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すずな あつこ text by Atsuko Suzuna 
[2018.01.10]

川口節子の新作『眠れる森』や『初恋』、松村一葉振付の『光〜The World of Phillip Glass〜』他「舞浪漫2017」公演

川口節子バレエ団創作公演「舞浪漫2017」
『眠れる森』『初恋』川口節子:振付、、『Wedding Dance“I DO!!”』、『RESULT』、『Vitamins』、『光〜The World of Phillip Glass〜』松村一葉;振付、『カラダ・喋る・コトバ』木原浩太;振付

川口節子振付のドラマ性豊かな作品と、松村一葉振付のスピーディ、スタイリッシュな作品、それにゲスト作品もが良いバランスで組み合わされた見応えのある公演だった。

nagoya1801b17k_2188.jpg 『眠れる森』
撮影:杉原一馬(すべて)

幕開けは川口の新作『眠れる森』。チャイコフスキーの『眠れる森の美女』の音楽からピックアップして使ってのオーロラ姫の物語だが、構成も振付もまったくオリジナルの20分ほどの作品。最初、舞台奥の中央上方に木原浩太が堂々としたたたずまいで見えた時には、彼はカラボスなのかと思ったがそうではなくて、オーロラ姫の眠りを守る“森”。彼の手下のような妖精のパ・ド・シスは、太田沙樹、川瀬莉奈、小澤祐貴子、瀬川実由、高橋莉子、野黒美茉夢と踊れるダンサーたちで、ちょっと舞踏を思わせるような異形の表情も見せつつ、転んだり怒って膨れたりと忙しくオーロラに愛情を注ぐ。そして、幼少時のオーロラ姫、若林桃子の子供らしい伸び伸びとした踊りに続き、成長したオーロラ姫は中谷友香。クラシックの基礎に基づいた美しさを持った上での、全く違うコンテンポラリーのコミカルな踊りが女の子らしい魅力に溢れていて、とても可愛いらしかった。4人の王子、水野陽刈、野々山亮、花村壮大、南野高廣も良いダンサーたち、デジレ王子は後藤晴雄で引き締めた。
続いて松村一葉振付『Wedding Dance“I DO!!”』は、女の子の夢を明るく表現したウェディングドレス&白タキシード風衣裳での群舞。このカンパニーの子どもたちは本当に楽しい表情で踊ることをあらためて感じた。続いての松村振付のソロ『RESULT』を踊ったのは野黒美茉夢、柔らかさと勢いのバランスが取れた動きが目を引く。そして、ゲストの木原浩太自作自演の『カラダ・喋る・コトバ』は、意味があるような、ないような言葉とピアノソロのなかで踊る。いつも言葉を気にしてばかりいる私だけど、なんだか自分の言葉に関する固定観念を揺さぶられるような……良い作品だと思った。第1部のラストはカラフルな衣裳での松村振付、『Vitamins』。トゥシューズでのクラシックのパを使いながらのとてもスピーディーな踊りが小気味よい。

nagoya1801b17k_2040.jpg 『眠れる森』 nagoya1801b17k_2527.jpg 『RESULT』野黒美茉夢 nagoya1801b17k_2545.jpg 『カラダ・喋る・コトバ』木原浩太
nagoya1801b17k_1072.jpg 『Wedding Dance“I DO!!”』 nagoya1801b17k_2772.jpg 『Vitamins』

第2部は、フィリップ・グラスの曲をピックアップしての松村の新作『光〜The World of Phillip Glass〜』。最初、客席の明かりがついたまま始まり、一瞬「何か手違い?」と思ったが、それも演出で、客席の横や後ろからもダンサーが登場。照明の明暗、音の大小が音楽の持つ特徴とともに効果的に変化し、そこに、群舞の“人間”の迫力、独特の世界に惹きつけられた。
そして最後、第3部は、川口振付の『初恋』。ツルゲーネフの同名小説を題材にした作品。ドビュッシーの『牧神の午後への前奏曲』が使われるとともに、ヒロインのジナイーダが残したリボンにウラジーミルが頬ずりするなど、『牧神の午後』のエッセンスも取り入れた作品と感じながら観た。これは再演で、初演で観た時には、主役のウラジーミルを木原浩太が踊っていて、彼の中性的な独特の雰囲気がとてもこの作品に合うと感じたのを思い出す。今回のウラジーミルは、野々山亮(昼公演は、花村壮大)。作品が良いだけに、もっと、と期待してしまう部分はあるのだが、初々しさを持ってせつなさを表現していたのは良かった。ジナイーダの太田沙樹(昼公演は川瀬莉奈)も、少し歳上の華やかな女性像を好演していた。また、少年ウラジーミルの住む世界とは違う──ジナイーダのとりまきや近隣の人々が描かれた群舞も引きこまれた。
(2017年11月23日夜 名古屋市芸術創造センター)

nagoya1801b17k_2993.jpg 『光〜The World of Phillip Glass〜』 nagoya1801b17k_3315.jpg 『初恋』