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[2006.12.10]

西島千博インタビュー『くるみ割り人形』の新演出を観客にプレゼントしたい

 日本の代表的なダンスールノーブルとして活躍してきた西島千博がフリーランスになって、本格的に振付・演出に取り組む。そしてまず、『くるみ割り人形』のニューヴァージョンに挑戦する。
早速、リハーサルたけなわの現場に直行して、直前インタビューを試みた。
(「ピックアップ・ザ・ステージ」には西島版『くるみ割り人形』の紹介があります)
----いよいよ『くるみ割り人形』のリハーサルが始まりましたね。

西島 ええ、昨日、顔合わせで今日が二回目です。

----そうですか、二日目にしてはずいぶん進んでいるのではないですか。

西島 振付は早めに進めて、細かい注文は後で、という感じですが、ダンサーがすごく協力的なので助かっています。

----リハーサルを見せていただいただけでも、すごくおもしろそうですね。

西島 さまざまなキャラクターが登場するところが特徴です。オーディションでキャストを選んだのですが、どのようなキャラクターがふさわしいか、というこ とを特に念入りに選びました。その人の良さを引き出すのがすごく重要です。この動きだったら、この表現だったら上手くできるか、という方向性を見て演じて もらっています。

----三木雄馬がドロッセルマイヤーですね。

西島 ええ、ドロッセルマイヤーも今までのドロッセルマイヤーとはガラッと違います。コメディアンみたいな感じになると思います。ヴィジュアル的にもポッ プアートの中から飛び出してきたような感じです。 ぼくは今回、二役です。パパの日もあり、最後のパ・ド・ドゥを踊る日もあります。クララの夢というのが全体の筋書きです。そして金平糖の精ではなくてクラ ラと最後のパ・ド・ドゥを踊ることになります。 クララは、現在のクララ・過去のクララ・未来のクララが登場します。今、リハーサルで、西田佑子と桑野東萌が踊っていたのは未来のクララで、現在のクララ は子役が演じます。舞台が2段になっていて、上が未来、下が現在です。未来のクララは自分の子供の頃に起きたことなので全部知っていて、展開はお見通しで す。けれど、子供の現在のクララは何も知りません。 途中で時が止まってドロッセルマイヤーが、「じゃあ地上におりてみようか」と言って、現在に降りると時が止まっています。ちょっと様子をうかがいに、遊び にくるわけです、未来のクララが現在に遊びにおりてきて、こういうことあったよね、パパとママは喧嘩してたいへんだったとか、誘惑されちゃったのよね、パ パはとか、いろいろ思い出します。現在と未来を行ったり来たりして物語が進んで行きます。 それから、くるみ割り人形はロボットです。「くるみロボ」です。ねずみの王様は「ねずみロボ」。ヴァーチャルファイターみたいな感じで、「くるみロボ」と 「ねずみロボ」が闘います。スペースファンタジー的なイメージもあります。台本は自分で書きましたから、まったくのオリジナルです。

----以前にも『くるみ割り人形』を振付けられたことがあるとお聞きしましたが。

西島 以前に実家のある宮崎で創った『くるみ割り人形』はクラシックヴァージョンでしたから、バレエが重要でしたが、今回はエンターテインメントというコ ンセプトなので、お芝居が重要視されています。でも出演者の良さは全部発揮させたい、と思っていますし、一部ではトゥシューズでも踊りますし、踊りがたく さんあります。 自分の中ではヴィジョンがでてきているんですけど、それを現実にみんなに分かってもらうために、どういうふうに伝えたらいいのか、というのがすごくたいへ んなんんです。とにかくお客さんに伝わらないと意味がないので、分かりやすく表現すると言うことを大前提に創っています。

----今までの西島さんのキャリアを活かして創っているのですね。

西島 何かをクリエイトしたいという意識が始まったのが小学校の頃でした。そこから、いろんなアイディアを試行錯誤して、宮崎では実験的にいろんな形でやってみて、今回、大きな作品を振付けることになりました。

-----『くるみ割り人形』を創りたいと選ばれたのはなぜですか。

西島 やっぱり、ずいぶん前から古典作品の改訂版はやりたいことでした。今回はエンターテインメントということで、伝わりやすい作品かな、と思いました し、家族全員で、お年よりの方から小さい子供まで楽しめる。そして一番夢を与える作品ですね、クリスマスのシーンがあったり。結局、『くるみ割り人形』は 観客に対してのプレゼントですね。これから振付をやっていくうえで、最初にこの作品が手掛けることができるのはすごくラッキーだと思います。 自分としては、これが人生を賭けた第一作目なので、どこまでできるか、すべてを賭けています。

-----それはやはり力作になりますね、一番観てほしいポイントというと。

西島 今回はダンスだけではありません。台詞も入るかもしれないし、歌も入る可能性があります。エンターテインメントですからいろんな要素を入れたいので す。動きもちょっとジャズダンス風とかヒップホップっぽいとか、バレエだけではなくてそういういろんな表現が取り入れられてるな、というふうに観てもらい たいですね。なるべくたくさん取り入れていきますので。 それから配役ではそうとう悩みました。今回は全部ソリストですから、どういう風に登場して、どういう風に絡んでと、そうとう悩みました。お話も二転三転し ましたけど、ようやくまとまってきましたので。

----気が早いようですが、クライマックスというと。

西島 そうですね、客席を使って闘うシーンがあります。「ねずみロボ」VS「くるみロボ」のロボット戦争が客席で起ります。客席からロビーも使っていて、 じつは開場すると開演なんです。お客さんが入ってきたところから、もう物語の中にお客さんも入っています。ちょっとした仕掛けがロビーにあって、「なんだ ろう?」みたいなところからドラマが始まっていって、「分かる、なるほど」というところもあります。 もうひとつ、特別にご紹介しますと、今までのくるみ割り人形は、大きくなって人間として登場しますが、あのシーンが人形のまま、巨大ロボットに変身して、 舞台のてっぺんまでのくるみ割り人形になります。そこまで大きくなっちゃいます。

----普通はクリスマスツリーが大きくなりますけど。

西島 そこをぼくの演出では人形が大きくなるんです。

----そうすると観客も油断できない‥‥。

西島 もちろん油断できません。客席にはおりてくるわ、ロビーにはなにかあるわ、入場する時からたいへんなことになると思いますよ。

----だとすると、早めにきたほうがいいかもしれませんね。開場と同時になにか始まる‥‥。

西島 そうですね。物語が分からなくなることはありませんけれども、特典付きです。充分楽しんでいただきたいと思います。 ぼくが二役やるので、キャスティングが2ヴァージョンあります。西田佑子と桑野東萌の未来のクララがダブルキャスト。2ヴァージョンあって振付も多少変わ る可能性があります。 パパとママと女優さんの三角関係があって、ぼくがパパを踊る日と、それから結婚するクララの未来の姿が見えるんですけれど、未来のクララのパートナーを踊 る日があります。いろんなキャストを観てもらうとおもしろいと思います。 今回はこれだけキャラクターの強い人たちに集まってもらっていて、たいへん創りやすいです。昨日の初日ではっきりキャラクターが見えて、ぼくの中でドラマ が繋がりました。スタッフもぼくのイメージのキャッチがものすごく早い方々で、ほんとに幸せです。このタイミングはきっと神様からのプレゼントだと、ぼく は思っています。
(インタビュアー/関口紘一)


NEOエンターテイメントバレエ「くるみ割り人形」 >>>発売中

●2007.1/4(木)~1/11(木)
●銀座博品館劇場
●新演出・振付・出演=西島千博
●出演=西島千博/西田佑子・桑野東萌・三木雄馬  小野真理子・後藤いずみ・小松由佳・上瀧達也・高橋綾乃・前根奏子・山田洋平・山本庸督/小泉奈々・肝付瑠生、ナレーション=渡辺真理
●8,500円
●開演時間=4・5・9・11日19:00、6日14:00と18:00、7・8日14:00、10日14:00と19:00
●お問い合せ=銀座博品館劇場 03-3571-1003

●配役 A B C
4・6昼・7・8・10昼・11 5・6夜 9・10夜
<白い夢>act1
未来のクララ 西田佑子 桑野東萌 桑野東萌
夢創人
ドロッセルマイヤー
三木雄馬
クララ 小泉奈々(子役)
フリッツ 肝付瑠生(子役)
パパ 山本庸督 山本庸督 西島千博
ママ 桑野東萌 小野真理子 小野真理子
<黒い宮殿>act2
チョコブラウニー
(スペインの踊り)
後藤いずみ 三木雄馬
(ドロッセルマイヤー)
三木雄馬
(ドロッセルマイヤー)
カフェオレ
(アラビアの踊り)
小野真理子 西田佑子 西田佑子
アイスティー
(中国の踊り)
三木雄馬
(ドロッセルマイヤー)
後藤いずみ 後藤いずみ
過去と現在
(あし笛の踊り)
山本庸督(パパ) 山本庸督(パパ) 西島千博(パパ)
桑野東萌(ママ) 小野真理子(ママ) 小野真理子(ママ)
小泉奈々(クララ)・肝付瑠生(フリッツ)
黒いワルツ
(花のワルツ)
小野真理子 西田佑子 西田佑子
三木雄馬(ドロッセルマイヤー)
未来のクララと
未来のパートナー
(グラン・パ・ド・ドゥ)
西田佑子 桑野東萌 桑野東萌
西島千博 西島千博 山本庸督

*変更の可能性もありますので、ご了承下さい。