ワールドレポート ~世界のダンス最前線~

From London <ロンドン>: 最新の記事

From London <ロンドン>: 月別アーカイブ

守屋光嗣 text by Koji Moriya 
[2007.06.10]

『セイクレッド・モンスターズ』

シルヴィ・ギエム、アクラム・カーン

  昨年の秋のサドラーズ・ウェルズ劇場での世界初演以来、精力的に各国で公演されている、シルヴィ・ギエムとアクラム・カーンのコラボレイション、『セイクレッド・モンスターズ』。今回も、ほぼ完売の人気ぶりだった。
サドラーズ・ウェルズ劇場で2度目となる今回、構成の根幹は変わっていなかったが、いくつか振付に変更があった。特に顕著だったのが、始まりと終わり。幕 が上がると同時にチェロの演奏が始まり、舞台には既にギエムとカーンがいて、互いに前になり後ろになるように一緒に踊っている。カーンが振付けた二人の デュオ・パートの最後では、古典バレエ・ダンサーとしてのギエムをもっと魅せる振付が加えられていた。
初演時に感じた、75分の上演時間の中で3人の振付家によるダンス・パートの構成には今回も散漫な印象を抱いた。反面、加えられた変更によって、このコ ラボレイションが、演じられるたびに変化し続けていることを強く感じた。前へ、前へと進みつづけていく意思が、舞台に漲っていたようだ。
今回の再演の初日を終えて、BBCのラジオ4のインタヴューで、ギエムはこう語っていた:「私は、古典バレエを踊らない、ロイヤル・バレエで二度と踊ら ない、といったことはない。ただ、今は、コンテンポラリーが自分の中で大きな位置を占めている」。
日本びいきのギエムにしては珍しく、『セイクレッド・モンスターズ』は未だに日本では商業的に公演されていないようだが、日本で上演されるとき、どのような変化が加えられているのか。