エタのKNEEHIGHカンパニーの『Tristan & Yseult』(トリスタンとイゾルデ)の公演をシカゴに観に行ってきました!

エタは、イゾルデを演じていました。 このカンパニーについては以前ニューヨーク公演のことをここで書きましたが、本当にユニークな芝居カンパニーです。
この悲劇をこれだけ美しく、面白く、大胆に演出するのは凄いですね!

始まる前から役者が生バンドで50年代のケネディー夫人の様な衣装で、ジャズを歌っています。他の役者たちは全員コートとフードをかぶって、記者のような感じで、お客たちと気軽に話しをしたり、ジョークを飛ばしていました。
あるきっかけで全員が舞台に立ち、台詞と一緒にコンテンポラリーの動きで「これからトリスタンとイゾルデの物語が始まる」と、観客を物語の世界に引き込みます・・・
舞台もグローブ座の様な半円系で舞台奥にある高い廊下の橋のようなセットが海を表します。舞台中央には、ロープがあり、それを面白く役者たちが使って、違う場面を演出します。普通にテーブルが出て来たり、大きな舞台セットが出て来たりせず、本当にアイデアが面白い!

エタと私

エタと私

また、何人かは二役で、例えばブランジャン(イゾルデの侍女)とモルオルト(イゾルデの叔父)役を一人でします。そう!侍女役は男性です。しかもとても面白いコメディーで、かなり舞台を走り回ってジャンプしての登場を繰り返し、観客は大爆笑でした。でも、彼女(男性が演じていますが)が、イゾルデの願いでイゾルデのふりをして王の寝室に行きますが、そのシーンは、かなり大柄で少し太っている役者が男であることをすっかり忘れ、女として、とても切なく悲しいシーンを見事に演じていました。

リハーサル

リハーサル

そして、ここでは話せませんが最後のシーンはどんでん返しというか、サプライズが待っています!
物語はコーンウォール(ロンドンから汽車で数時間離れた街です)が舞台ですが、このカンパニーも本拠地がコーンウォールです。私も友人がいるので遊びに行ったことがありますが、とても美しい街で、海があり丘があり、森があり、その様子をセットなしで表していましたが、『ロミオとジュリエット』は、この物語に影響を受けて書かれたと言われているそうですが、本当に美しい物語です。 ただ、それをこんなにユニークに、生バンドとサーカスのようなセット、50年代の衣装で表し、時々歌ありダンスありで素晴らしかったです。観客も1度観てとても面白いから子供たちも連れて2回目と言うファミリーもいました。

パンフレット

パンフレット

エタは、ずっと台詞をしゃべっています。本人いわくイゾルデを演じるにはとても年を取っているのが心配と言っていましたが、全然そんな風には見えませんでした! 可憐で、美しく、強いアイルランド王女を演じていました。とてもリアルでさすがでした! いくつか衣装を着替えるのですが、最初のドレスが嫌い、と本人が言っていました。愛いのですが、デザインは上半身が大きく見えるので、うーん、エタの気持ちが分かる・・・と私も思いましたが。でも、他は素敵な衣装でしたよ。

日本ではあまりないでしょうね。40代のダンサー、しかも芝居にはあまり出ていないダンサーを主役に抜擢する。もちろん、エタはマシューのカンパニーでプリンシパルなので演技は上手ですが、声には出して話しません。このディレクター、Emma Riceは、素晴らしい目を持っていますね。また、それでもお客が入る。芝居が面白く、有名なポップスターやテレビ、映画俳優が演じていなくてもお客さんが観に行く。そして、もう一度観たいと思わせるのは、「あっぱれ」でした!! 冬にニューヨーク公演があるそうです。その時はキャストが変わっているそうですが、もう一度観に行こうと思っています。

トリスタンとイゾルデ

トリスタンとイゾルデ

カンパニー

カンパニー

インタビュー & コラム

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友谷 真実 Mami Tomotani

マーサ・グラハム・サマースクール、劇団四季研究所、川副バレエスクールでダンスを学ぶ。
★主な出演作品:
ニュー・アドべンチュアーズ『くるみ割り人形』(クララ、キューピット役ほか)、『白鳥の湖』、『カーマン』、『エドワード・シザーハンズ』(ペグ 役ほか)、『Highland Fling』(愛と幻想のシルフィード)、州立バレエ・リンツにてロバート・プール、オルガ・コボス、ピーター・ミカなどの作品(オース トリア)、 アルティ・ブヨウ・フェスティバル(京都)、ベノルト・マンブレイの振付作;スイセイ・ミュージカル『フェーム』、『ピアニスト』; 劇団四季『キャッツ』、『ジーザス・クライスト=スーパースター』、『アスペクツ・オブ・ラブ』、『ウエストサイド物語』、『オペラ座の怪人』、『ハン ス』、『オンディーヌ』など
★TV/映画:『くるみ割り人形』(BBC)他。
★振付作品:『just feel it?以・真・伝・心』個人のプロローグ(02年);アルティ・ブヨウ・フェスティバル(98年)、他。
http://ameblo.jp/mami-tomotani/

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