夏恒例、ニューヨークのタップ・ダンスの祭典、第16回目は「タップ・トレジャーズ」

ワールドレポート/ニューヨーク

ブルーシャ西村
text by BRUIXA NISHIMURA

American Tap Dance Foundation
アメリカン・タップ・ダンス・ファンデーション

"Tap Treasures" Tap City「タップ・トレジャーズ」タップシティ
Tony Waag artisticdirector トニー・ワーグ:芸術監督

毎年7月恒例のニューヨークのタップ・ダンスの祭典、「タップ・シティ」の第16回が、7月9日から16日まで開催されました。タップ・シティは年々、規模が大きくなっていき、今年は8日間にわたって、授賞式、マスター・クラス、夏期講習、パフォーマンス、タップ・ダンス・ストーリーテリング・ツアーなどのイベントが行われました。今では毎年、日本をはじめ世界中から参加者がやってきます。

新しいプログラムとして加わったタップ・ダンス・ストーリーテリング・ツアーは3日間に渡り、タップ・ダンスのレジェンドの先生たちが引率して、ニューヨーク市内でタップ・ダンスの歴史をたどるツアーです。タップ・ダンスが発展してきた中心地のニューヨークならではの、リハーサル場所、公演やタップのセッションが上演されてきた場所などを巡り、3日間を、ニューヨーク市のアップタウン編、ミッドタウン編、ダウンタウン編と分けて引率されました。アポロシアター(Apollo Theater)、"The new 42nd Street"(新42丁目)のニュー・アムステルダム・シアター(New Amsterdam Theatre)、リバティー・シアター(Liberty Theater)、ザ・コパセティック・ボート・ライド(The Copasetic Boat Ride)、ザ・ヴィレッジ・ゲート(The Village Gate)、ウッドペッカーズ・タップ・ダンス・センター(Woodpeckers Tap Dance Center)、そして現在のホームであるアメリカン・タップ・ダンス・ファンデーションを見学して周りました。

photo (C) Amanda Gentile

photo (C) Amanda Gentile

いつも思いますが、このアメリカン・タップ・ダンス・ファンデーションの人々は、理事長のトニー・ワーグをはじめ、皆さんがとても明るくて楽しそうなのです。人柄が良い人々ばかりが集まっていて、素晴らしい団体です。生徒さんたちもここに通ってレッスンを受けているうちに、どんどん明るくなっていくそうです。タップ・ダンスには、人が楽しく明るくなる魔法のような魅力があるようです。音楽に乗ってタップをふみしめて踊っていると、嫌なことやストレスが吹き飛んでいくのでしょう。都会のニューヨークでタップ・ダンス愛好家が多い理由が分かる気がします。私もタップ・ダンスに時々通っています。

photo (C) Amanda Gentile

photo (C) Amanda Gentile

今年は、7月14日夜のパフォーマンス、「タップ・トレジャーズ」を観に行きました。ブロードウェイの劇場、ザ・デューク(The Duke)で上演され、アメリカン・タップ・ダンス・ファンデーションの講師陣を中心に、ユース・クラスの生徒たちなどがパフォーマンスしました。
今回は、短めの1時間のショーが1日に2回公演ありました。出演者多数で、9つの短い作品が上演されました。
今回のテーマ「タップ・トレジャーズ」は、コンテンポラリーのタップ・ダンスのマッシュ・アップです。ヒップホップ、ワアッキング(Waacking)、ボディー・パーカッション、ソフト・シュー、スウィング、映像と写真です。タップ・ダンスは、その時代ごとに新しいステップが開発されてきているので、現代の最先端のタップのステップはどんどん変化していきます。今回はその最先端のステップが、コンテンポラリーのタップ・ダンスとして紹介され、上演される機会となりました。やはり現代タップの中心地で生の公演を観るのが情報が早いです。

photo (C) Amanda Gentile

生演奏のバンドはピアノ、ベース、ドラムスです。途中、時々トニー・ワーグの司会や歌もありました。アメリカン・タップ・ダンス・ファンデーションに関わっていたり、教えている先生たちは人数が多いので、タップ・シティの出演者は毎年なるべく重ならないように、いろいろな人を選んでいる様子です。
今年は、10代の生徒たちによるタップ・シティ・ユース・アンサンブル、マックス・ポラック、リン・シュワブ、メリンダ・サリバン、フェリペ・ガルガンニ、カレン・カラウェイ・ウィリアムズなどが出演しました。

タップ・ダンスだけではなく、同時に舞台上にスニーカーをはいたヒップホップのダンサーたちも出てきて、難易度の高いダンスを披露していました。ブレイキングもとても上手で、ヘッドスピンもしていたので、すごい拍手で盛り上がりました。さすがニューヨークならではのストリート・ダンスが出てきて、演出にこだわりが感じられました。
ビバップのリズムに乗って、トラディショナルなタップのステップも出てきました。床に少し砂を落として、それを足でずってザーッという音を出しながら踊る、ソフトシューもありました。リズム・タップ、ファンク・タップの振付もあり、複雑なリズムを早打ちで踏むステップも、難易度が高くて見ごたえがありました。これもニューヨークらしいステップです。タップ・ダンサーが、歌も上手に歌い、踊るところもあり、会場の人々にも歌わせて盛り上げていました。
最後は、毎回恒例のフィナーレで、定番のステップの「シムシャム」を全員で踊り、楽しそうでした。
(2016年7月4日夜 ザ・デューク)

photo (C) Amanda Gentile

photo (C) Amanda Gentile

photo (C) Amanda Gentile

photo (C) Amanda Gentile

All photos (C) Amanda Gentile.

ページの先頭へ戻る