フラメンコ・フェスティバル最終日はバレ・フラメンコ・デ・アンダルシアの舞台で大いに盛り上がった

ワールドレポート/ニューヨーク

ブルーシャ西村
text by BRUIXA NISHIMURA

Ballet Flamenco de Andalucia バレ・フラメンコ・デ・アンダルシア

"IMAGES: 20 YEARS" Rafaela Carrasco
「イメージズ:20年」ラファエラ・カラスコ:芸術監督&振付

3月18日と19日に、スペインのバレ・フラメンコ・デ・アンダルシアの公演が、ニューヨーク・シティ・センターで行われました。3月2日から19日まで開催されたフラメンコ・フェスティバルは、このバレ・フラメンコ・デ・アンダルシアの舞台で千秋楽を迎えました。今年のフラメンコ・フェスティバルは、今まで一番規模が大きかったのです。前号に引き続き、後半の公演をレポートします。

photo/Luiz C Ribeiro

photo/Luiz C Ribeiro

バレ・フラメンコ・デ・アンダルシアは旧コンパニーア・デ・アンダルサ・デ・ダンサで、1994年に創立されました。以来、世界へ向けてフラメンコ大使の1つとなり、主要な国際的なイベントで公演してきました。愛知万博、アメリカのフラメンコ・フェスティバルなどです。過去20年間以上で、バレ・フラメンコ・デ・アンダルシアのダンサーたちと振付家は数々の賞を受賞しています。
現在の芸術監督は、ラファエラ・カラスコです。振付は、ラファエラ・カラスコ、ダビッド・コリア、ウーゴ・ロペス、アナ・モラレスです。出演ダンサーは、女性7名、男性5名。ミュージシャンは3名、歌手は2名です。
ダンサーたちのレベルがとても高くて、伝統的なフラメンコだけではなくバレエベースでの鍛錬も積んできている様子が垣間見られました。多くのダンサーたちはバレエベースの回転も上手で、アティチュードで回転したり、ピルエット2回転や3回転、シェネなどが多く踊られて、バレエの基礎もしっかりと出来ていました。
レベルの高いダンサーたちばかりの大所帯のカンパニーなので、見ごたえがありました。ギターもカンテも巧みで、声も良く響いて迫力がありました。ストーリーのように一つの作品として全体がまとめられていて、洗練された完成度の高いダンス作品の公演でした。それでいて、客席皆が期待している伝統的な生粋のフラメンコのシーン、サパテアード、ダンスバトルのようなところも随所に盛り込まれていました。その度に大きな歓声がわきました。ダンサーたちのコンパスは正確で、身体の重心が動かず、サパテアードの音も大きくて本物の迫力満点でした。

幕開きは照明が暗いところで12名が椅子に座っていました。水の音、雑音のような録音が流れていました。少しずつ、ソロで女性ダンサーが踊り始めました。椅子を使った演出です。全員で椅子に座ったままで足元だけサパテアードを続けたり、手のフリをしていました。そして皆で、椅子の上に立ってサパテアードをして、かなり長く踊り続けました。
舞台後方に月の画像が大きく映り、白いドレスを着た女性のソロがありました。ギター2名、カンテたちもいて、生演奏の音楽に乗って踊りました。休止、音と動きのタメも多く入れていました。しばらく、椅子を使って踊る女性のソロなどが続きました。

photo/Luiz C Ribeiro

photo/Luiz C Ribeiro

男性、女性たちのソロの踊りのシーンがところどころにたくさん組み込まれていました。その合間に、4〜5名で踊るところ、2〜3名で踊るところ、もっと大人数で踊るところなどが次々に重ねられ、去っていき、また出てきて連なっていきました。
とても長い段々の裾の、白いバタデコーラを着たカラスコが出てきて踊ったシーンは、特にこの作品での一番の盛り上がりといってもよく、ヴィジュワルにも全体のアクセントになっていました。バタデコーラの裾を後ろに蹴り上げながら回り続けていました。その度にビュンビュンとすごい勢いと速さで、裾が宙に浮いたままで回り続けました。
男性たちのソロでのダンスバトルも激しく、大音量で、速打ちもすごかったです。ソリストのダビッド・コリア、ウーゴ・ロペスは、とても実力のあるバイラオールでした。

photo/Luiz C Ribeiro

photo/Luiz C Ribeiro

最後の方にはまた盛り上がるシーンがあり、カラスコたちがマントンを使って、振り回して踊るところです。歓声と拍手が大きかったです。女性2名がそれぞれマントンを持ち、お互いにマントンを上に放り投げて渡して、また受け取って振り回したりしていました。そこに男性も加わり、マントンを受け取って、闘牛士の真似をしたり、すごい勢いで振り回しました。
最後には激しいサパテアードのダンスバトルが続き、すごい速打ちと大音量の中 、数名が次々に入れ替わってのソロ。その大きな盛り上がりの中、パッと照明が消えて終わりました。すごい拍手でした。
(2016年3月18日 ニューヨーク・シティ・センター)

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