今、この瞬間に花開く 桜のようなダンサーでありたい(前編)【永久メイコラボアイテム発売記念インタビュー】

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2017年、17歳で名門マリインスキー・バレエに入団、『ジゼル』『ロミオとジュリエット』などの主役に続けて抜擢され、高い評価を得ている永久メイさん。少し前のことはすぐに忘れてしまうほど、目の前の舞台に打ち込む毎日だといいます。

そんなメイさんとチャコットのコラボアイテムが、11月20日(金)に発売されます。都内で行われた撮影の現場で、バレエとの向き合い方や日常生活についてうかがいました。 

 

「私は十分きれい」と思ったらそこで終わり。
厳しいバレエ学校時代があったからこそ強くなれました

 

――13歳でモナコのプリンセス・グレース・ダンス・アカデミーに留学、卒業後すぐにマリインスキー・バレエに入団されていますね。

永久 そうなんです。今年はコロナの感染拡大で3月から帰国していたんですけど、こんなに長く日本にいるのは久しぶりでした。もちろん不安はあったけれど、地元の兵庫県で、7年ぶりに大好きな桜を見ることができました。

――帰国中はどのように過ごされていましたか?

永久 留学前に通っていたバレエスタジオをお借りして、ずっと自習していましたね。体の調子を見ながら、毎日やることを変えていました。特に腕のポジションをすごく意識してみたり、膝下のテクニックに集中して、内容も難しくしたり。どこに意識を置くかによって、同じバー・レッスンでも全然違ってくるので。

――まるで、見えない先生と一緒にレッスンしているみたいですね。

永久 鏡を見て、あれ、手や足の位置が変だなと思ったら動画を撮ってみて、そこだけ繰り返し練習したり。時には脚のエクササイズが始まったりして、バー・レッスンの最後まで行かないこともありますが、そこまで細かい調整は一人でしかできないので、それもいいかなって。

――レッスンに集中していらっしゃる様子が目に浮かぶようです。

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永久 いつも自分に納得できないので、同じことをずーっと何度でもやってしまうんです。でも、「私はこれで十分きれい」と思ったら、それ以上上達しないから。

気分が上がらないときはオンラインレッスンに参加することもありますが、やはりマリインスキーでお世話になっているエルヴィラ・タラソワ先生とのリハーサルが恋しくなりますね。心から信頼できる、ロシアのお母さんみたいな先生なんです。リハーサルでは「ここはこうしてみたら」といろんなアイデアをくださるし、舞台で良くなかったことははっきり言ってくれる。本当に良かったときしか「良かったよ」とはおっしゃらないんですけれど、だからこそ私は先生の眼を信じて、自分の踊りに集中できます。

――ちなみに、帰国中に時間があるときはどんなことをされていますか?

永久 家庭菜園で野菜を取ったり、お料理をしたり。特にお菓子作りは大好きなんです。 

――子どもの頃やバレエ学校時代は、どのようにバレエに取り組まれていたのでしょうか?

永久 バレエは3歳で始めたんですけど、ずっとバレエだけに夢中だった気がします。バレエ学校は、とにかく厳しかったですね。モナコでの思い出が強すぎて、日本にいたときのことは覚えていないくらい。記憶が飛んじゃっているんですよ。

学校は全寮制で、体重制限や食べていいものが決まっているなどルールがたくさんありました。その分、自己管理をしっかりして、自分の主張も強く持っていないと海外ではやっていけないと痛感して。校長先生にストイックすぎるといわれたくらいなんですけど、ストイックだったからこそ今があると思っています。バレエ学校が厳しかった分、今が楽に思えるんですよね。

 

内側から生まれるものを大切に踊った
『ジゼル』『ロミオとジュリエット』

 

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――卒業後にマリインスキー・バレエに入団され、1年目で『くるみ割り人形』で主役デビューされています。名門中の名門での主役、どれだけ緊張されたのかと想像するのですが......。

永久 それが、最初の頃は全然緊張しなかったんですよ。とにかくあの劇場で踊れることが嬉しくて。舞台を重ねて、私目当てで来てくださるお客様がいらっしゃるようになってからは、すごく緊張するようになりました。でも、緊張しないとうまくいかないこともわかっているので......。私は緊張するとすごく体力を使ってしまうほうなんです。

――これまで主演された作品の中で、特に印象に残っている役はなんでしょうか。

永久 『ジゼル』と『ロミオとジュリエット』ですね。ジゼルは昔からの夢で。舞台を観ながら、「自分だったらどう踊るかな」って何度も想像していたので、演じやすくはありました。ただし、狂乱のシーンは......実際に経験したことがないので(笑)。

――ふつう、ないですよね(笑)。

永久 先生とたくさん練習しました。役になりきる以前に、剣をどの位置でどうしたらきれいに見えるかとか、客観的に見てもらいながらやるべきことも多いので。踊り終えた後は「私はジゼルを踊れたんだ!」って嬉しくはあったんですけど、動画を見ると全然満足できませんでした。まだまだ課題がたくさんあります。

――ジュリエット役のほうはいかがですか?

永久 自分にはまだ早すぎると思っていました。ジュリエットのような人間味のあるドラマティックな役は、もっと経験を積んでからのほうがいいんじゃないかなって。でも、今の年齢だからこそできるジュリエットがあるはずだからと、そこを目指して頑張りました。

ロミオ役のヴィクター(・カイシェタ)はブラジル出身で、同じ時期に入団して一緒に『くるみ割り人形』で主役デビューした、すごく信頼できる友達なんです。お互いが初めてどうしで、遠慮なく意見を言いながらつくりあげていけたので、そこはとてもよかったと思います。

――まさに「ロミジュリ」のような初々しいカップルだったんですね。先生からはどんな指導があったのでしょうか。

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永久 とにかく原作を読んでストーリーを理解しなさいと言われたので、英語と日本語の本を買ってきて読みました。読んでいくと、振付の一つひとつの意味がわかってくるんです。

たとえば、ジュリエットが仮死の薬を飲む前に、顔のまわりで腕を動かす振りがあって。最初は意味がわからなかったんですけど、先生が「墓場の扉を開けている感じ」だと教えてくださいました。本を読むと、せりふに全部書いてある。この薬を飲んで本当に死んでしまったらどうしようと考えて、墓場の中の様子を目に見えるように想像して、おびえているんです。それを理解したらすごく表現しやすくなりました。

本から想像を広げるのは楽しいです。でも、映画は女優さんの演技に影響されてしまうのが怖くて、あえて見ていないんですよ。ほかのダンサーの映像も見て参考にしますけれど、最終的には、内側から出てくるものを大切にして自分の感情で動いていかないとだめなので。

――常に身体も感性もフルに使い切って、役に取り組まれているんですね。

 

先のことを考えるより、
「今」と精一杯向き合いたい

 

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――今回のコラボアイテムについても教えてください。桜のモチーフが印象的ですね。

永久 桜、本当に大好きなんです。私自身、桜みたいに、自分の中から花開くものを大切にして踊りたいなと思っているので、桜プリントのウェアを作っていただきました。どのアイテムにも桜のマークが入ってるんですよ。

レオタードは、デコルテが開いていて首や背中のラインがすっきりと見えるデザインにしました。質感のある花柄のレースを使っていて、気分が上がると思います。色もすべて、私の大好きな優しい色。「金平糖」っぽいピンクに、淡いラベンダー色、そしてエメラルドグリーン。

――「メイ」さんの5月のイメージでしょうか。

永久 はい、誕生石がエメラルドなので。こういう色のレオタード、ふだんは着ていなかったんですけど、同じマリインスキーの石井久美子ちゃんがプレゼントしてくれて、タラソワ先生にも「緑色、似合うよ」と言われたんです。それで今回も選んでみたんですけど、すごくきれいな色で気に入ってます!

――最後に、今後の目標を教えてください。

永久 1年後こうなりたいとか、この役をやりたい、みたいな目標は特にないんです。ただ、今できることを精一杯やりたい。先のことを考えるより、今しないといけないことがいっぱいあるから。私は今しか見ていないんです。

バレエには厳しくてつらいこともいっぱいあります。でも、そのつらさがあるからこそ「バレエって本当に楽しい!」って思えるんですよね。舞台を踊り終えた瞬間には「踊り切れた!」という達成感があります。厳しいリハーサルをしてよかった! って思える。逆にその達成感を感じたくて、リハーサルを重ねているのかもしれません。

今の自分と向き合って、目の前のことに対して一つひとつ、コツコツと努力して進んでいく。それしかないなと思っています。

――ありがとうございました!

坂口 香野 Text by Kaya Sakaguchi

 


 

【 今、この瞬間に花開く 桜のようなダンサーでありたい(後編)】

...私はバレエができないときほど、「バレエって楽しかったな」「早くレッスンしたい!」って思うんです。... 

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My CORE is ...
チャコット70周年スペシャルコラボレーション

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世界的バレエダンサーの飯島望未・中村祥子・永久メイ。チャコット70周年を記念して、ダンサーや一人の女性として美しく活躍し続ける彼女たちの"こだわり"や"好き"がつまったスペシャルコレクションをお届けします。

 

 

 

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