke Dance Theatre( シゥエラ・ソンク・ダンス・シアター)の" UMSUKA "『ウムスカ』(世界初演)です。振付は、Neil Rushualang ネリ・ルシュアラングです。ダンサーは6名、打楽器の音楽は4名の演奏でした。
シゥエラ・ソンク・ダンス・シアターは、南アフリカ共和国が新しく独立した頃、1995年に創立され、22年以上続いています。芸術監督のJay pather ジェイ・パザーと、常任振付家のSimphiwe Magazi シンフィゥエ・マガジによって形作られました。ダーバンの黒人の若者のためのダンス教育のトレーニング・プログラムを作り上げました。シゥエラ・ソンクとは、ズールーの言葉で、「皆共に新しい場所へ超えて行く」という意味です。
" UMSUKA "『ウムスカ』とは、古い家族の間で隠されている問題の取り組みのことで、何世代もの経験の中で行われていて、若い世代が質問する時、家族の中で予想外の答えが起こります。

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Siwela Sonke Dance Theatre DanceAfrica ©Julieta Cervantes

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Siwela Sonke Dance Theatre DanceAfrica ©Julieta Cervantes

男性たちはジンベをかついで、たたいて演奏していました。4名のジンベ演奏は、迫力があって、音が分厚くて、乾いた音を響かせていました。
南アフリカ現地の言葉でセリフも言っていて、ダンスだけでなく演劇の要素も強かったです。衣装は、アフリカ原住民のような格好や、現代の普通のフレアースカート、白いパンツとシャツ、ミニスカート、白いロングワンピース、赤いロングワンピースなどでした。割と全体に、現代的なデザインの衣装でした。
南アフリカ現地の言葉で、歌も歌っていました。
ダンサーたちは、踊りの鍛錬が積まれていて基礎がしっかりしていたので、単なる土着的なアフリカン・ダンスとは違いました。アフリカ的な飛び跳ねる激しいダンスもありましたが、コンテンポラリーの要素もあり、ほどよいバランスでミックスされていました。

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Ingoma KwaZulu-Natal Dance Company DanceAfrica ©Julieta Cervantes

そして、南アフリカ共和国の、Ingoma KwaZulu-Natal Dance Company Cervantes(インゴマ・クワズルーナタル・ダンス・シアター)の " TSWANA "『ツワナ』です。振付は、Siyanda Mxolisi シヤンダ・ムクソリシです。ダンサーは25名、打楽器は2名です。
Ingoma KwaZulu-Natal インゴマ・クワズルーナタルは、詩人、ジャーナリスト、映像作家、テレビ番組プロデューサーであるドゥマ・ニディオヴの発案です。
これは、ダンス・アフリカ2018のために、南アフリカの4つのダンス・カンパニーのメンバーたちで結成されたスーパー・グループです。伝統的アフリカン・ダンスとコンテンポラリー・ダンスのカンパニーが一つに組み合わせられています。
その4つのカンパニーとは以下です。
Champions Dance Crew チャンピオンズ・ダンス・クルー:イシパンツラという、アパルトヘイト時代に最初に現われた力強いストリート・スタイルの動きを特徴としています。
Kangaroo カンガルー:ダーバン・ベースの、トラディショナル・ズールー・アンサンブルです。
The all female Tswana Group ザ・オール・フィメール・ツワナ・グループ:ツワナ、ペディ、ヴェンダでトレーニングを受けた、コサ・スタイルです。
Amatsheketshe アマツェケツェ:全員女性の一座で、ウシヤメニとウムコマースの、トラディショナル・ズールー・スタイルを特徴としています。
第一幕の最後にこのカンパニーから、若い未婚女性のダンサーたちが5名出てきて少し踊りを披露しました。飛び跳ねて、元気の良いアフリカン・ダンスでした。

休憩をはさんで、第二幕が開いてすぐに、今年の若者たちへの奨学金授与が行われました。
その後、続けて同じIngoma KwaZulu-Natal Dance Company Cervantes インゴマ・クワズルーナタル・ダンス・シアターのの出演でした。" Umbono 3" ( Vision 3): INGOMA KWAZULU-NATAL『ウンボノ3』(ヴァージョン3):インゴマ・クワズルーナタルです。

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Ingoma KwaZulu-Natal Dance Company DanceAfrica ©Julieta Cervantes

最初、ダンサーたちは踊るだけでなく、みんなでアカペラで、お互いに合いの手を打つように投げかけてコーラスではもって歌うところもありました。祈りの儀式のようでした。女性が大きな声で歌い祈っていました。天に向かって雨乞いをするシーンでは、食物を育てて子供たちに与えることが出来るように、雨を降らせてくださいと祈り、それを歌と踊りで表現していました。
次は伝統的なズールー・ダンスが披露されました。勇敢さ、男性らしさ、荒々しさ、力強さの塊のようなダンスでした。男性ダンサーたちも多く出てきて、カンパニー全員で踊りました。床を踏みしめて音を鳴らしたり、飛び跳ねたり、大迫力でした。男性達がジンベも生演奏していました。
そして、リズム感が抜群の身体をツイストするダンスが披露されました。これは、若者たちがストリートで踊っているものです。歌手のビヨンセが、このダンスをモザンビークで若者たちがグループで踊っているのを観て気に入り、彼らをスカウトしてアメリカへ連れてきました。彼女たちはビヨンセのミュージック・ビデオ " Run the World (Girls) "『ラン・ザ・ワールド(ガールズ)』に出演して踊っています。
最後のフィナーレは、ダンサー全員で激しく踊り、圧巻で大迫力でした。ドラケンスバーグ山脈から来たクワズルーナタル・ダンスです。特に男性ダンサー達は、すごく高く飛び跳ね続けて、飛び上がって宙を高く舞い、下へ深く着地して、跳躍力が素晴らしかったです。リズム感抜群で、エネルギーが爆発している、アクロバティックな踊りでした。男性4人がジンベをたたいて演奏し、大きな音、速いリズムで重低音が鳴り響き、すごい迫力でした。
ダンサーたちはよく訓練を積まれていて身体も柔らかく、縦に組み体操をして3段(下から2人、2人、上に1人と縦に)に少しずつ人が登って増やしていき、静止していました。
また女性たちも大勢出てきて、全員で激しいリズムで踊り続け、クライマックスとなり、大勢が雄叫びを上げてポーズを決めて、終わりました。
(2018年5月25日夜 BAM)

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