ブランカ・リーによる明和電機ミュージカル・マシーンとNAOロボットとのコラボレーション

ワールドレポート/ニューヨーク

ブルーシャ西村
text by BRUIXA NISHIMURA

Blanca Li Productiona ブランカ・リー・プロダクションズ

"ROBOT" by Blanca Li 『ロボット』ブランカ・リー:振付

6月9日から14日まで、BAMでブランカ・リー・プロダクションズによる『ロボット』の公演がありました。ダンサー9名と、明和電機のミュージカル・マシーンたち、アルデバランロボティクス社(Aldebaran Robotics)の自律型ヒューマノイド・ロボットNAOたちを使ったパフォーマンスです。日本人ダンサーの菅野由衣も出演しました。
舞台セットが大掛かりで、一目見ただけで多額な金額がかけられているのが分かります。これはダンス作品というより、ダンスも加えられた舞台芸術、壮大なパフォーマンスと表現するほうが良いと思います。明和電機とのコラボ作品と聞いて、きっと面白い作品だろうなと期待して出かけましたが、期待以上に素晴らしい舞台でした。とにかく、今までに観たことのないパフォーミング・アーツで、他に似ている作品が無く、ブランカ・リーの独特で個性的な作品です。温かみがある楽しい舞台でした。

ブランカ・リーはスペイン人でグラナダ生まれのダンサー、振付家、映像作家です。フランスの最も成功している私立カンパニーの一つとして、ブランカ・リー・ダンス・カンパニーを22年率いていて、世界中で14作品を1000回以上、公演しました。
リーは、振付家としても活躍していて、パリ・オペラ座バレエ団、メトロポリタン・オペラをはじめ、ペドロ・アルモドバルの映画『アイム・ソー・エキサイテッド!』 "Los Amantes Pasajeros" (2013)、音楽スターたちビヨンセやポール・マッカートニーのライヴ、ファッション・デザイナーのジャン・ポール・ゴルティエやステラ・マッカートニーのファッション・ショーなどの振付をしました。2001年〜2002年にはベルリン・コーミッシュ・オーパ・バレエ団の、2006年〜2010年にはセントロ・アンダルス・デ・ダンサ(アンダルシア・ダンス・センター)の芸術監督と振付家を務めました。受賞歴も多数あります。

© LaurentPhilippe

© LaurentPhilippe
Ellen Jacobs Associates

私は6月13日の公演を観劇しました。オリジナル音楽はタオ・ギテレス(Tao Guiterrez)と明和電機、振付はブランカ・リーです。
リーは、ニューヨーク公演を実現させるために、1年間ニューヨークに住み、ニューヨーク・チームを結成し準備したそうです。大掛かりな舞台セットと機材をフランスから輸送するにも、またそれを操作する裏方の人々を移動させるのも莫大な経費がかかるため、ニューヨーク公演に向けて準備に長期間をかけたそうです。

舞台には最初、男性のダンサーが真ん中に立っていて、人形のように見えるほど微動だにせず、その表面に様々な映像が映し出され、映像が移り変わっていきました。この人体にピッタリ合った大きさと奥行きの模様のような映像が、景色になったりロボットの内部のようになったり様々で、すごい速さで映像が変わり、長く5分間以上は続きました。そしてその人形のようにも見えた人は、結局、男性ダンサーだったと最後には種明かしのようになりました。
そして周りにも同じくダンサーたちが8名出てきました。衣装は、男性はショートパンツのみ、女性はスポーツブラのようなものとショートパンツのみで、体の動きがよく見えるものでした。ダンサーは全員、鍛え上げられた肉体でした。舞台全体は暗く、照明は左右からスポットのように当てられていて、薄明かりのような感じでした。
ダンサーたちは、前4名、後ろ4名と別々の動きをしたり、中央や前方で女性のソロが何名か続いたり、後ろで3名が踊ったり、また前で別の3名が踊ったり、重なって移り変わっていきました。ダンスの振付はバラバラで、コンテンポラリーなものでした。

ダンサーたちが去って、次は明和電機のミュージカル・マシーンたちの登場です。1台ずつ舞台上に出されて設置される度に、ダンサー数名が踊りました。楽器のように音を奏でるロボットたちです。まず最初に、両手のようなものがアコーディオンのようになっていて、左右に手が動いてアコーディオンが伸び縮みすると音が出る大きなロボットが出されて、真ん中に置かれました。このロボットの台の下には車輪がついていて、移動しやすくなっていました。
2名ずつのダンサーたちの踊りが続いた後、やがてこのロボットの後ろの黒い幕がゆっくり上がり、そこには同じくミュージカル・マシーンたちのロボットのバンドが置かれていました。
花のように閉じたり開いたりして木琴のような音を奏でるロボット、弦楽器のようなロボット、オルガンのような音が出るロボット、ドラムスのような風貌でリズムマシーンのようにリズムを鳴らすロボットが次々に出てきて、演奏しました。そして、1台ずつ出てきて音を鳴らす度に、客席は大笑いして受けていました。特に、ドラムスのようなリズムマシーンのロボットは、左右前方に小さな人形がついていて、その人形たちは両手を振ってリズムを奏でていて、みんな大爆笑。おかしかったです。このミュージカル・マシーンたちは、ローテクな雰囲気で懐かしく温かい感じがして、味があって良かったです。

© LaurentPhilippe

© LaurentPhilippe

© LaurentPhilippe

© LaurentPhilippe

機械音が鳴って、これらのミュージカル・マシーンたちが音を鳴らして、だんだんと音が分厚く重なり合奏になりました。その音楽にあわせて、ダンサーたちがカクカクしたロボット風の動きの踊りをしました。5〜6名、7〜8名ずつくらいで、動き続けました。結構速い速度の音楽と動きです。ダンサーたちは、例の明和電機の土佐さんたちが着ているものと同じ、明るいグリーン・ブルーの作業服の衣装でした。男性は明和電機と同じもの、女性は色が同じでヒザ上丈のワンピースでした。素早い動き、小さな間隔の動き、ヘンテコなおかしな感じの動きが多く、会場を笑わせていました。どんどんリズムの速度が上がり続け、ダンサーたちは去り、最後は男性ソロが残って動き続け、その速さについていけなくなり目が回り、バタッと倒れて、大の字になって伸びてしまった様子を表していました。

次に、箱が5個出てきました。真ん中の一つが開けられて、男性ダンサーが中から小さな幼児のような大きさのロボットを取り出しました。自律型ヒューマノイド・ロボットNAOです。そしてそのダンサーは、NAOを床に立たせてその両手を上に持ち上げてつかみ、NAOの足がゆっくり一歩ずつ歩き始めました。やがてダンサーは手を離し、NAOは1人でゆっくり歩き始めました。NAOはバタッとこけてしまい、そこから自分でゆっくりと立ち上がりました。

© LaurentPhilippe

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ダンサーはNAOを抱きしめてから箱の上に座らせて、ダンスを踊って見せました。次にNAOに耳元でダンサーが何かを話しかけると、NAOは踊り始めました。先ほどのダンサーが踊ったのと同じようなバレエの振付をできるだけ再現して踊っていました。NAOが片足で立って片足を少しずつ上げてみてバランスをとったり、ゆっくりとプリエをしたり、グラン・プリエをしていました。NAOを男性がリフトして、頭の上に持ち上げて舞台上を大きく遠くに連れて行って動かしたり、上でNAOがアラベスクしたり、NAOを回転させたりして、パ・ド・ドゥを踊りました。盛大な拍手がありました。
ダンサーが別の4つの箱も開けると、中から同型のロボットNAOが4体出てきました。そして5体のNAOが同時にバレエの同じ振付で踊りました。端のNAOがバタッとこけて、1人でゆっくりと立ち上がり、またこけて立ち上がっていました。5体のNAOが踊っているところは、まるで幼児が動いているように見えて、可愛らしかったです。客席からの大きな拍手に包まれました。
そこにロボコンのような風貌の大きなロボットが5個出てきました。中にダンサーが入っている着ぐるみで、ロボットっぽい動きをしていました。後ろにそのダンサーの着ぐるみのロボット5体が並び、前に5体のNAOが並び、踊りました。

男性と女性(菅野由衣)が2名出てきました。菅野は手にリモコンを持っていて、男性は頭の上にアンテナを立てていて、菅野がリモコンを押しながら男性に"前!""後ろ!"など次々に早く命令し続けて、男性は急いでそのとおりに動き続けていて、大変そうでした。

誰が観ても楽しめる、素晴らしいパフォーミング・アーツです。観て良かったです。リーが熱望している日本公演が、ぜひ実現しますように。

BLanca Li http://www.blancali.com/
明和電機 http://www.maywadenki.com/
自律型ヒューマノイド・ロボットNAO https://www.aldebaran.com/ja/xiao-xing-robotutonaotoha
(2015年6月13日夜 BAM)

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