TBEのブロードウェイ・スタジオ・パフォーマンスのために振付けをしています!

前回は、『クレージー・フォー・ユー』の2つのダンスシーンを受け持ちましたが、今回は『オリバー!』のビック・ダンスシーンを全部、他にも半分以上を受け持ちます。(今回、音楽は全部で9曲あります)
このTBEのスタジオ・パフォーマンスは、2レベルに分かれて、それぞれのレベルの受講者がミュージカルの1幕だけ、あるいは2幕だけの30分のショーをします。
私は、いつもTBE代表のベン・ハートリーのグループでしたが、初めて違うディレクターと組みます。何回かミーティングをして詰めている段階ですがとても楽しみです。その時代のイギリスを扱っている映画や色々な資料をリサーチしました。

受講生たちは、TBEの2週目の初日にどのミュージカルをするか、役も発表され初めて知ります。毎回、歓声があり、またキャスト表を見て、もらった台本を見てすぐに確認している姿は真剣で、たまにはやりたい役ではなく複雑な顔をしている子たちもいます。
TBEは、オーディションで配役されます。年齢や経験歴など関係ありません。それぞれのスタジオから数名参加する場でも、そのスタジオに長くいる子、あるいは年齢が上の子など、TBEには全く関係ないので、最初の1週目にあるオーディションでディレクター、振付家、音楽監督によって決まります。これもプロになるための経験ですね。
受講生たちは、たったの5日間で、セリフ、歌、ダンスを習い覚え、役作りもします。また、自分が出ないシーンでは、待ち時間になるので、そこで他の受講生と練習したり、セリフや歌詞を覚えたりしています。ここで、友情も芽生え仲良くなり、一緒に作品を作っていく経験もします。

昨年の『クレージー・フォー・ユー』より

昨年の『クレージー・フォー・ユー』より

スタッフ側も大変です!たったの5日間のリハーサルなので、色々と試したりする時間がありません!
例えば、一つのダンスシーンに1時間半〜2時間もらうと、時間内でそのシーンを教え、終わらせ、次は本番前日の通し稽古で見るというとても恐ろしい経験をします・・・。
次のリハーサル時間では、他のダンスシーンを教えないと間に合いません。なので、私はなるべくシンプルで、物語をお客さんに伝えるために、台本では何が一番に伝えたいか、またその役の気持ちなどを考え振付けをします。そしてそれを何度か手直して、シンプルかつ早く進める準備ができていないと受講生たちに教えられません。
これはきついです。たまにステップによっては、私はできるけど、子供たちには無理だったり、もう少し余計にカウントが必要なため、他のダンスをカットしないといけなくなったり・・・。もちろん、これは振付家にとっては普通の作業ですが、たったの1時間半、2時間で判断して完結させるのはハードです。

振り付けをする時のノートと台本

振り付けをする時のノートと台本

振り付けをする時のノートと台本

また、一番のチャレンジは、毎年どんな受講生が来るかわからないことです。
歌が強い子たちが集まったり、ダンスが弱い子たちが集まったりと、毎年TBEが始まらないとわかりません。TBEが始まってからでは、振付のチェンジは時間がなく出来ないので、私はソロや2、3人だけで踊るシーンは簡単ヴァージョンも用意しています。あるいは、ソロはカットして全員で踊らせるなど。
またこれは経験からなのですが、時間がない時、その切羽詰まった時に出るアイデアが意外と良い時が多いので、2、3箇所は振りを決めていません。(でもそれはギャンブルですが・・・)
ベンにも言われているのは、「忘れないように、子供たちはこの5日間で、ダンスだけでなく、歌、セリフも覚えないといけないので、特に11歳〜14、15歳グループは、頭がいっぱいいっぱいになるのでたくさん振りをつけすぎないこと」。その言葉を守って、自分で振付けた動きをビデオで見ると、「こんな簡単で良いのか・・」と落ち込みますが、物語を伝えるのを優先し、受講生たちが学べるように、と自分に言い聞かせています。
一度難しいダンスシーンをした振付家がいましたが、2時間だけのリハでは踊りこなせず、最後には怒鳴るまでいきませんが、まずは揃うこと、振りを間違えないことになり当日まで大変そうでした。

セットも衣装もなしなので、振付けていてアイデアが湧いても出来ないことがあります。子供たちは小道具の準備も学ぶので、あまり複雑にしたり、たくさん使用しないようにと随分カットしました。
たったの3分のダンスシーンでも、出来ないことが多く全然違うアイデアを絞り出さないとけなくなりましたが、大変でもあり、解決していくと楽しくもあり・・・。

コンテの振り付け

コンテの振り付け

こういう思いで振付けし、子供たちが発表するスタジオ・パフォーマンスがニューヨークのマーク・モリス・スタジオで、8月22日にあります!
8月22日 19時半開演 無料。寄付も募ります。どうぞ観にいらっしゃってください!
3 Lafayette Avenue
Brooklyn, New York 11217
718.624.8400

インタビュー & コラム

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友谷 真実 Mami Tomotani

マーサ・グラハム・サマースクール、劇団四季研究所、川副バレエスクールでダンスを学ぶ。
★主な出演作品:
ニュー・アドべンチュアーズ『くるみ割り人形』(クララ、キューピット役ほか)、『白鳥の湖』、『カーマン』、『エドワード・シザーハンズ』(ペグ 役ほか)、『Highland Fling』(愛と幻想のシルフィード)、州立バレエ・リンツにてロバート・プール、オルガ・コボス、ピーター・ミカなどの作品(オース トリア)、 アルティ・ブヨウ・フェスティバル(京都)、ベノルト・マンブレイの振付作;スイセイ・ミュージカル『フェーム』、『ピアニスト』; 劇団四季『キャッツ』、『ジーザス・クライスト=スーパースター』、『アスペクツ・オブ・ラブ』、『ウエストサイド物語』、『オペラ座の怪人』、『ハン ス』、『オンディーヌ』など
★TV/映画:『くるみ割り人形』(BBC)他。
★振付作品:『just feel it?以・真・伝・心』個人のプロローグ(02年);アルティ・ブヨウ・フェスティバル(98年)、他。
http://ameblo.jp/mami-tomotani/

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