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関口 紘一 text by Koichi Sekiguchi 
[2017.02.10]

バレエジェンツの5人のバレエダンサーが全身で音を感じながら、溌剌と力感をみなぎらせて踊った

日本フィル&サントリーホール「とっておき アフターヌーン」Vol6 バレエ×オーケストラ
バレエジェンツ 宮尾俊太郎:振付・出演、杉野慧 益子倭 篠宮佑一 栗山廉:出演

日本フィルハーモニーとサントリーホールによる第6回「とっておき アフタヌーン」にK バレエ カンパニーのプリンシパルダンサー、宮尾俊太郎が座長を努めるバレエジェンツが出演した。「とっておきアフタヌーン」オーケストラ×バレエへのバレエジェンツの出演は、今回が2回目となる。指揮はダンス公演とのコラボレーションも多い大友直人。ソプラノは幸田浩子だった。
通常のバレエ公演とはまた違って「日本フィルが舞台にいて背中から音が来る。音に突き動かされるような、心の中から音圧で振動する感じで、全身で音を感じて踊れるのはとても素晴らしい」と宮尾。そして「ホールもまた舞台セットのように美しい」と、バレエダンサーにとって特別な空間で踊ることのできる喜びを、5人が全身で溌剌と表すような素敵なまさに「とっておきの」公演だった。

tokyo1702d-217.jpg ©Jin Kimoto

全8曲が大友直人と指揮の日本フィルハーモニー交響楽団のよって演奏され、うち4曲でオーケストラとバレエが素晴らしいコラボレーションを披露した。
まず、ドヴォルザークの「交響曲第9番 ホ短調 B 178『新世界より』」宮尾俊太郎、杉野慧、益子倭、篠宮佑一、栗山廉の5人のバレエダンサーが黒の礼服風の衣装でで踊った。新たな世界に出会った時の新鮮な驚きを清々しい旋律と共振して表す力強い踊りだった。さすがに活きの良い男性ダンサーが5人同時に舞台で踊ると、迫力がある。ヴィジュアルで感じ取る力感とオーケストラの響きが、苦もなく観客を別の世界へと連れ去ってくれる。宮尾の振付は着実にボキャブラリーを増やして豊になっている、と感じられた。続いてドヴォルザークとも交流があったというチャイコフスキーの「交響曲第5番 ホ短調 作品64から第2楽章」が演奏された。
ハチャトゥリアンの組曲『ガイーヌ』から「レズギンカ」。短い旋律を速いテンポで繰り返し熱狂的な興奮を呼び起こすコーカサス地方の民族音楽に乗せて、上下とも白い衣装の杉野慧と栗山廉が弾けるようなダイナミックな踊りを見せて会場も大いに盛り上がった。
そしてフォーレの『レクイエム』ニ単調 作品48から 第4曲「ピエ・イェズ」。これは宮尾俊太郎のソロ。白い薄布を腰に飾って、2階で歌われる「永遠の安息を願う」アリアとパイプオルガンの響きとともに、しっとりとしかし力強く踊った。
休憩の後は、ヨハン・シュトラウスⅡのワルツ『春の声』作品410の演奏。
続いて20世紀アメリカの作曲家ルロイ・アンダーソンの、ポップス・オーケストラの人気曲『トランペット吹きの休日』。3人のトランペットを中心に演奏される軽快で変化に富んだユーモラスな曲は、金ボタン付きのダークグリーンの、白いベルトでウエストを締めた制服姿で、益子倭と篠宮佑一が踊った。トランペットの高らかな響きと躍動感が舞台上でクロスして、劇場空間を生き生きとした空気で満たした。そしてチャイコフスキーの幻想序曲『ロメオとジュリエット』の演奏。
ラストはホルストの組曲『惑星』作品32から第4曲「木星」。再び5人の男性バレエダンサーが黒い礼服風の衣装で登場し、「祝祭的色彩を持つ歓喜にあふれた楽章」を壮大な宇宙空間に解き放つかのように踊って、このコラボレーションの幕を下ろした。
バレエジェンツに関する詳しい情報は下記のアドレスにアクセスしてください。
http://www.k-ballet.co.jp/gents/
(2017年1月12日 サントリーホール)

tokyo1702d-128.jpg ©Jin Kimoto tokyo1702d-187.jpg ©Jin Kimoto
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