マシュー・ボーンのPWW日本公演のカンパニー・クラスを教えました。

 マシュー・ボーンのPWW(プレイウイズアウトワーズ)日本公演のカンパニー・クラスを教えました。

 マシューのカンパニーに入った時は、若くなかったので、エタ(ダンサー兼マシューのアシスタント)いわく、「真実はold dancerではなくexperience dancer(笑)ね」と言われていました。
 そして、イギリスではリハーサル・ディレクターから「今日のクラスはどう思う?この先生にまた来てもらう?」といつも意見を求められていました。
それが、逆の立場で教えるとなった今、「しまった~!偉そうに意見を言わなければ良かった」と思ってしまいますが、もうどうしようもありません。
 でも、教えるのはとても楽しいです。チャレンジしている楽しさです。

『PWW』は作品として踊りが少ないので、本当にウオーミング・アップ程度でいいのですが、ダンサーたちはそれぞれ今後の出演する作品のため毎日バレエかコンテンポラリー、サーキット・トレーニングを受けています。ちなみに私はコンテンポラリー・バレエを教えています。

 面白いのは『くるみ割り人形』のメンバーもそうですが、長いこと一緒にツアーをしているとみんな自然と同じテンションになってくることです。
必ず休み明けは、みんなゆっくりしたペースです。こんな時に早いテンポのクラスをすると、みんな、ついていけず空回りします。 週中は少しハードなクラスをしても、ついていけます。週末の2回公演の朝のクラスは、シンプルでミュージカルなどの明るい曲を使って、とにかく起こします!

 日本人と違い、個人的に気分が悪い日は態度に出すので、「今日のクラスは良くないのかな?」と思うこともありますが、気にしていたら教えられなくなるので、そこは強い意志を持って、他のダンサーのためにクラスを進めていきます。

 マシューのカンパニーは、他のダンスカンパニーと違い、変な緊張感はありません。
新しいダンサーや、外からクラスを受けに来るダンサーを値踏みするように見たり、無視したりなどはありません。私たちはどちらかというと、そのダンサーの緊張をとる雰囲気へもっていってあげます。

 サーキット・トレーニングは、カンパニーのフィジオ(ダンサーの怪我など治療する)のエヴァが担当です。ダンベルや縄跳び、ボール、バランスボードなどの10種類以上の運動道具が円を描くようにおいてあり、二人一組でそれを全部こなします。その間に背筋、腹筋の運動も入っています。
 私は、この日が苦手です。そこで相手を、飛んだり、ダンベルを上下する回数が少なくてすむ怪我をしているダンサーと組むようにしています(笑)。
マシューからも「I don't need it.」というMamiの言い訳は使える、と笑われています。

『くるみ割り人形』ではこの日以外にも、ダンスのクラスの前に若い男性ダンサーたちだけの「フィットクラブ」(私たちはファットクラブと呼んでました)が20分だけありました。みんな体つきが段々変わり、リフトされた時にパートナーたちの力がついてきているのがよく分かりました。
 カンパニークラス以外でもオープンクラスのヨガやピラテなどを受けに行っている人もいます。私はアクアエアロが最近気に入っています。

 みなさんももうお気付きでしょうが、私たちは普通のダンスカンパニーの様に全員同じ体型だったり、鉛筆のように細かったりしません。それは、エタいわく、マシューには細いダンサーより、リアルな体つきのダンサーの方が魅力あるからだそうです。
 次の日本公演では違うキャラクターも見どころですが、ダンサーたちの違う体つきも見てみて下さい。

インタビュー & コラム

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友谷 真実 Mami Tomotani

マーサ・グラハム・サマースクール、劇団四季研究所、川副バレエスクールでダンスを学ぶ。
★主な出演作品:
ニュー・アドべンチュアーズ『くるみ割り人形』(クララ、キューピット役ほか)、『白鳥の湖』、『カーマン』、『エドワード・シザーハンズ』(ペグ 役ほか)、『Highland Fling』(愛と幻想のシルフィード)、州立バレエ・リンツにてロバート・プール、オルガ・コボス、ピーター・ミカなどの作品(オース トリア)、 アルティ・ブヨウ・フェスティバル(京都)、ベノルト・マンブレイの振付作;スイセイ・ミュージカル『フェーム』、『ピアニスト』; 劇団四季『キャッツ』、『ジーザス・クライスト=スーパースター』、『アスペクツ・オブ・ラブ』、『ウエストサイド物語』、『オペラ座の怪人』、『ハン ス』、『オンディーヌ』など
★TV/映画:『くるみ割り人形』(BBC)他。
★振付作品:『just feel it?以・真・伝・心』個人のプロローグ(02年);アルティ・ブヨウ・フェスティバル(98年)、他。
http://ameblo.jp/mami-tomotani/

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