このウィル・ヤングのミュージックビデオの振付家はマシュー・ボーンの『白鳥の湖』に数ヶ月だけ出演した、ハリー・プライスさんです。私は、彼のことを今回の仕事まで知りませんでした。彼がロンドンのサドラーズ劇場でマシュー・ボーンの『シザーハンズ』を観劇し、「ダンス公演ではよくある両親役を若い人が演じるのではなく、それなりの年齢層のダンサー達が出演していてとても良かった。作品に深みが出ていて感動した」と撮影日に話してくれました。
また、ウイルが40代なので周りを若いダンサーではなく同じ年齢層、40代以上のダンサーにしようとディレクターと決めた。そして幾つかのダンスカンパニーで40代以上のダンサーを探したけど、これが現役のダンサーは少なく、探すのにとても苦労した。そこで目に留まったのが『シザーハンズ』のホームページでMamiにコンタクトした、と後で聞きました。

まずは、『シザーハンズ』のカンパニーにお願いし、1日のリハと次の日の撮影日に参加できるか許可をお願いしました。
カンパニーから『シザーハンズ』のキャストに怪我人、病人がいない場合はOKと言われました。ミュージックビデオのリハの日は移動日なので大丈夫ですが、撮影日がツアーの初日なので、そこがどうなるか・・・という感じだったのですが、私が演じる、エスメラルダは他のダンサーが出演し、またそのダンサーが怪我をしても、代わりのダンサーもいて大丈夫でしたが、重要なペグ役は私以外に出演するダンサーがいても万が一の時のためのカバーがいないということで、その時はエタがペグができるようにその日だけ地方の劇場に行ってくれました。本当に感謝です。

ミュージックビデオ制作当日、初めて他の4名の40代以上のダンサーとリハーサルで会いましたが、なんと友人でオリジナルのマシュー・ボーン『白鳥の湖』と『くるみ割り人形』などAMPの時代のセオ・クリンカードがいて、一緒に踊ったことはありませんが数回パーティなどで会ったことはあるのでホッとしました。
女性陣もロンドンの『スリープ・ノー・モア』オリジナルレディー・マクベスだったサラ・ドーリングなど全員が素晴らしいキャリアで、ダンサーであり振付家でもあり、指導もしているというメンバーでした。
短いフレーズをいくつか習い、お昼にウィルが来て、彼がソロをリハしている時に私たちだけで教わったナンバーを復習してみましたが、これが全員覚えていない・・・大爆笑でした。「え？　どんな動きから始まった？　途中の動きも思い出せない！！」という感じでした。やはり40代以上なのでこうなるのか、5分ほどお互い一生懸命頭を使ってやっと出だしの動きを思い出しました（笑）。

その後は、ウィルとのインプロでしたが、ウィルの凄いこと！　見事にコンテンポラリーダンスのインプロ（即興）やコンタクト（お互いにどこでも良いので触れて動く）など滑らかにこなして一緒に踊っていてとても気持ちよかったです。
撮影日はたくさんインプロがあり、踊っている間に「Mami、ウィルに近づいて、離れて」など指示があり、それを聞きながら動いていました。どういう曲かは新曲なので私達ダンサーに知らされてなく、撮影日に曲を始めて聴きました。少しだけかかっただけなので気持ちの持っていきようもわかりませんでしたが、ハリーとディレクター、彼のチームのおかげで楽しくきっちり時間通りに終わりました。ゴージャスなウイルは撮影時も気楽に話しかけてくれ優しい言葉ももらいとても良い雰囲気でした。
ウィルと私のインスタなどソーシャルメディアでショートヴァージョンも見られますが、コメントもみんな「同じ年代のダンサー達を使用してカッコ良い！」「どうして今までこういうビデオがなかったのだろうか、ウィルと40代以上のダンサー達、素晴らしい！」など好評で週のトップチャート1位にもすぐに入っていました。流石ですね。

とても素敵な声で歌っているこの曲、下記から全部見られます。どうぞ皆さんもご覧になってくださいね。