新国立劇場バレエ『ジゼル』公演でジゼルを踊る、ダリア・クリメントヴァ=インタビュー

踊ることに人生を捧げ、結婚しても子供を持たない女性が多いバレエ界にあって「バレリーナとしてのキャリア」「素晴しいダンス・パートナー」と共に「幸せな家庭(母・夫・娘)」にも恵まれ、その上さらに「写真家としてのキャリア」や、毎年故郷プラハで開催するバレエ・マスタークラスの主催者として「成功したビジネス・ウーマン」の側面も持つクリメントヴァ。女性に幸せを運ぶすべての要素を持った彼女を羨望のまなざしで見つめるバレリーナ多い。新国立劇場バレエの『ジゼル』に全幕客演するクリメントヴァをロンドンでインタビュー。本人撮影の写真も含め、読者の皆さんにご紹介する。

ダリア・クリメントヴァ Daria Klimentova
1971年6月23日 チェコスロヴァキアのプラハ生まれ 身長162cm
プラハ国立コンサヴァトリー卒業
チェコ国立バレエ、ケープ・バレエ(南アフリカ共和国)、スコティッシュ・バレエを経て1996年、イングリッシュ・ナショナル・バレエ(ENB)に入団した。
1989年ローザンヌ・コンクール(東京開催) スカラシップ賞受賞。2011年英国批評家賞古典部門・最優秀バレリーナ賞受賞。


----2月に新国立劇場バレエと『ジゼル』を踊られますが、この作品を初めて踊ったのは何歳の時でしたか、また指導者についても教えてください。
クリメントヴァ 25歳の時でした。それ以来、たくさんのパートナーとこの作品を踊り、様々なバレリーナやバレエ・ミストレスにこの役について指導していただきました。私に最も影響を与えた指導者といえば、ベリル・グレイ(英国ロイヤル・バレエ初期のバレリーナ。長身でド・ヴァロワ振付『チェックメイト』の主役ブラック・クィーンを世界初演)です。

(C) Ivan Dinev

(C) Ivan Dinev

----『ジゼル』を踊る上で大切なことは何でしょうか。
クリメントヴァ まず古典バレエのスタイルを遵守することが大切。また1幕ではドラマティックな表現力や演技力、2幕は人間ではなく精霊になっているわけですから、それぞれの跳躍を体重を感じさせないように見せる技量が必要になります。

----バレエを始めたきっかけはどんなことでしたか。また尊敬するバレリーナはいますか。
クリメントヴァ 偉大なロシアのバレリーナたちとロシア・バレエのスタイルに触発されてバレエを始めました。母校ではワガノワ・スタイルを学び、今もワガノワ・メソッドを愛しています。

(C) Pedro Lapetra

(C) Pedro Lapetra

----ロンドンでの生活について教えてください。今どんなエリアに住んでいますか。
クリメントヴァ ロンドン西部のチズイックという街に住んでいます。イギリス人の夫とビクトリア朝時代に建てられた家(3寝室・居間・キッチン・バス・トイレ)を購入し、チェコから呼び寄せた実母と夫、一人娘のサビーナと4人で暮らしています。チズイックはバレエ団の本拠地からも遠くないですし、アーティストがたくさん住むエリアなので居心地がいいですね。生まれ故郷のチェコのプラハにも4寝室の家があります。

----娘さんはバレエを習っていますか。
クリメントヴァ 習わせていません。サビーナには自分の好きなことに情熱を傾け、楽しい子供時代を送ってほしいと思っています。

----典型的な1日のスケジュールを教えてください。
クリメントヴァ 7時起床。娘を学校に連れて行く日は7時、連れて行かない日は8時30分。10時30分 団員クラス。13時からリハーサル。18時30分から、舞台がない日は18時30分にリハーサル終え帰宅。
海外のバレエ団に客演する前は、18時30分以降に開いているスタジオでリハーサルすることもある。帰宅後は夕食を食べ、娘と過ごすか、パソコンに向かって仕事。

----イギリス国内をツアーするツアー・カンパニーであるENBのプリンシパルとして、また他にも写真家、バレエ・セミナー主催者としてもお仕事されていますが、数々の仕事と家庭を両立させる秘訣は何ですか。
クリメントヴァ 実際忙しく、休暇を取る時間もないような毎日です。仕事と家庭の両立については、夫や同居する実母の理解と協力があるからこそ可能なことですから2人にとても感謝しています。

----ご主人はイギリス人ですが、日曜日は典型的なイギリス料理のサンデー・ローストなどを料理され、食べていらっしゃるのですか。
クリメントヴァ 日曜だからといって特別な料理を作ったり食べたりはしないですね。いつもと同じ軽めの食事を心がけています。

----健康や体型のため、何か特別なことをしていらっしゃいますか。
クリメントヴァ ヨガをしています。疲れはマッサージを受けたり、たくさん眠ることで解消しています。

----ロンドンでお気に入りの場所はどこですか。
クリメントヴァ ケンジントン・ガーデンズ(バレエ団本拠地の向かい。ハイドパークの西にある英ロイヤル・ファミリー所有の公園。かつてダイアナ妃がお住まいだったケンジントン宮殿が建つ)とウェストフィールド・ショッピング・センター。(数年前ロンドン西部にできた巨大ショッピング・センター)。チズイックではZIZIというレストランがお気に入り。オリーブがすごく美味しいの。

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(C) Pedro Lapetra

----日本滞在中は何をしてみたいですか。
クリメントヴァ できる限り観光がしたいけれど、あまり時間が取れないのではないかしら。

----毎年夏に故郷のプラハで主催されているインターナショナル・バレエ・マスター・クラスについて教えてください。
クリメントヴァ 参加者たちが世界の有名ダンサーから直接指導を受けられるサマー・スクールです。今年は7月22日〜8月3日まで開催。イーゴリ・コールプ、ダーシー・バッセル、ベルリン国立バレエのベアトリス・クノップ、ヴァディム・ムンタギロフ他が指導にあたります。毎年、世界各地から生徒が集まり、日本人生徒も参加してくれているんですよ。

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マスタークラス (C) Vadim Muntagirov

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マスタークラス広告 (C) Patrick Bromilow Downing

自分の性格について-----情感豊かで正直、野心的
好きな色----基本的にはナチュラル・カラーが好き.。時には原色から元気をもらうこともある。
好きな花----ガーベラ、大輪の真紅の薔薇
好きな香水----シャネル ココ・マドモアゼル
好きな音楽----リラックスできる音楽なら何でも
最近観た映画でお気に入りは----『アンナ・カレーニナ』。22歳の時、バレエ版『アンナ・カレーニナ』の主役アンナを踊ったの。でも、その時は若すぎてアンナと彼女の人生を充分理解できていなかったと思う。最近この映画を観て感動し、今バレエ版の主役を踊ることが出来たら、アンナという女性とその人生を存分に表現できるし、踊ることを楽しめるのに、と感じたわ。
世界の都市でお気に入りは----南アフリカ共和国のケープタウン
世界の料理でお気に入りは----チェコ料理、イタリア料理、ロシア料理、日本料理ではお寿司が好き。
紅茶派ですか、コーヒー党ですか----お茶党で緑茶が好き。コーヒーは殆ど飲みません。
将来の夢----プロのダンサーを目指す子供たちや若い世代の指導をしてみたいバレエ団の芸術監督になる興味があります。
好きな言葉・モット----人生を謳歌しよう! 人間の一生は短いのだから。Life is too short. Enjoy!

ケープタウン (C) Daria Klimentova

ケープタウン (C) Daria Klimentova

ケープタウン (C) Daria Klimentova

ケープタウン (C) Daria Klimentova

プラハ (C) Daria Klimentova

プラハ (C) Daria Klimentova

(C) Pedro Lapetra

(C) Pedro Lapetra

(C) Amber Hunt

(C) Amber Hunt

インタビュー&コラム/インタビュー

[インタビュー]
アンジェラ加瀬

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