【ニュース】マリア・コチェトワ、サンフランシスコ・バレエを退団

ワールドレポート/ニューヨーク

三崎 恵里  Text by Eri Misaki

サンフランシスコ・バレエ(SFB)は4月16日、同バレエ団のプリンシパル、マリア・コチェトワ(Maria Kochetkova)が今年のSFBのレパートリー・シーズンであるアンバウンド・フェスティバル(Unbound Festival)を最後に退団することを発表した。コチェトワは2007年にプリンシパルダンサーとして同団に入団、11年間カンパニーを引っ張ってきた。

SFBの芸術監督で主席振付家のヘルギ・トマソンは、「マーシャは美しいダンサーで、過去11年間サンフランシスコ・バレエで彼女が成長し、さらに彼女の稀有な才能を伸ばすのを見るのは私にとって喜びだった。SFBの観客ともども、われわれは彼女が居なくなるのは寂しいが、彼女のさらなる冒険に最善を祈りたい。」と語った。

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Maria Kochetkova In Benjamin Millepied's "The Chairman Dances".(Photo © Erik Tomasson)

 コチェトワは「SFBでキャリアを積むことができて、私はとても幸運でした。これまでの11年間、ステージで一緒に踊ったダンサーたちや、一緒に仕事をしたすべての振付家、教師たちに感謝します。彼らが私を今の私というダンサーにしてくれました。」と話した。「ヘルギ(トマソン)が私を信じてくれ、リスクをかけて私にプリンシパルの契約をくれたことは、永遠に感謝しています。観客の皆さん、私の舞台を観に来てくださり、ご支援くださってありがとうございました。このカンパニーを私にとって特別な場所になるのを助けてくれた皆さん、ありがとうございます。しかし、私は次の段階に進む時が来ました。まだ何が私の大きな新しいステップになるのかは分かりません。けれども、そのステップが私を何処へ連れて行ってくれるのか、楽しみです。」

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Maria Kochetkova in Christopher Wheeldon's "Cinderella".(© Erik Tomasson)

 コチェトワはSFBの全幕もののバレエの主役の数々を踊り、レパートリーにはヘルギ・トマソンの振付の『ジゼル』『くるみ割り人形』『ロメオとジュリエット』『白鳥の湖』、トマソンとユーリー・ポソホフの共同振付の『ドン・キホーテ』、ジョージ・バランシンの『コッペリア』、ジョン・クランコの『オネーギン』、クリストファー・ウィールドンの『シンデレラ』などがある。また、コチェトワのために振付けられたプリンシパルの役は、ウィリアム・フォーサイスの『Pas/Parts 2016』、エドワード・リャングの『Symphonic Dances』、ウェイン・マクグレガーの『Borderlands』、バンジャマン・ミルピエの『The Chairman Dances』、アシュリー・ペイジの『Guide to Strange Places』、ポソホフの『Classical Symphony』『Diving into the Lilacs』『Francesca da Rimini』『Swimmer』、アレクセイ・ラトマンスキーの『From Foreign Lands』、トマソンの『Caprice』『On a Theme of Paganini』『Trio』、そしてウィールドンの『Within the Golden Hour』がある。

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Maria Kochetkova and Vitor Luiz in Balanchine's "Serenade".
(Choreography by George Balanchine © The Balanchine Trust; Photo © Erik Tomasson)

 更にコチェトワのレパートリーには、フレデリック・アシュトンの『Symphonic Variations』、バランシンの『Allegro Brillante』『Jewels(ダイアモンド、エメラルド、ルビー)』『Serenade』『Symphony in C』『Theme and Variations』、フォーサイスの『Artifact Suite』『 in the middle, somewhat elevated』、ケネス・マクミランの『Chroma』『Winter Dreams』、ナタリア・マカロヴァの『バヤデール』(プチパ版に基づく)の「影の王国」の場、マクグレガーの『海賊』のパ・ド・ドゥ(プチパ版に基づく)、ジャスティン・ペックの『In the Countenance of Kings』、ラトマンスキーの『Shostakovich Trilogy』、ジェローム・ロビンスの『Dances at a Gathering』、リアム・スカーレットの『Hummingbird』などが含まれる。

コチェトワは2015のトマソンの『ロメオとジュリエット』の映画版でジュリエットを踊り、テレビ番組『PBSグレート・パフォーマンス』でトマソンの『くるみ割り人形』のグラン・パ・ド・ドゥを踊った。また、世界中のカンパニーにゲスト出演した。彼女が受賞した賞には、『ジゼル』でイサドラ・ダンカン・ダンス賞、3つの国際バレエコンクールでのゴールドメダルが含まれるほか、ブノワ賞にノミネートされたこともある。

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Maria Kochetkova in Helgi Tomasson's Trio. (© Erik Tomasson)

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