『ハリー・ポッターと呪いの子』日本公演が、2026年12月27日に千穐楽を迎えることになりました!
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- コラム 友谷真実
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『ハリー・ポッターと呪いの子』日本公演が、2026年12月27日に千穐楽を迎えることになりました!
将来また再演があることを願っていますが、専用劇場が必要な作品なので、次は何年後、もしかしたら何十年後になるのかもしれません。
ご家族でもお一人でも、原作や映画を観ていなくても楽しめる作品です。
ホグワーツ行きの列車に乗り遅れないように! このファンタスティックな舞台を、ぜひ体感してください。
チケットは下記のウエブサイトからご覧ください。
https://www.harrypotter-stage.jp/
「ハリー・ポッターと呪いの子」についての「踊りある記」の過去の四つの記事はこちらをご覧ください。
https://www.chacott-jp.com/news/column/usa/detail028405.html
https://www.chacott-jp.com/news/column/usa/detail026008.html
https://www.chacott-jp.com/news/column/usa/detail004164.html
https://www.chacott-jp.com/news/column/usa/detail005248.html

2025年最後の「踊りある記」で紹介したい作品は、マシュー・ボーン作品『ロミオ+ジュリエット』でロミオ役を日本でも演じたパリス・フィッツパトリック主演のダンス作品『Quadrophenia』です。
The Whoというロックバンドの曲を、歌ではなく楽器のオーケストレーションだけ使って、物語をダンスで表現します。演出家と振付家が別という珍しいケースで、演出はRob Ashford。プロジェクションの使い方や床の区切り方がとても面白く、映画を観ているようでした。
最初のシーンは宣伝でも使われているのでインスタグラムで見られると思います。海岸沿いの崖に、パリス演じるジミーと4名のダンサーが。床にもプロジェクションが使われ、とても美しく、イギリスの寒くて荒い海が想像できます。
物語が進むにつれて、この4名がジミーの四つの人格(タフガイ、狂気、ロマンチスト、偽善者)を象徴していると分かり、「ああ、巻き戻したい!」という気持ちになりました。

photographer Johan Persson and Sadler's Wells is credited.

photographer Johan Persson and Sadler's Wells is credited.

photographer Johan Persson and Sadler's Wells is credited.
モッズ(洗練されたスーツ、スクーター、音楽)が主役文化で、彼らのライバルがロッカーズ(バイクに乗るロック好きの若者たち)。喧嘩や家族の問題などを通して、「自分自身は誰なのか?」「どう生きたいのか?」というアイデンティティを探していきます。
今年9月に亡くなられた振付家Paul Robertsさんの振付はとても流れるようで、「ああ、やっぱりイギリスのコンテンポラリー好きだな」と思いました。アメリカのように激しさやパワー、テクニックが目立つのではなく、もちろん難しい動きもありますが、物語に集中できて、波がずっと動いているような感じ。モッズのムーブメントはクールで強く印象に残ります。
そしてマシュー作品もそうですが、イギリス作品はなぜベッドが出るんでしょうね(笑)
『ドリアングレイ』のように、起きる・夢を見るというシーンから2幕が始まります。ベッドから数名出てくるのも似ていました。
私も今度、振付にベッドから起きるシーン、あるいはお布団から起きるシーンでも入れてみようかな...と思いました。
終盤、映画のようだったので「最初のシーンに戻らないかな」と思っていたら本当に戻りました! 四つの人格を表すダンサー達と、現実の相手役の4名が揃い、「なるほど」と納得。
NYの観客はみんな息を呑んでジミーの崖のシーンを見つめていました。「どうか海に飛び込まないで!」と。

photographer Johan Persson and Sadler's Wells is credited.

photographer Johan Persson and Sadler's Wells is credited.
パリスは繊細な若者の気持ちを見事に演じ、踊り、他の役との絡みも素晴らしかったです。本人曰く、1幕はとても大変で、2幕は感情面が大変だそうです。久しぶりに彼の舞台を観て再会できて、すごく嬉しかったです。
こういう作品が増えて、ダンサー達に踊る場所・表現の場があるのは本当に良いなと思います。隣で観ていた男性はThe Whoのファンで、ダンス作品は初めてだったそうですが、「お父さんの戦場のシーンでは泣きそうになった。あの光と動きのタイミングがすごい!」と終演後も圧倒されている様子でした。近くにいた私の生徒も紹介したら、『くるみ割り人形』をチェックしていました。音楽からダンスファンが増えた感じでした♪
皆さんは、2025年度の作品を観て観納めにしますか?
次回の「踊りある記」は2026年2月です。感想を時々メッセージでいただき、とても嬉しいです。また劇場関係の方にも「読んでいます」と言われてびっくりしています。応援どうもありがとうございました。
皆様も、笑顔で気持ちの良い年末年始をお過ごしください。

パリスと


インタビュー & コラム

友谷 真実 Mami Tomotani
福岡シティ川添バレエ学苑、三ノ上万由美バレエスタジオでバレエを黒田バレエスクールにてコン テンポラリーダンスを学ぶ。
15 歳で劇団四季合格し、ミューシカルで活躍後、英国マシュー・ボーンのニュー・アドベンチャーズに日本人として初めて入団。「くるみ割り人形」では主役クララを演じ、 「エドワード・シザーハンズ」「Highland Fling」(愛と幻想のシルフィード)、トニー賞 受賞の「白鳥の湖」「カーマン」 「眠りの森の美女」出演。 現在は、マシュー・ボーンのインターナショナルツアーの「前座公演」振付、ワークシ ョップを担当。2023 年―2024 年は「エドワード・シザーハンズ」イギリス公演に出演 する。
また、「ハリー・ポッターと呪いの子」日本アソシエイトムーブメントディレクター 担当。最近では NY のアーティスト、Kazue Taguchi の作品で NY の The Museum of Art and Design で踊り、福岡美術館でバンドネオン演奏者、川波幸恵とのコラボで踊った。
振付家として N.Y の全米 No.1 のミュージカル「フェーム」のモデルにもなったラガー ディア芸術高校で「サウンド・オブ・ミュージック」や芝居の「プライドと偏見」「キ ルトに綴る愛」「Compleat Female Stage Beauty」振付で活躍中。 ピッツバーグ大学の「Zanna Don't!」振付やコンテンポラリーのコンクール作品振付で は、NY の NYDA/Hariyama Ballet の二名のダンサー達が銀賞を受賞。YAGP N.Y でもトッ プ 12 入賞。2019 年には、国際バレエコンクールで 1 位と 4 位を受賞。 振付助手としては 2021 年、ホリプロミュージカル、マリア・フリードマン演出、振付 家ティム•ジャクソン「メリリー・ウィー・ロール・アロング」の 1 幕を担当。マシュ ー・ボーンの「ドリアングレイ」日本公演のリハーサルアシスタントも経験した。
ブロードウェイミュージカルを学ぶ NY のプログラム「Mid Manhattan Performing Arts」 芸術監督。
マイズナーテクニックで有名な「ネイバーフッド・プレイハウス
」、N.Y の Hariyama Ballet、でコンテンポラリー、シアターダンス指導、ジョフリーバ レエサマーインテンシブでコンテンポラリー、シアターダンス、バレエを指導、ステッ プス、カーネギー・メロン大学、プリンストン大学など全米、日 本でワークショップ を開催している。
チャコットの web マガジン「踊りある記」連載中。
その他出演作品は「王様と私 」(ロイヤルアルバートホール)、 劇団四季「キャッツ」、「ジーザス・クライスト=スーパースター」、「アスペクツ・オブ・ラブ」、「ウエストサイド物語」、「オペラ座の怪人」、「ハンス」、「オンディーヌ」、スイセイ・ミュージカル「フェーム」、「ピアニスト」。 オーストリア、州立バレエ・リンツにてロバート・プール、オルガ・コボス、ピーター・ミカなどのコンテンポラリー作品。
Website : https://www.mamitomotani.com/
X : @mamitomotani
Instagram : mami.lesson_choreograph