【新着BOOK】『バレエ星』『まりもの星』

谷ゆき子/著

 平成という時代の最後の1年に入った現在から半世紀さかのぼった昭和40年代後半。小学校低学年の少女たちは谷ゆき子が描くバレエ漫画に夢中になっていた。バレエはいつの時代も少女漫画の人気ジャンルのひとつ。しかし当時の彼女たちが毎月心待ちにしていたのは、けなげな主人公がライバルたちとしのぎを削る王道のバレエ物語とはひと味もふた味も違う「全てが想像の斜め上!」の衝撃的超展開バレエ漫画だった......。

2016年の10月に刊行された『超展開バレエマンガ 谷ゆき子の世界』に"100万人読者が手に汗握り次号を待ったあの衝撃バレエマンガ"『バレエ星』の一部が復刻掲載されると、そのあまりにカオスな作品世界の面白さが様々なメディアで大きな話題となった。Dance Cubeでもレビューを掲載したが、谷ゆき子の描くバレエ漫画では何もかもが過剰で想像を超えており、波瀾万丈の物語がどこに着地するのかさっぱりわからない。復刻掲載分の『バレエ星』は、一時的に目が見えなくなった主人公のかすみちゃんが、松葉杖をつきながらぐらぐら揺れる吊り橋の前に立つというとんでもない場面で終わっていたのだが、この続きが気にならない読者はいなかったはずだ。うれしいことに、昨年『バレエ星』全編の復刻・初単行本化が実現し、誰もが結末までたどり着けるようになった。さらに本年5月には『バレエ星』よりもぶっ飛んでいるという復刻第2弾『まりもの星』も発表された。

谷ゆき子作品には「こんなこと絶対あり得ない」とわかっていても、どんどん引き込まれていってしまう過剰なエネルギーがあふれている。古風ではあるが丁寧に描き込まれた美しい絵はダイナミックで迫力があり、画面構成が明瞭なので物語の世界に入り込みやすい。50年の時が過ぎてもその魅力を失わない、中毒性のあるスリリングで濃厚な谷ゆき子ワールド。ぜひ一度体験していただきたい。

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母の願いをかなえるためにバレリーナをめざすかすみちゃんの運命はいかに! 雑誌「小学一年生」1969年1月号から「小学四年生」1971年12月号まで3年にわたった連載が復刻掲載されている。漫画月刊誌並みの厚さの全720ページ!

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完全復刻第2弾。「小学一年生」1972年1月号から「小学四年生」1974年8月号まで連載され、関連グッズが付録になるほど人気を集めた。こちらも全692ページ!

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各方面で大きな注目を集めた、谷ゆき子漫画復刻第1弾。

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『まりもの星』の主人公のなでしこちゃんと妹のれんげちゃん。

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なでしこちゃんの夢に、お母さんが渦の中から華麗にチュチュ姿で登場。

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なでしこちゃんは、なぜチュチュにトウシューズでこんな危険な場所に......。

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「まぼろしの少女」シリーズ3作も同時収録されている。こちらは趣が異なり、ホラー風味。

『バレエ星』『まりもの星』

発行:立東舎
販売:(株)リットーミュージック
各定価:2,138円(本体1,980円+税)

 

コラム/コラム(その他)

[ライター]
森 瑠依子

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