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[2007.09.10]

Noism 07 W-view 振付家インタビュー

 Noism07 W-viewに新作を振付ける二人の女性舞踊家に、作品のポイントとその背景を聞いた。

中村恩恵(元ネザーランド・ダンス・シアター)
-----Noism07に提供される新作の進行はいかがですか。

中村 ええ、だいたい作品をまとめて昨日、新潟から帰ってきました。安藤洋子さんと交代になります。

----中村さんはたいへん明快に作品を創られる方だと思っています。

中村 いえ、そうでもないですが、キリアンやネザーランド・ダンス・シアターでは、振付家がきちんと決めてきてリハーサルに入りますから、そういう習慣に なっているのだと思います。キリアンの場合だと、音楽のこの小節はどう、この小節はどうする、とリハーサルを始める前には既に決まっていて、それをどんど ん振付けていきます。私は今回は、いろいろ実験とかしながら創りましたけれど。

----リハーサルの現場で、いろいろと悩まれることはあまりありませんか。

中村 そうですね、悩むというか、自分の思っている動きが頭の中にはあるのですが、コミュニケーションがうまくいかなくて、なかなかほんとに見たいものに 近づかないということがあります。あるいは自分がほんとうに見たいものを創ろうとしながら、いろいろ試みてもなかなか出てこなくて、ダンサーの人と「違う ねぇ」とか話ながら進めています。その中でもここは良かったから活かしてとかさまざまに道を探しながら創っていく、というような感じです。
-----Noismのダンサーはいかがですか。

中村 それはすごく一所懸命です。ある時なんか、最初は全員でいろいろやっていて、稽古場の中でちょっと詰まってきたので、しばらく外に出たんです。そしたらその間、全員で一所懸命創ってるのです、私のほうがびっくりしちゃいました。

----中村さんの作品は、ダンサーは何人出演するのですか。

中村 7人でそのうち女性が3人です。 これから最後の出したいところを創って完成していくつもりです。 今回の作品は、私の時間軸で動いていって、7人のダンサーのポートレートみたいなものを私の中から描かせてもらって、そうした中から生まれる個人的な葛藤 というか、モーションみたいなものが内在している作品になると思います。ですから、それぞれのダンサーと個々のコミュニケーションをとりました。

----帰国されて最初の本格的な振付作品になると思いますが、ネザーランド・ダンス・シアターなどのダンサーに振付けるのとはまた違った点がありましたか。

中村 ここ数年は、自分で創って自分で踊る自作自演のダンスが多かったのですが、今回のNoismのダンサーたちは、ほとんど自分の子供といってもいいく らい若い年代の人たちです。これからキャリアを重ねていく人たちなので、自分が教えることをはっきりと提示して明確なガイドができたと思います。そういう 意味では、私が今まで海外で積み重ねてきた経験が一番反映される作品になると思います。

安藤洋子(フォーサイス・カンパニー)
----昨年、安藤さんが振付けられた『モアレ』はとてもおもしろく拝見しました。フォーサイスの作品とはまた違ったテイストのあるダンスでした。

安藤 フォーサイスのカンパニーでは、私が一人ではできないことを要求されていて、自分っていうのは何なのと、違う角度から自分自身に突きつけられます。 逆にフォーサイスのダンスではない自分のスタイルを伝えたいという欲求がすごくでてくるんです。だからじつにいいカンパニーなんですよ!

----実際には、作品創りはどういうふうに進むのですか。

安藤 クリエーションの中で、ひとつのことをするために100くらいのヴァリエーションを試みますし、そういう中でやっていくわけですからマチマチなんですね。もちろん、作品の大きな環境はフォーサイスが創っています。 逆に具体的な振付が与えられないので、最終的にはもちろんフィックスしますが、その間にどこに向かっているのかみんなわからない状態で進んでいきます。フォーサイスの中ではあるのですが。
その影響を多大に受けている自分なのですが、今回、Noismに創るときは、気をつけなければなりません。それをそのままやってしまうと、私が消化されていないところではNoismとギャップが大きすぎますから。

----『モアレ』の時は、同じくらいのキャリアのダンサーと踊られていました。

安藤 そうですね。私は公演レベルで、自分が出演せずに人に踊ってもらうことになるのは初めてです。日本で活動していたときは、自作自演のソロダンスでした。それから少しずつ他者を使ってきましたが、でも舞台には常に自分がいました。
今回、自分が出ないので何が見えてくるのか。これからNoismに行ってみます。 去年、カンパニーを観に行きましたが、入れ替わりがあって新しいメンバーも入ったと聞きましたので。

----新作の音楽についてはどのようにお考えですか。

安藤 まだ、白紙なんですけど、できればダンサーから出る声だとか足音といった音に重きをおきたいと思っています。だから曲は選ばれていません。みんなに会ってから考えることになります。今は、空間のコンセプトのほうを考えています。 最初にみんなとゲームをしたいな、と思っています。
私は、ダンサーが動く前の自分自身の意識とか、向かい方とかそういうことが大切だと思うんです。もうできることを前提にして、プロの集団ということで、そ の中にあるものをとりだすのにはゲームが一番いいと思うんです。ルールがあって、例えばジャンケンで負けたら相手をたたく、それをよけなければならないと か、反射というか脳も含めて身体そのもののから、振りとかじゃなくて全然ダンスと関係のないところからはいりたいな、と思っているのですが、私は即興人間 なんであんまり決めていないです。

----Noismのダンサーはみんな真面目だから、安藤さんがどんなリハーサルを始めるか興味津々だと思います。

安藤 ある意味対等でありたいと思っています。与えられるのを待っている状態じゃなくて一緒に創っていけたらと願っています。
結局、自分のカンパニーではないですし、新潟での初演の後、ずっと私がついてくわけではないから、作品のあるレベルをキープするためにはダンサーの自己意識に任せるしかないわけです。

----安藤さんはどのようなきっかけでフォーサイスのカンパニーで踊られるようになったのですか。

安藤 フランクフルト・バレエ団のアントニー・リッチーが、1999年に坂本龍一のオペラ『ライフ』に振付をした時に、私を使ってくれました。その後、ま た、 アントニー・リッチーのフランクフルト・バレエ団の自主公演に、俳優の中でダンサーは私一人でメインに使ってくれました。その舞台をフォーサイスが初日見 に来て、その日のパーティの時に入らないかって誘われました。3年間はフランクフルト・バレエでしたが、その後はフォーサイス・カンパニーです。 入団して最初に言われたのは、安藤洋子のダンスを見せてくれ、それがみたいんだって。それはもう一貫しています。
フォーサイスの場合、昔の作品の振りを変えるのはまったくOKなんです。決して強制したりおしつけたりしません。「こういうふうにしてくれなくちゃ困る」ということは一切ありません。 それから、ひくな、ともいわれました。日本人のその謙遜はやめろって。それはもういいから、どんどんアイディアをだせ、という感じです。とにかく、メンタリティの部分を一番鍛えられましたね。

----今はダンサーに振付けさせたりしているんでしょうか。

安藤 それはもうずっと前からです。休みの期間中も外に出てどんどんやれと奨励されます。 今回も、私がNoismに振付けることになったといったら「それはいい」ってとても喜んでくれました。
結局、ダンサーの人間性とか、人間の幅が重要で技術ではないんです。上手いとか関係ないんです。世界観だったり視野の広さだったり深さだったり、いろんな 体験をして人間の厚さが欲しいんです。だから外にでて経験を積んで帰ってきて、それをまた使おうというわけです。何を観てきたか、もっとアイディアはない かっていわれることになると思います。

Noism07「W-view」 >>>発売中

●振付=安藤洋子/中村恩恵
●出演=Noism07(金森穣/青木尚哉/井関佐和子/高原伸子/宮河愛一郎/山田勇気/堤悠輔/原田 みのる/藤井泉/中野綾子/青木枝美)

<新潟>

●10/5(金)~7(日)
●りゅーとぴあ 新潟市民芸術文化会館 劇場
●お問い合せ=りゅーとぴあチケット専用ダイヤル 025-224-5521
http://www.ryutopia.or.jp/
●開演時間=5日19:00、6・7日17:00 >

<東京>

●10/12(金)~14(日)
●シアターコクーン
●S席5,500円/A席4,500円
●開演時間=12日19:00、13・14日17:00
●お問い合せ=アンクリエイティブ  03-5458-0548

<北九州>

●10/31(水)
●北九州芸術劇場 中劇場
●全席指定4,000円/学生・ユース(24歳以下)2,000円 ※当日は各500円増
●開演時間=18:30
●お問い合せ=北九州芸術劇場 芸術文化情報センター 093-562-2655
http://www.kitakyushu-performingartscenter.or.jp/


<岩手>

●11/7(水) 19:00開演
●北上市文化交流センターさくらホール http://www.sakurahall.jp/

<北海道>

●11/17(土) 17:00開演
●札幌市教育文化会館  http://www.kyobun.org/