私のダンサー人生の中でも、とびきりエキサイティングで光栄なご報告があります。

私のダンサー人生の中でも、とびきりエキサイティングで光栄なご報告があります。なんと、あのロンドン最大級の格式ある野外劇場、「リージェント・パーク・オープンエア・シアター(Regent's Park Open Air Theatre)」の舞台で踊ることになりました!

A Life in Four Seasons company in rehearsals. Credit Helen Murray. AL3C65~1.jpeg

今回の作品は、ヴィヴァルディの『四季』の音楽に乗せて4つの世代を描く壮大なダンス作品。設定は「春=20代」「夏=30代」「秋=40代」、そして「冬=50代以上」で、それぞれの時代をリアルな年齢層のダンサーたちが身体で表現していきます。私はもち ろん(笑)、実年齢にぴったりな「冬(Winter)」のパートを演じます。
さらに面白いのが、各世代に3名ずつキャラクターがいること。頭脳派の「Head」、感情の「Heart」、そして本能で動く「Guts」の3つの役があり、私は直感と度胸の塊である「Guts」を任されました!
リハーサル初日の自己紹介で、素敵な再会がありました。この劇場の芸術監督を務めるのは、あのドリュー・マコーニー(Drew McOnie)です! マシュー・ボーン(ニュー・アドベンチャーズ)作品を昔から観てくださっている方ならお馴染みですよね。
ドリューは私の顔を見るなり、「僕たちの関係って、僕の母親役、お姉さん役、恋人役まで、ほぼすべての役を一緒に演じて踊ってきた仲なんだよ」とエグゼクティブ・ディレクターのジェームズ・ピジョン(James Pidgeon)に紹介してくれました。私が『くるみ割り人形』のクララだった時、彼はフリッツでした。彼が20代前半のニューアドベンチャーズカンパニー時代に「いつか振付家になりたい」と目を輝かせていたのを今でも鮮明に覚えています。
そんな彼が今や芸術監督となり、ジェームズ・ピジョンと一緒に劇場の歴史を語る姿を見て胸がいっぱいになりました。1932年にシェイクスピア劇から始まったこの劇場は、今や1,304名収容の巨大劇場。今年はドリュー振付のリバイバル版『キャッツ』も控えており、セットを見た人が「素晴らしすぎて待ちきれない」と興奮するほど。今、最も勢 いのある劇場です。

A Life in Four Seasons. Alexzandra Samiento (choreographer) in rehearsals. Credit Helen Murray. ALA462~1.jpeg

A Life in Four Seasons company in rehearsals. Credit Helen Murray. AL27CD~1.jpeg

初日はさらに、ロイヤル・シェイクスピア・カンパニーなどの演出を手がける演出家ティヌケ・クレイグさんからの深い作品解説や、衣装デザイナーさんとの個別ミーティングなどがありました。
初日の午後は、イギリスのカンパニーらしい「E D I(平等・多様性・包括)」のワークショップがありました。性別、年齢、国籍、障害の有無、性的指向に関わらず、すべての人が公平にチャンスを得て(Equality)、多様な背景を持つ人々が共存し(Diversity)、お互いを認め合って個性を活かし合える環境(Inclusion)を目指すための大切な時間です。
私は年1、2回、ニュー・アドベンチャーズのオンラインワークショップを受ける機会がありますが、英語でのディスカッションなので毎回必死に耳を傾けています。今回、講師の方が語られた「頭で理解するだけでなく、失敗を恐れずに実際に行動しなければ意味がない」という言葉が、ダンスの現場にもこれからの生き方にも通じるメッセージとして深く心に刺さりました。
2日目からは、日本でも『奇跡を呼ぶ男』や『赤と黒』などでおなじみの振付家、アレクザンドラ・サルミエント(Alexzandra Serminato)による振り写しが始まりました! これが信じられないほどのハイスピードで、めちゃくちゃ複雑なカウントの連続。若い時はこのスピードは普通ですが、最近は年齢にあった母親役などの振りを踊るので、今回も私達は、振りが簡単でゆっくりの動きかな。と思ったら違いました。(笑)
アレクザンドラは「私はどんどん編集していくタイプです。たくさん振り写しをしても、全体のバランスで全部やめたり変更したりします」と宣言していた通り、全員で必死に覚えた複雑なステップが、2日後のステージングで数名はバッサリカットになることも日常茶飯事。でも、妥協なく作品を洗練させていく最高のプロの現場に、私はむしろワクワクしてしまいました。
そんな怒涛の現場で、みんながパニックになりそうな時に救ってくれるのが、アソシエイトディレクター&振付家のサム(サミュエル・ウィルソン=フリーマン)です。「みんながパニクっている時こそ、僕が落ち着いて優しく話すのが一番良いって経験から学んだんだ」と言って、いつも穏やかに丁寧に説明してくれる彼の優しさに、どれだけ助けられているか分かりません。彼曰く、私はパニックになると笑い出すそうです。そうなんです! リハの写真も笑うシーンではないのに、パニックだったので笑っているのです。

A Life in Four Seasons. Mark Smith in rehearsals. Credit Helen Murray. AL05A1~1.jpeg

A Life in Four Seasons. Alexzandra Samiento (choreographer) and Tinuke Craig (director) in rehearsals. Credit Helen Murray. ALD334~1.jpeg

A Life in Four Seasons. Susan Kempster in rehearsals. Credit ALIFEI~4.jpeg

今回のリハーサルで、ダンサーとして本当に面白い発見がありました。共演者の多くがヒップホップやストリート系の第一線で活躍するダンサーたちなのですが、彼らは数字のカウントではなく「音楽のリズム」で身体に振りを染み込ませていくんです。必要以上に大きく動くのではなく、あえてタイトに軽る~く踊るからこそ、あの超高速な動きに対応できるというシステムを間近で発見し、そのスタイリッシュさに「素敵だな」と自然と笑みがこぼれてしまいました。
何よりも、56歳になった今の私が、現役バリバリの若いトップダンサーたちに混ざって、アレクザンドラのパワフルでセクシーな振付に挑戦させてもらえている環境に、感謝の気持ちが止まりません。
今回の素晴らしいところは、「50代以上だからこの激しい動きは無理」という偏見が一切なく、一人のダンサーとして対等に踊らせてくれるところです。ちなみに、最年長は65歳の方です!
私は、若い子たちの凄まじいエネルギーを背中から浴びるだけで、私の身体の細胞まで フル稼働して触発されています。
こうして大人世代が本格的なダンス作品に参加できる機会は世界的に見ても少ないですが、イギリスはお客さんの年齢層もジェンダーも本当に幅広く、多様性を受け入れる土壌がしっかりあるからこそ、こうした挑戦的な作品が成立するのだと感じます。

A Life in Four Seasons. Ethan Vijn in rehearsals. Credit Helen Murray. AL8635~1.jpeg

A Life in Four Seasons. Robia Brown, Carrie-Anne Ingrouille, Christie Lee Manning in rehearsals. Credit Helen Murray. ALIFEI~1.jpeg

<公演情報>
公演期間:6月11日(木)~14日(日))全6回公演
ミュージカル、ジャズ、ストリート、ヒップホップ、コンテンポラリーなど、あらゆるジャンルのレジェンドたちが集結した、見応え抜群のステージです。
もしこの時期にロンドンにいらっしゃる方がいれば、ぜひ劇場の開放的な空気の中で、私たちの熱いステージを観に来てください! 遠方のみなさまも、インスタグラムからたくさんのパワーや応援を送っていただけたら、とっても励みになります。
ウェブサイト https://openairtheatre.com/production/four-seasons
インスタグラム https://www.instagram.com/regentsparkoat/

次回は、いよいよ憧れの野外劇場の舞台に立った感想をお届けしますね。どうぞお楽しみに!

インタビュー & コラム

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友谷 真実 Mami Tomotani

福岡シティ川添バレエ学苑、三ノ上万由美バレエスタジオでバレエを黒田バレエスクールにてコン テンポラリーダンスを学ぶ。
15 歳で劇団四季合格し、ミューシカルで活躍後、英国マシュー・ボーンのニュー・アドベンチャーズに日本人として初めて入団。「くるみ割り人形」では主役クララを演じ、 「エドワード・シザーハンズ」「Highland Fling」(愛と幻想のシルフィード)、トニー賞 受賞の「白鳥の湖」「カーマン」 「眠りの森の美女」出演。 現在は、マシュー・ボーンのインターナショナルツアーの「前座公演」振付、ワークシ ョップを担当。2023 年―2024 年は「エドワード・シザーハンズ」イギリス公演に出演 する。
また、「ハリー・ポッターと呪いの子」日本アソシエイトムーブメントディレクター 担当。最近では NY のアーティスト、Kazue Taguchi の作品で NY の The Museum of Art and Design で踊り、福岡美術館でバンドネオン演奏者、川波幸恵とのコラボで踊った。
振付家として N.Y の全米 No.1 のミュージカル「フェーム」のモデルにもなったラガー ディア芸術高校で「サウンド・オブ・ミュージック」や芝居の「プライドと偏見」「キ ルトに綴る愛」「Compleat Female Stage Beauty」振付で活躍中。 ピッツバーグ大学の「Zanna Don't!」振付やコンテンポラリーのコンクール作品振付で は、NY の NYDA/Hariyama Ballet の二名のダンサー達が銀賞を受賞。YAGP N.Y でもトッ プ 12 入賞。2019 年には、国際バレエコンクールで 1 位と 4 位を受賞。 振付助手としては 2021 年、ホリプロミュージカル、マリア・フリードマン演出、振付 家ティム•ジャクソン「メリリー・ウィー・ロール・アロング」の 1 幕を担当。マシュ ー・ボーンの「ドリアングレイ」日本公演のリハーサルアシスタントも経験した。
ブロードウェイミュージカルを学ぶ NY のプログラム「Mid Manhattan Performing Arts」 芸術監督。
マイズナーテクニックで有名な「ネイバーフッド・プレイハウス
」、N.Y の Hariyama Ballet、でコンテンポラリー、シアターダンス指導、ジョフリーバ レエサマーインテンシブでコンテンポラリー、シアターダンス、バレエを指導、ステッ プス、カーネギー・メロン大学、プリンストン大学など全米、日 本でワークショップ を開催している。
チャコットの web マガジン「踊りある記」連載中。
その他出演作品は「王様と私 」(ロイヤルアルバートホール)、 劇団四季「キャッツ」、「ジーザス・クライスト=スーパースター」、「アスペクツ・オブ・ラブ」、「ウエストサイド物語」、「オペラ座の怪人」、「ハンス」、「オンディーヌ」、スイセイ・ミュージカル「フェーム」、「ピアニスト」。 オーストリア、州立バレエ・リンツにてロバート・プール、オルガ・コボス、ピーター・ミカなどのコンテンポラリー作品。
Website : https://www.mamitomotani.com/
X : @mamitomotani
Instagram : mami.lesson_choreograph

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