リージェント・パーク・オープンエア・シアター(Regent's Park Open Air Theatre)でのダンス公演『A Life In Four Seasons』は大成功で終わりました!

リージェント・パーク・オープンエア・シアター(Regent's Park Open Air Theatre)でのダンス公演『A Life In Four Seasons』は大成功で終わりました!
森の中で踊っているような感覚で、バックステージも木々に囲まれているため、どこかリゾート地のスパのよう。なぜか楽屋は、昔、私が出演した劇団四季の『キャッツ』の雰囲気を思い出しました。劇場のような石やコンクリートの建物ではないからでしょうか。

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「A Life in Four Seasons」© Helen Murray

内容については前回の「踊りある記」をご覧ください。アレンジされたヴィヴァルディの「四季」の冬のシーンで、私は本能で動く「Guts」役で踊りました。演出家からは「冬は、これまでの季節の頭脳派『Head』、感情の『Heart』、そして本能の『Guts』の良いところを全部人生で学び、持っている存在」と言われました。「春」(20代設定)、「夏」(30代設定)、「秋」(40代設定)のそれぞれの3役が悩みや戸惑いを経験していく中で、私たち「冬」のメンバーは、「人生を謳歌する」という意味でも、今持っているものを今も挑戦しながら、「自分」を受け入れるという感じで踊るという感覚でした。

こんな美しい野外劇場で踊れることに、私もみんなも心と身体で喜んでいるようでした。なんとも言えないマジックが起こり、各自が受け持ちのパートを素晴らしく踊って、次へとバトンを繋いでいました。
昼公演は青空の下で踊る開放感があり、夜公演は照明が映えてまた違った味わいがあります。舞台袖ではなく森の中にテントがあり、そこで衣装の着替えなどをしました。 友人たちもたくさん観に来てくれて、劇場に入る前のバラが咲き誇る公園から楽しんで、ダンスを思いっきり堪能してくれたようです。「なぜもっと公演がないの?」とみんな開催期間の短さを惜しんでいました。私自身、良い批評をいただけたことには驚きましたが、踊れる喜びがお客様へ届いたことが何より嬉しかったです。ここでの出会いは私にとってとてもスペシャルなものになりました。いつかまたここで出会った方々とお仕事ができればと願いながらお別れしました。

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「A Life in Four Seasons」© Helen Murray

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「A Life in Four Seasons」© Helen Murray

さて、2週間の休みを挟んだ後は、マシュー・ボーンのニュー・アドベンチャーズのチャリティー部門による『ドアステップ・デュエット』です!  読者の皆様には3度目のおなじみの企画かと思いますが、初めての方のために簡単に説明すると、本格的なプロの踊りを普段は劇場に来られない方々のもとへ届け、無料で作品を楽しんでもらうプロジェクトです。図書館、ケアホーム(老人ホーム)、ホスピス、障がいのある子どもたちの学校、街の公園や広場などに出向いて踊ります。
今回は、レジデント・アーティストのグレン・グラハムが振付した『ベンチ』という作品です。私はレジデント・ディレクター兼ダンサーとして参加しています。 1940年代のボビー、1960年代のジーン、現代のジュードゥが、不安や恐れの詰まったスーツケースを持って同じベンチに座ります。この3人が(タイムマシンに乗るわけではないのですが)偶然同じ時空で出会い、それぞれのスーツケースの中身にある不安や恐れを克服していく、というストーリーです。

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「ベンチ」© RoswithaChesher

現地のスタッフの方々が1週間のスケジュールを組んでくださり、現地に着いたら車1台と衣裳・小道具が入ったバン1台で、1日に3~4箇所を移動します。 これはマシュー・ボーンが初めてカンパニーを持ってツアーをした時と同じスタイルです。バンにダンサーたちがセットや衣装を上手に詰め込む様子を、マシューが最後の通しリハーサルを見にきた時に、遠い昔を懐かしむような面持ちで見つめていました。
コンテンポラリーダンスではよくある手法ですが(最近はミュージカルの振付家も行いますが)、ダンサーに課題を与え、一緒にディスカッションしながら振付を作っていきます。そうすることで面白いアイデアが生まれますし、役を演じる本人が気持ちや状況を考えて言葉にするようにムーブメントを作るので、とてもしっくりくるのです。時折、グレンから「僕の隣で一緒に見てくれる? どう思う?」と聞かれ、クリエイトをグレンと一緒にするのは本当に楽しかったです。今回も2週間という短いリハーサル期間でしたが、スムーズに進み、20分の素晴らしい作品が出来上がりました!

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「ベンチ」© RoswithaChesher

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「ベンチ」© RoswithaChesher

私は1940年代のボビーを演じたので、当時の所作や、作中で踊る有名な第二次世界大戦中の楽曲についても調べました。ソロのシーンでは、ケアホームの方々が一緒に歌い出したり、涙を流されたりすることもあり、踊っていない時にその様子を見てこちらまで胸がいっぱいになりました。(1つの役を3人で担当し、順番に踊ります。)
ディレクターとしては、なかなか多忙です。毎週のキャスト決め、朝のスケジュール確認、滞在先のホテルやAirbnbを何時に出発して何時にウォーミングアップを始めるかなどを、毎晩ダンサーたちにメッセージで連絡します。 現場に着いたらプロデューサーと一緒に担当者へご挨拶をし、踊る場所の確認や正面の設定などを行います。ダンサーたちがセットを運び込み、セッティングを手伝ったら、本番前にお客さま方とお話しします。ケアホームなどでは、みなさん本当に嬉しそうに話しかけてくださいます。
ダンスが終わった後も、感想を聞きにみんなでお客さまのもとへ向かいます。普通の劇場ではなかなかできないことですが、生の感想をダイレクトに聞くことで「そんな思いで見てくれていたのか」とこちらが感動させられることばかりです。そして、その感想をステージマネージャーに報告します。この報告はカンパニーの事務所に送られ、次回のアーツ・カウンシルから助成金を得るためにも非常に重要なプロセスなのです。また、すでに切手が貼ってある感想用ハガキもお配りしています。「家で感想を書いてポスト投函する」という体験も、みなさんとても喜んでくださっていました。

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「ベンチ」© RoswithaChesher

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「ベンチ」© RoswithaChesher

本番が終わると荷物をすべてバンに積み込み、ダンサーたちは別の車に乗り込んで次の会場へ移動します。1日に20分の作品を3~4回上演し、観客の方々とお話しして......と、1日が終わる頃にはクタクタになりますが、「生の芸術やダンスを届けることがどれほど大切か」を再確認できる、とても心地よい達成感に満ちた仕事です。
日本でも様々な形でみなさんがすでに活動されていると思いますが、日本のアーツ・カウンシルももしこういった取り組みに興味があれば、私はぜひノウハウを持って参加したいですね! 初めて生でダンスを見る子どもたちは、公園で遊んでいてもパフォーマンスが始まるとじっと集中して見入っています。芸術の力って、本当にすごいなと感じます。みなさんもぜひ、地元の芸術や劇場、イベントに足を運んでみてくださいね♪

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「ベンチ」© RoswithaChesher

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「ベンチ」© RoswithaChesher

インタビュー & コラム

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友谷 真実 Mami Tomotani

福岡シティ川添バレエ学苑、三ノ上万由美バレエスタジオでバレエを黒田バレエスクールにてコン テンポラリーダンスを学ぶ。
15 歳で劇団四季合格し、ミューシカルで活躍後、英国マシュー・ボーンのニュー・アドベンチャーズに日本人として初めて入団。「くるみ割り人形」では主役クララを演じ、 「エドワード・シザーハンズ」「Highland Fling」(愛と幻想のシルフィード)、トニー賞 受賞の「白鳥の湖」「カーマン」 「眠りの森の美女」出演。 現在は、マシュー・ボーンのインターナショナルツアーの「前座公演」振付、ワークシ ョップを担当。2023 年―2024 年は「エドワード・シザーハンズ」イギリス公演に出演 する。
また、「ハリー・ポッターと呪いの子」日本アソシエイトムーブメントディレクター 担当。最近では NY のアーティスト、Kazue Taguchi の作品で NY の The Museum of Art and Design で踊り、福岡美術館でバンドネオン演奏者、川波幸恵とのコラボで踊った。
振付家として N.Y の全米 No.1 のミュージカル「フェーム」のモデルにもなったラガー ディア芸術高校で「サウンド・オブ・ミュージック」や芝居の「プライドと偏見」「キ ルトに綴る愛」「Compleat Female Stage Beauty」振付で活躍中。 ピッツバーグ大学の「Zanna Don't!」振付やコンテンポラリーのコンクール作品振付で は、NY の NYDA/Hariyama Ballet の二名のダンサー達が銀賞を受賞。YAGP N.Y でもトッ プ 12 入賞。2019 年には、国際バレエコンクールで 1 位と 4 位を受賞。 振付助手としては 2021 年、ホリプロミュージカル、マリア・フリードマン演出、振付 家ティム•ジャクソン「メリリー・ウィー・ロール・アロング」の 1 幕を担当。マシュ ー・ボーンの「ドリアングレイ」日本公演のリハーサルアシスタントも経験した。
ブロードウェイミュージカルを学ぶ NY のプログラム「Mid Manhattan Performing Arts」 芸術監督。
マイズナーテクニックで有名な「ネイバーフッド・プレイハウス
」、N.Y の Hariyama Ballet、でコンテンポラリー、シアターダンス指導、ジョフリーバ レエサマーインテンシブでコンテンポラリー、シアターダンス、バレエを指導、ステッ プス、カーネギー・メロン大学、プリンストン大学など全米、日 本でワークショップ を開催している。
チャコットの web マガジン「踊りある記」連載中。
その他出演作品は「王様と私 」(ロイヤルアルバートホール)、 劇団四季「キャッツ」、「ジーザス・クライスト=スーパースター」、「アスペクツ・オブ・ラブ」、「ウエストサイド物語」、「オペラ座の怪人」、「ハンス」、「オンディーヌ」、スイセイ・ミュージカル「フェーム」、「ピアニスト」。 オーストリア、州立バレエ・リンツにてロバート・プール、オルガ・コボス、ピーター・ミカなどのコンテンポラリー作品。
Website : https://www.mamitomotani.com/
X : @mamitomotani
Instagram : mami.lesson_choreograph

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