【大人のダンス〜 How to編 〜 】Vol.1『開脚ストレッチはなんのためにするの?』
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さまざまなダンスを踊るダンサーKaQだからこそ伝えられる効果的なストレッチ方法や身体づくりに役立つ情報をおとどけします。
前回の"Q&A編"では『開脚ストレッチ』は(1)下半身の股関節周りの柔軟性アップ 、(2)上半身の柔軟性&筋力アップの2つの効果があることをお伝えしました。
今回は実際に、テディベア座りになってしまっている人が『開脚ストレッチ』を効果的にするために気をつけるべきポイントをわかりやすく説明していきたいと思います。
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(1)腰を立てる
テディーベアみたいな座り方は床に対して腰=骨盤が後ろに寝てしまっている状態のこと。
これではどんなに先生の真似をしても永遠に身体はやわらかくなりません。
まずは床に座った状態で骨盤を「床から垂直に立てる」必要があるのです。
この『腰を立てる』トレーニングのときには、脚は実は開脚でもあぐらでも長座でもいいです。
開脚の場合は膝を曲げてください。
「腰を立てる」感覚がわかったら
あとは仙骨に当てていた手も床について、両手の力で上半身と腰を前に猛プッシュ!
このとき脚の前側の付け根が引っ張られて痛くなりますが、それは正解です。
骨盤に対しての股関節の回転を腕の力で可動域以上に動かそうとしているので、当然痛くなります。
その痛みと「腰を立てる」感覚を覚えたまま、しっかり脚を開いてみましょう。
お尻が床についている部分がいつもより小さくなり、背中が床からまっすぐ立っているはずです。
この垂直に立った状態から脚の方向や前屈方向に身体を倒していってはじめて、柔軟性を増すための開脚ストレッチができるようになります。
まだ慣れていなければ、膝は曲げたままでも大丈夫、ただし膝が曲がる向きは天井の方向に向けてください。
(2)股関節を開く
(1)「腰を立てる」ができたら次にやりたいことがあります。
では、開脚してみましょう。まだ身体を倒さなくてもいいです。
そのかわり開脚の角度を増やしましょう。
女性は特に、股関節が内旋気味で開脚より長座での前屈が得意な方が多く、そういう方は開脚ずわりをしても90度までしか開かなかったりします。できれば120度までは欲しいところ。
開脚で膝を曲げたまま、太ももの内側を右の手のひらで押しながら、上半身はおへそからしっかり左を向きましょう。これを反対側も行います。
こうすることで、片足が少しずつ角度を開いていってくれます。
ただし股関節の怪我をしやすい人は、力任せにやらずに少し痛みを感じるところで止めて、あとは数回深呼吸をしてください。息を吐く度に少しずつ脚が付け根から遠くに開いていきます。
これで脚の横方向の開脚に慣れたら、改めて鏡に向かって背中を伸ばして座ってみてください。
いつものテディーベアとはちがった、床からしっかり天井に向かって身体が伸び上がるような座り方ができているはずです。
ここまできてはじめて、『開脚ストレッチ』のシークエンスをやっても効果が出るようになります。
(3)背中を立てる
レッスン中に「背中をまっすぐ!」と注意をされた経験、ありませんか?
これ、とっても大事なんです。
背中をまっすぐ立てる=背骨を立てるでもあります。
やってみよう!
床に垂直に立てた骨盤の真ん中から、背骨がまっすぐ天井に向かって伸びていくイメージで、
しっかり上半身を腰の上に立てます。
このとき首を伸ばしてつむじが一番高くなるようにするのを忘れずに。
◎ 正しい姿勢
× 悪い姿勢
また、上半身を床に倒していくときも背骨が真直ぐのままで倒そうとすると、股関節と、腰のすぐ上のお腹周りがよく引き伸ばされて柔軟性が増します。
(4)腕を曲げない
これもとても大事なHowtoです。
身体を湾曲させて、腕の力で無理やり上半身を倒して曲げようとするよりも、脇腹から腕の先までを一直線にキープして倒し、呼吸をすることで、突っ張っている部分(柔軟性の無い脇腹部分)が解けていくのを待ったほうが、痛みが少なく身体に優しいです。
このやり方をすると『ストレッチが気持ちいい』という感覚もわかってくるかもしれません。
◎正しい姿勢
× 悪い姿勢
気をつけよう!
頑張ってつま先を触ろうとして腕も背骨も湾曲をさせながら倒す人が時々いますが、これは最初はおすすめできません。
むしろ腰の付け根から、脇、肩、肘、手首までをなるべく一直線にして、それを保ったまま上半身を横に倒していきましょう。
たいして倒れないかもしれませんね、でもそれで正解です。
身体を曲げないとこれ以上は倒れられない、というところで、上に伸ばしていない方の手を床について身体を支えてあげてください。
あとは深呼吸を数回すれば、息を吐くたびに上半身の角度が少しずつ変わり、上半身が何mmかずつ床のほうに近づいていきます。
遠くに伸ばそうとしている腕の重さがテコの原理で根本の腰のすぐ上の部分の筋肉を、
すこしずつ引き伸ばしてくれるんですね。
さて、ここまでやってみて、
柔軟性をつけようと思っている股関節だけでなく、上半身の筋肉もアチコチが筋肉痛になってくると思います。
それはなぜでしょう?
実は腕を動かすときに、身体は無意識に全身の筋肉や重心の移動を使って、腕を動かそうとします。しかし、骨盤を地面に留めることでふだん使っていた筋肉(主に下半身の筋肉)が使えなくなる分、より上半身の筋肉だけを使って腕を動かそうとするので、負荷が高まります。
これが上半身の筋肉痛の正体。
しかし、その筋肉痛が「腕を上げるときに胸も腹も背中も、全部使って上げる必要がある」
必ず効果が出ますよ!
体験の声
『開脚ストレッチ』はそもそも何のためにするの?何の役に立つの?
Q&A編を読む
KaQ / 羽祢田核
国立大学生物学科在学中にダンスにのめり込み卒業後、ダンサーとして大手テーマパークで活躍。
その後は舞台やコンサートに出演し2014年『ブエノスアイレス午前零時』出演を機に、2015年よりアルゼンチンタンゴを本格的に始める。
現在は清澄白河でStudioENTRADAを主宰し、キッズダンス・大人向け各種クラス・アルゼンチンタンゴなどを、4歳から74歳まで幅広い世代に向けて教えている。
ジャズ・ヒップホップ・サルサ・タンゴなど様々なジャンルの経験と理系的なセンスで組み立てたレッスンは、わかりやすく他にはない独特の切り口を持つ。
日本アルゼンチンタンゴ連盟認定インストルクトール
江東区立深川小学校HipHop講師
2017年Chacottダンスキューブ勝どきスタジオパフォーマンス出演