| Noismは、チリのサンティアゴ、ニューヨーク、フィラディルフィア、シカゴ、サンパウロを巡って、公演やワークショップを行う初の北南米ツアーを敢行 して2月に帰国。すぐに4月20日に幕を開ける新作『PLAY 2 PLAY--干渉する次元』の製作にとりかかった。その合間を縫って、新作の構成・演出・振付を行う芸術監督の金森穣と、空間デザインを担当する、建築家 の田根剛に話を聞いた。 | ![]() |
| ----まず、ニューヨーク公演の観客の反応はいかがでしたか。 金 森 ニューヨ-クはとてもよかったです。 上演したのは『NINAー物質化する生贄』のファーストパートだけで30分くらいの舞台です。それでも評価していただいたのでよかったのですが、完全に Noismが提供できたとはまだ思っていません。その他のシカゴ、サンディアゴ、サンパウロのほうは60分見せることができましたが、ニューヨークはまた 別でしたから。 ----劇場はジョイシスシアターですか。 金森 ジョイスです。 ----金森さんというとどうしてもヨーロッパでの活動が思い浮かぶのですが、Noismのニューヨーク公演は初めてですか。 金森 いえ、2年前にやはりジャパン・ソサエティのコンテンポラリー・ダンスのショーケースに出ました。15分くらいの作品をみせたことがあります。それはほんとに小さなスペースだったので、劇場で上演したのは今回が初めてです。 ----ニューヨークの手ごたえといいますか、実際にヨーロッパと観客の反応は違いますか。 金森 どうでしょうか。『NINA』をもってヨーロッパには行ってないので。やはり同じ作品・同じダンサーで初めて評価の違いっていうのが感じられるのか な、と思っています。今はニューヨークの反応しかいえませんが、日本より良かったというか、反応が分かりやすいですよね、立ち上がってブラボーといってく れたり、終った後に挨拶にきてくれたり、その時の雰囲気で、明らかにすごく気に入ったんだなって分かります。日本の場合、すごく気に入っていてもあまりそ れを表現しないから、分からないことがありますから。 ----アメリカというと、かつてはシアトリカルなものとフィジカルなものと分けて捉えていて、日本でダンスとして上演されているものでも、ニューヨークだとあれはシアターだからダンスじゃない、みたいな傾向がありましたが、そういうことは感じられませんでしたか。 金森 『NINA』は限りなくフィジカルですから、その辺の差は感じませんでした。 -----その他の都市はいかがでしたか。 金森 チリのサンティアゴとか南米は凄かったですよ。ブラジルのサンパウロも凄かった。ブラジルに関しては、われわれの公演はほとんど知られていなかったので初日の入りは400くらいかな。ところが2日目は口コミで800人くらいの観客がきて、終った瞬間総立ちでした。 あれは凄いことだったと思いますけど、私の中では他人ごとのようで、ツアーが無事終った安心感のほうが自分の中で大きくて、うわーって盛り上がっていることが、「ふーんそうか」みたいな感じでしたけど。 ----単独公演だったのですか。 金森 ええ、単独です。ただサンティアゴに関しては、演劇のフェスティバルの一環だったので、ダンスファンもそうですが、演劇をよくみるファンにも良かっ たのだと思います。ブラジルに関しては、現地のプロデューサーの話によると、口コミでダンスや演劇関係の一流の人たちはほぼ全員来ていた、ということでし た。 ----『NINA』のフルヴァージョンを見せられたことは良かったですね。 金森 フルヴァージョンといってもシンプル・ヴァージョンでしたから、自分としては完全、というわけではないですけど、Noismというカンパニーのインパクトを与えるには充分だったと思います。 今度のツアーは、振付家人生の中で一番受けていました。一部では受けていてもここまで圧倒的に受けることは今までになかった、というくらい受けました。『NINA』は、普遍的な部分があるので、理解してもらえるのかもしれません。 ----ダンサーの方たちもたいへんだったと思いますが。 金森 そうですね、頑張りましたね。気候の変化が冬から真夏へ行ったり来たりでしたし、40時間のトラベルとか、初めての海外での共同生活とか、いろんな ことがありました。そういう環境下でみんな舞台に支障をきたすような大きなケガもなく、特に井関佐和子は良くなりましたね。佐和子に関しては三皮くらいむ けましたよ。毎回公演するたびに成長していくのが分かるのです。単純にいうと自信ですね。今度、日本の観客の方にも見ていただけばわかっていただけると思 いますけど。佐和子を筆頭にみんなもこういう国際的な活躍をして、それだけ評価してもらえるという実感が沸いたと思います。どんどん観客がきてくれるわけ だから、簡単に易々とミスはできないとか、そういったプレッシャーを感じたでしょうし、カンパニーとしてもいい経験したと思います。 ---そうすると次回作が楽しみになってきます。田根さんが『SHIKAKU』で創られた、観客が移動しながらダンスを観るという空間は非常におもしろかったのですが、次回もまた、なにかを期待していいのでしょうか。 田根 今回は『SHIKAKU』とは場所も違いますし、ツアーで四ヶ所回るので、どんなことができるのか穣さんとも話し合っているところです。 ----具体的に何か。 田根 今、決りつつあります。現代の舞台空間でなにか身体表現する時に、 例えば『NINA』みたいな作品は、身体そのもののピュアに表現する為に何も無い空間で踊られています。しかし、空間の中に空間を創るといった時、一体何 ができるかを意識的に考えています。例えば単純に川辺で踊っている身体と、森の中で踊っている身体とはやっぱり在り方がかわってくるし、そういったある種 の環境を創ってあげるということを考えています。逆に、そういう特殊な場所ができた時に観客にはどうやって見てもらおうか、とかいろいろあります。いまあ るアイディアというのは「パラレルワールド」という現象を創ろうとしています。 ----田根さんは舞台のお仕事として『SHIKAKU』は。 田根 舞台は『SHIKAKU』が処女作です。最近は舞台を集中的に見ています。 金森 私よりずっと観て知っている。ヨーロッパでいいものを観ているし。 田根 穣さんや他のダンサーの方から聞いたりして観てます。片寄った見方かもしれませんけども。 ----最近でいいますとどんな作品をご覧になりましたか。 田根 ロンドンでも公演していましたが、シルヴィ・ギエムがラッセル・マリファントとコラボレーションした『ソロ』と『TWO』でしたか、パリで観ました。あとは、キリアンだったりフォーサイスとか、ヨーロッパで活躍しているカンパニーを観ています。 ----金森さんはアメリカでなにかご覧になったとか。 金森 フィラデルフィアに滞在してワークショップをやったんですが、そこで小さなフェスティバルみたいなのがあって、覗きましたが特に印象的な舞台はなかったですね。 ----ニューヨークでは。 金森 ニューヨークでは、シダレイク・ダンスカンパニーっていうのがありまして、Noismと同じくらい3年前にできたダンスカンパニーですが、そこの公 演を観に行って、ダンスはすごかったですね。たまたま見つけて行ったのですが、ヤコブ・ゴダーニっていう元フランクフルト・バレエ団にいて、自分も何回か 仕事をしたことのある振付家が振付していて、久しぶりに会うことができました。 多分これから世界的にどんどん出てくるカンパニーだと思います。ニューヨークを本拠にしていて、倉庫みたいなところを劇場とスタジオにしてすっごいかっこ いいんです。次の公演ではオハッド・ナハリンの作品も上演するらしくて、ダンサーの質もいいし、経済的にも恵まれているようなのでマスターの作品をどんど ん買うでしょうから、有名になるのではないかと思います。 -----金森さんから次回作についてお話ください。 金森 そうですね、基本的に4人のコラボレーションというのが一番大きなポイントであって、田根剛が考える空間から自分がどのようにインスパイアされて、 三原康裕が創り出す衣裳から何を受けて、アンの音楽から何を感じるか、だから本当に彼らとの共同作業によって自分がどれだけ触発されて、一人では想像のつ かない何かが生まれるんじゃないかな、それを本当に楽しみたいし、「パラレル・ワールド」というキーワードを現在共有してもっていますけども、ある次元で はすべてのことが相対的ですから、あらためて掲げるようなキーワードというよりは。実際どうなるか自分でもわからないし、それがまた楽しみです。 田根 この間、三原さんとアンさんと三人で初めてお会いしていろいろ話して、結構、共通の意識というか、考えている方向性とか、これからそれぞれ修正しながらいくとしても「これはいける」という感じでしたから、後は穣さんの振付に期待するしかない、ということですね。 『NINA』とかを創った人に、ぼくらが関わって、さらに越えてもらわないとやっている意味がないし、そのためのプレッシャーをかけなきゃいけないと思いますし。そのために呼ばれていると思っています。それは共通の意識としてありますから、非常にいい関係です。 金森 多分、充分苦しめてくれると思いますよ。四方八方から。 ----みなさんみんな同じくらいの世代ですね。 金森 そうですね、近いですね。 田根 みんな分野は違うのに意識というか感じていることとか、現代という時代を生きているという何かしらの問題意識とか、共通のものがありますね。穣さん と話していてもすごくそういうふうに感じるから。世代であり、バックグラウンドであり、国際経験であり、そういうことが近いのだろうとか思いますね。 ----次回作、大いに期待しております。お忙しいところ本当にありがとうございました。 (インタビュアー/関口紘一) |
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