【大人のダンス〜 特別編 〜 】『椅子にすわってかんたんストレッチ(1)』ー 前編 ー

『大人からはじめたダンサーに、長くダンスをたのしんでもらえるよう、ダンサー KaQがとっておきのコツを教えます♪』

さまざまなダンスを踊るダンサーKaQだからこそ伝えられる効果的なストレッチ方法や身体づくりに役立つ情報をおとどけします。

日々、仕事や家事など忙しいなかでダンスを習っている大人ダンサーにとって「ストレッチの時間」を長くとるのはなかなか難しいものですよね。
気軽にできるストレッチを教えて欲しい」とよく生徒さんにいわれることがあります。
そこで、おうちや職場でもできる、『椅子に座ってかんたんストレッチ』をご紹介したいと思います。

シリーズ第1弾は....

『肩周りのストレッチ』


日々レッスンをしていてたくさんの方の身体を見ていると、やはり肩周りが強張っている方が多いのを感じます。中には肘が肩から上に上げられないくらいにかたまってしまっている男性も!
四十肩・五十肩なんて言葉がありますが、それらは肩周りの柔軟性が失われていくと起きやすくなります。
しかしながら、机に向かって長時間仕事をしていると、身体はどうしても強張ってしまいがちです。
今回はそんな日常生活からくる身体の凝りに焦点を当てて、それをかんたんにほぐしていくストレッチを紹介していきます。

ストレッチを始める前に知っておきたいこと

ストレッチにはまず深く長い呼吸が伴うことが大事です。
深呼吸は副交感神経を優位にし、筋肉が弛緩する作用があります。
また呼吸に使う筋肉群を動かすことで、体幹の筋肉が目覚め、ストレッチをしやすい姿勢をつくることができます。
呼吸は、鼻の奥まで空気を吸いこんで、口から細く長く吐いていきます。
くわしくは「Vol.2『どうして呼吸が大事なの?』」を読んでみてくださいね。

使用する椅子の種類

椅子に座ってストレッチをする場合、使用する椅子は背もたれ付き・キャスターなしが一番です。
背もたれはほとんど使用しませんが、もしストレッチに熱が入りすぎてバランスを崩したときには、背もたれがあるほうが安心安全です。また、キャスターがついていると椅子が移動してしまい、ストレッチをするときの負荷をかけにくくなる場合があります。その場合は、足をしっかり床につけて椅子の位置が動かないようにする必要があります。

ストレッチするときの姿勢

otona_dance_special1_1_001.jpg

■ 座り方のポイント

  • 椅子に対しては浅く腰掛け、骨盤を座面から垂直に立てます。
  • 尾てい骨の周りの平らな部分(仙骨)が座面から真っ直ぐ立っているように座ってください。
  • 坐骨で座面を押しているのを感じてください。
  • 骨盤から背骨を垂直に真っ直ぐ立てていきます。
  • 脚は、肩幅より少し広めに開きます。

顎を引いて後頭部を後ろに引っ張るようにすると背骨を立てやすいですよ。この姿勢で呼吸をして胸とお腹が膨らんだり萎んだりするかを試してください。

もし、胸もお腹もあまり動かないようだと、身体が前後左右のどちらかに倒れてしまっているかもしれません。
背骨を真っ直ぐ立てることで、力が入ってしまっている筋肉をまずは緩めていきたいので、胸とお腹が動いて楽に大きく呼吸ができるポイントを探してください。
スカートをはいていて脚を広めに開いて座るのが難しい場合は、逆にしっかり閉じて膝と膝、踝と踝が離れないようにピッタリくっつけましょう

では、やってみましょう!!



背中側を伸ばす

前にかがむ姿勢を長時間続けているのが凝りの原因ですが、そのとき上半身は胸が凹んで背中が丸まっています。
なので、胸側を伸ばせばいいかというと実は少しちがいます。
おすすめは、背中側の筋肉をまず伸ばして、しっかり背中が動かせるようにすること!

otona_dance_special1_1_002.jpg

両手で反対側の肩を抱いて自分を包み込むような姿勢になります

otona_dance_special1_1_003 (1).jpg

そのまま少し前に身体を傾け、首の力も抜いて頭の重さが背骨にかかるように意識します

otona_dance_special1_1_005.jpg

otona_dance_special1_1_004.jpg

(悪い例)お腹が後ろにぬけて骨盤が後傾してしまわないように注意してください


これで背骨の周りの筋肉、肩の後ろ側~肩甲骨~背骨にかけてが伸ばされるようになります。
その姿勢で深呼吸を4回、息を吸うたびに背中が膨らんで、筋肉が伸ばされていくのを感じてください。

otona_dance_special1_1_006.jpg

肋骨の間を1つ1つあけるように

そのまま頭の向きを左に倒して頭の重さが右後背の肋骨にかかるようにします。
肋骨の間は、肋間筋という筋肉がつないでいるので、それが伸びていくのを感じてください。
深呼吸を4回。
同じセットを右側でも繰り返します。

胸側を伸ばす

背中の筋肉を伸ばしたことで、逆に背中を動かしやすく(=身体が反りやすく)なりました。
今度は凝りの原因でもある、身体を前に縮めてしまっている筋肉を伸ばしていきましょう。

otona_dance_special1_1_010.jpg

両手の拳を握って腰の後ろに当てます

otona_dance_special1_1_011.jpg

両拳は腰をマッサージするみたいに腰に押し付けてください

otona_dance_special1_1_012.jpg

肩と肘はを全力で後ろに引っ張ってください
その状態で深呼吸をして胸を大きく膨らませてください

otona_dance_special1_1_013.jpg

悪い例


呼吸をしながら5秒間しっかり胸を前に出すのを4回。
肩と肘を後ろに引きながら、胸を張って広げることで、大胸筋の特に肩との付け根の部分を伸ばすことができます。
ただし、この姿勢は力を入れすぎるとどこかがつりますので、じんわり力を加えていってください。

気をつけたいのが顎の位置。やってみると頭が上を向いて顎を前に突き出してしまいがちです。
顎を引いて首筋を伸ばしたまま行うと、より効果的です。

 

肩の後ろ側を伸ばすストレッチ

まずは、右腕の肘を左腕の肘の内側で挟みます
学校でもよくやるストレッチですが、ポイントを意識することでぐっと効果が出ます。
ポイントは3つ。
(1)肩を下げる
(2)顎を引いて首筋を伸ばす
(3)胸を張る

この(1)~(3)は上記の姿勢をとったときには自然と全部逆になっています。
そしてそのまま腕を引っ張ってもまったく効果がありません。
肘を引っ張った状態で(1)~(3)を行うことで肩の外側がしっかり伸ばされるようになります。

otona_dance_special1_1_007.jpg

右腕の肘を左腕の肘の内側で挟みます

otona_dance_special1_1_008.jpg

ポイントをしっかり意識しましょう!

otona_dance_special1_1_009.jpg

腕を内旋させてひねりを加える

この状態で、腕を内旋させて手のひらを自分の正面に向け、捻りを加えることでさらに引っ張りを足すことができます。
これを、左右反対にして繰り返します。


後編では『脇』と『首』を伸ばすストレッチをご紹介します!

 

 

 

 

 

 

 

ライター: KaQ / 羽祢田核(はねだ かく)

国立大学生物学科在学中にダンスにのめり込み卒業後、ダンサーとして大手テーマパークで活躍。
その後は舞台やコンサートに出演し2014年『ブエノスアイレス午前零時』出演を機に、2015年よりアルゼンチンタンゴを本格的に始める。
現在は清澄白河でStudioENTRADAを主宰し、キッズダンス・大人向け各種クラス・アルゼンチンタンゴなどを、4歳から74歳まで幅広い世代に向けて教えている。
ジャズ・ヒップホップ・サルサ・タンゴなど様々なジャンルの経験と理系的なセンスで組み立てたレッスンは、わかりやすく他にはない独特の切り口を持つ。

日本アルゼンチンタンゴ連盟認定インストルクトール
江東区立深川小学校HipHop講師
2017年Chacottダンスキューブ勝どきスタジオパフォーマンス出演


StudioENTRADA公式Webサイト

column_kaq_profile_img001.jpg

column_kaq_profile_img002.jpg



【大人のダンス】

ページの先頭へ戻る