【大人のダンス〜 Q&A編 〜 】Vol.6『腹筋の必要性』

大人からはじめたダンサーに、長くダンスをたのしんでもらえるよう、ダンサー KaQがとっておきのコツを教えます♪』

さまざまなダンスを踊るダンサーKaQだからこそ伝えられる効果的なストレッチ方法や身体づくりに役立つ情報をおとどけします。

「ダンスは○○」なんて誰かにいわれたこと、ありませんか?この「○○」いくつかバリエーションがありまして、
例えば、

  • 表情
    どんなにいい踊りをしていてもやっぱり生き生きと踊っているダンサーの表情についつい釘付けになっちゃうの、なんてときに使いますね。
  • リズム
    そうですよね、リズムがずれていたらなんだか興ざめしちゃいますよね。
    ヒップホップが一般的になってからはこれはホントによくいわれるようになりました。
  • つま先
    怖いバレエの先生の顔がふと浮かんできそうですが、つま先がスッと美しく伸びていないといけない価値観はたしかにあります。

しかしながら、一番はやっぱり「腹筋」ではないでしょうか?

「ダンスは腹筋」

流行り言葉でいうと「体幹」。
以前にこちらの連載でもストレッチにも体幹が必要、という話をしました。
今回は、柔軟性に関わらず、もうとにかく体幹が、しかもその中でも腹筋が大事だよ!!!という話なんです。

例えば、自分がダンスを始めたときの筋トレのメニューを思い出すと、

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腹筋

背中を床につけて両脚を天井方向に上げて上体を起こす
8回x8セット

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横腹筋

横に臥せて行う
8回x2セットx左右

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脚上げ腹筋

脚を伸ばしたまま上下に8回
※腰が浮かないよう注意

 

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背筋

16回

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バットマン

寝て行う
8回x2セットx左右(正面方向)
8回x2セットx左右(横方向)

Q_06.jpg

腕立て伏せ

8回x3セット(腕のポジションを変えながら)

みたいなメニューでした。
なんだか背筋はおまけみたいな感じで、女性が多いためか腕立て伏せも少なめです。
あと、当時はまだ体幹トレーニングという言葉もなかったので、クランチ系(屈曲姿勢)ばかりでプランク系(まっすぐ伸ばした姿勢)が入っていないのも時代を感じますね。
とにかく横腹筋も入れると、腹筋・腹筋・腹筋、という感じでした。

このことが昔からずっと不思議でしたがそのときに先輩方にいわれたのが、「ダンスは結局腹筋が大事だから」ということでした。
メインがジャズのレッスンだったので、ターンのダメ出しもバットマンのダメ出しも、「結局腹筋が足りないんだよね~、もっと引き上げて」みたいなダメ出しをいただいたり(笑)

しかしながら今までずっと踊りを続けてくると確かにより深い意味で、腹筋の大事さがわかってくるようにもなりました。

腹筋などのお腹周りの筋肉は、そのほかの筋肉と使われ方が明確にちがうんです。

身体の中心

かんたんなモデルで考えてみましょう。
ジンジャーブレッドみたいな人形をイメージしてください。
胴体に、頭が1つ、手足が2つずつ、全体としては胴体から放射状に広がっていますね。

例えばこの手足が色んな方向に引っ張られたときに、それを引っ張り返そうとする力はどこに集中するかというと、真ん中の胴体部分なんですよね。
つ・ま・り、『腹筋』です。
腕でも脚でも首でも、振り回して使おうとするとき、それを引っ張り返して支えようとするときには必ず『腹筋』を使います。
身体中のすべての筋肉の引っ張り合いの中心に位置するのが『腹筋』なんです。

さまざまな方向に力を使える

もう1つあります。
胴体なら『背筋』も使うでしょ?という声も聞こえてきそうですが、もちろん『背筋』も使います、が・・・『背筋』と『腹筋』には大きなちがいがありまして、ヒトの骨格模型を思い浮かべてもらうといいのですが、背中側には背骨があるけど、お腹側には何もありませんね?

実は身体を動かす筋肉のほとんどは骨にくっついていて、骨のかたさに邪魔されて決まった方向にしか力を使えないようになっています。

肘・膝の関節は【曲げる/伸ばす】、肩周りや股関節は【回す】ですよね。
でも腹筋の周りには骨がないため、より自由度の効いた使い方ができるようになっています。
【曲げる/伸ばす】&【捻る】という2種類の使い方ができるようになっているんです!
腹筋がさまざまな方向に力を使えるように調整してくれることで、多様な身体の動かし方が可能になっています。

この2つのほかの筋肉との大きなちがいをもってすれば、確かに『ダンスは腹筋』ですね!

腹筋を強くして、その使い方への理解が進めば、もう鬼に金棒、ダンスもグッとレベルアップします。

そんなわけで次回は腹筋のトレーニングの仕方、と気をつけなければいけない点などを書いていきたいと思います。

 

 

ライター: KaQ / 羽祢田核(はねだ かく)

国立大学生物学科在学中にダンスにのめり込み卒業後、ダンサーとして大手テーマパークで活躍。
その後は舞台やコンサートに出演し2014年『ブエノスアイレス午前零時』出演を機に、2015年よりアルゼンチンタンゴを本格的に始める。
現在は清澄白河でStudioENTRADAを主宰し、キッズダンス・大人向け各種クラス・アルゼンチンタンゴなどを、4歳から74歳まで幅広い世代に向けて教えている。
ジャズ・ヒップホップ・サルサ・タンゴなど様々なジャンルの経験と理系的なセンスで組み立てたレッスンは、わかりやすく他にはない独特の切り口を持つ。

日本アルゼンチンタンゴ連盟認定インストルクトール
江東区立深川小学校HipHop講師
2017年Chacottダンスキューブ勝どきスタジオパフォーマンス出演


StudioENTRADA公式Webサイト

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【大人のダンス】

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