最新インタビュー:オニール 八菜(パリ・オペラ座バレエ団プルミエール) 今シーズンは、ボリショイ歌劇場とマリインスキー歌劇場でも踊ります

S オニールさんのジェローム・ロビンズ振付『ゴールドベルク変奏曲』のジェルマン・ルーベとの第1カップル(2月15日)とマチュー・ガニオとの第2カップル(2月20日)を見ましたが、ロビンズを踊るのは初めてでしたか。

オニール はい、そうです。コーチはアメリカから来た人たちと、オペラ座側ではセバスチャン・マルコヴィチでした。テクニックの面ではむずかしいところはないので、緊張しないで踊り始めることができ、楽しめました。ロビンズは動きがなめらかで、すごくナチュラルな感じです。音楽ともぴったりと合っていて、踊っていて気持ちがいいんです。

S 二人のパートナーはいかがでしたか。

オニール もちろんマチューはすごいキャリアがあり、いっしょに踊るのは初めてでしたが、やはり経験豊かなダンサーだなと感じました。パートナリングもうまいし、優しい人です。踊りもきっちりしていて、意見もはっきりしているので踊りやすいです。
ジェルマンとは仲のよい友だちなので、いっしょに踊れるだけでも楽しかったです。これまで踊る機会はあまりなかったのです。ジェルマンはキャリアもあまり長くはないので、最初はむずかしいところもありましたが、セバスチャン・マルコヴィチにアドヴァイスをもらうことで、本当に上達できたと思います。とても勉強になりました。今回の「ベル、ミルピエ、ロビンズ」シリーズは、前半は何もなかったので、オペラ座に11時ころまでいて、ただ戻ってくるだけでした。でも後半にはジェルマンと三回、マチューとは四回踊り、結局、毎日踊ることになりました。そのため終演時間が遅かったので、少し大変でした。

photo/Hiroshi Sanko

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またロビンズ作品は、ぜひ踊ってみたいです。今シーズンは『アザー・ダンシズ』がオペラ座のプログラムにありますが、代役なので多分踊れないと思います。今ちょうど元エトワールのイザベル・ゲランが『アザー・ダンシズ』のコーチとして来ていて、今週ずっとコーチしてもらっています。

S 踊られるとすれば、3月後半から4月上旬ですね。

オニール イザベル・ゲランからは「あなたは代役だから、舞台で踊れるわけではない」と厳しく言われました。ですから、どうなるかはわかりません。
今、出演が決まっているのは、ジャスティン・ペックの『In Creases』で、今週から練習が始まっています。ペックのスタイルはバンジャマン・ミルピエにとてもよく似ています。ダブルキャストです。7月のフォーサイス作品には出るかもしれませんが、まだわかりません。

S アロップ賞の受賞おめでとうございます。

photo/Hiroshi Sanko

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オニール ありがとうございます。3月13日にガルニエ宮で授賞式があります。男性はユゴー・マルシャンです。彼といっしょにブノワ・ド・ラ・ダンスにノミネートされたので、ボリショイ歌劇場でガラ公演があるので5月17日に踊ってきます。ユゴーは『ラ・バヤデール』で、私は『パキータ』でノミネートされました。でも『パキータ』の中ではコール・ド・バレエなしで踊れるパ・ド・ドゥはあまりないので、多分、違う作品をユゴーと踊ることになると思います。ボリショイ歌劇場で踊るのは初めてなのでとても楽しみです。4月7日にはマリインスキー歌劇場でキミン・キムを相手に『ラ・バヤデール』を踊ります。

その練習もそろそろ始めないと。今年はボリショイ歌劇場とマリインスキー歌劇場とロシアの二大舞台で踊れるので、すごいことだな、と思っています。4月28・29日にはニューヨークでYAGPのガラ公演にユゴーと呼ばれていて、『エスメラルダ』を踊ることが決まっていて、あともう一つパ・ド・ドゥを踊るかもしれません。

S 日本ツアーは来年3月で、『ダフニスとクロエ』『ラ・シルフィード』『テーマとヴァリエーション』が予定されています。どの作品を踊ることになりそうですか。


オニール 多分『ラ・シルフィード』で出番が回ってくると思います。『テーマとヴァリエーション』は、ガルニエ公演では怪我をしていて踊れませんでしたが、今度は踊りたいですね。日本でパリ・オペラ座のダンサーとして踊れるのは、とても楽しみです。家族のためにも日本でパリ・オペラ座引越公演で主役が踊れたら、たいへん嬉しいです。

S パートナーとして踊りやすいのは。やはりベテランのカール・パレットやマチュー・ガニオでしょうか。

オニール そうですけど、ジェルマンのようにずっと同じ時期に入って踊ってきた人もいいですね。ユゴーも背が大きいし、パートナリングがいいです。経験のある人はアクティングが違いますけれど。

S 今年になって変わったことがありますか。


オニール コール・ド・バレエを踊らなくなって、自分のための時間がたくさんできたのが大きな変化です。
一昨日、マチアスが身体の具合が悪くて来られないというのでイザベル・ゲランとの個人レッスンになりました。足の使い方について指摘されて、それだけで全部が変わるように感じました。これからはそういうところももっと注意深く気をつけながら、こつこつと地道に練習していこうと思っています。ゲランはアニエス・ルテステュ、オーレリー・デュポンとともに私の憧れのダンサーなので、そういう人から指導されると「ああ、そうか」と、本当に納得できることが分りました。

S 本日はお忙しいところ、いろいろとお話ししていただきまして、ありがとうございました。

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[インタビュー]
三光 洋

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