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関口 紘一 text by Koichi Sekiguchi 
[2017.07.10]

民俗舞踊の力強い開放感によって革命の膨大なエネルギーを垣間見せた『パリの炎』

The Bolshoi Ballet ボリショイ・バレエ団
“The Flames of Paris” choreography by Alexei Ratmansky with use the original choreography by Vasily Vainonen
『パリの炎』アレクセイ・ラトマンスキー:振付、ワシリー・ワイノーネン:原振付

『パリの炎』は旧ソ連時代の1932年に、サンクトペテルブルクの今日のマリインスキー劇場で、ワシリー・ワイノーネンの振付、ボリス・アサフィエフ音楽により初演され、翌年、モスクワのボリショイ劇場でも上演された。その後レパートリーから外れ、第4幕のパ・ド・ドゥのみが上演されることが多かった。しかし、2008年ボリショイのニューシアターで、ラトマンスキーの振付により、復活上演され、新たにレパートリーに入った。

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ボリショイ・バレエ団『パリの炎』撮影/瀬戸秀美(すべて)

『パリの炎』は、フランス革命の渦中、マルセイユからパリの義勇軍に参加しようとする若者たちを中心に、結ばれる愛と悲劇に終わる愛のドラマを描いている。農民の娘ジャンヌとマルセイユの青年フィリップは、フランス革命の義勇軍に参加するためにパリに向かう。そして、革命後最初に結ばれたカップルとして祝福される。一方、ジャンヌの兄ジェロームと彼を助けた好色の侯爵の娘アデリーヌは、彼女が貴族の娘だということのためにギロチンの露と消える。
ジャンヌをエカテリーナ・クリサノワ、フィリップをウラディスラフ・ラントラートフ、ジェロームをデニス・サーヴィン、アデリーヌをアナ・トゥラザシヴィリ、侯爵をイーゴリ・ツヴィルコ(セミョーン・チュージンが予定されていたが体調不良のため変わった)、というキャストで観た。
劇中、後にフランスの国歌となった「ラ・マルセイエーズ」がしばしば歌われ、ファランドールやオーヴェルニュの踊り、マルセイユ人の踊り、バスク人の踊りなどの民俗舞踊が力強く踊られる。一方、王宮ではメヌエットが奏でられて舞踏会が催され、余興にパリの人気俳優による宮廷バレエ「リナルドとアルミーダ」が演じられる。解放感溢れる民俗舞踊と、華やかだが格式ばった宮廷舞踊とが鮮やかなコントラストを描いて踊られ、大いに劇的効果を上げている。クリサノワとラントラートフの躍動感に溢れた力強い踊りが舞台を駆け巡り、民衆による革命の膨大なエネルギーを表し、深い印象を残した。
(2017年6月14日 東京文化会館)

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tokyo1707c_6545.jpg ボリショイ・バレエ団『パリの炎』撮影/瀬戸秀美(すべて)