2026年の夏も、国内外のさまざまな場所で、踊りを通して多くの方々と出会い、一緒に時間を過ごすことができました。

2026年の夏も、国内外のさまざまな場所で、踊りを通して多くの方々と出会い、一緒に時間を過ごすことができました。
アイルランドで、数万人のダンサー達と過ごしたダンスワールドカップ。
淡路島の海を舞台にしたステージから、平和への祈りを込めた公演、次世代のダンサーたちとの交流、そして東京で迎えた『鶴の恩返し』まで。それぞれ異なる場所での活動でしたが、振り返ってみると、私の中では一つの想いでつながっていたように感じます。

バレエを通して何を届けられるのか...
国や言葉、文化の違いを越えて...
日々の活動の中で、私自身も考え、学びながら歩んできた夏でした。

ダブリンから、アジアへ――世界のダンサーたちとの出会い

7月には、アイルランドのダブリンで開催された「Dance World Cup 2026 Final」に、国際審査員の一人として参加させていただきました。

世界60か国以上から、3,000を超えるダンススクール、約11,500人程のダンサーが集ったと聞いています。熱気に溢れたワールドカップは、お祭り、フェスティバルのような雰囲気でした。
40名ほどの国際審査員が、日々交代で審査しながら様々なワークショップも開催されました。
連日バレエや、ジャズ、コンテンポラリー、アクロバティックなど、20人以上の団体、ソロ、デュエット、3人からのアンサンブルなど、本当に様々なカテゴリーの素晴らしいパフォーマンスを見ることができました。
世界中から集まった若いダンサーたちが、それぞれの国や地域で積み重ねてきたパフォーマンス、そして踊る喜びを舞台で披露する姿は、とても印象深いものでした。

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特に素晴らしいエネルギーだったのは、ダブリンの3Arena(アリーナ)で行われた開会式です。参加したさまざまな国の旗が集まり、それぞれの文化や背景を持つダンサーたちが、一つの舞台を目指してここに集まっている。その光景を目の前にし、ダンスが国や言葉の違いを越えて人々を結びつける力を、改めて感じました。
審査員の一人として『Dance World Cup final2026』に参加させていただいたことで、世界のダンス教育や舞台芸術の現場に触れられたことは、私自身にとっても多くの学びがある時間となりました。
また、台湾などで開催された『Dance World Cup』のアジア予選にも審査員として参加し、審査のほか、ワークショップなどで指導させていただく機会もいただきました。ワークショップを通して若いダンサーたちと直接向き合う機会をいただき実際に同じ空間で様々なことを伝えることができたのは、舞台上の審査とはまた異なる発見があります。一人ひとりの個性や可能性に触れ、これからの成長を考えながら言葉を交わすことは、私自身にとっても大切な経験でした。

若いダンサーたちが国境を越えて新しい環境に触れ、自分の可能性を広げていく。そのきっかけを少しでも増やしていけたらと思っています。
世界各地でダンスに向き合う人々と出会うたびに、育ってきた環境や学んできた道は違っても、踊りを通して表現したいという気持ちには、それぞれの個性とともに、共通点もあることを感じます。こうした国際的な交流で得た経験を、これからの舞台づくりや若い世代との関わりにも生かしていきたいと思います。

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海とともに創る舞台『NATUREVERSE ~心が踊る海~』

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8月1日から29日まで、淡路島のPASONA HARBOR STAGEで8回上演された『NATUREVERSE ~心が踊る海~』では、演出・構成・振付を担当し、私自身も少し出演させていただきました。
舞台にリノリウムを設置するところからスタッフの方々と相談し、ステージを実現するまで毎日様々な方々と打ち合わせし、ご尽力いただき、舞台を実現することができました。
海や空、風、光、そして波。自然の中にある美しさや力強さを、舞台芸術を通してどのように表現できるのか。作品を創る過程では、音楽や身体の動きだけでなく、舞台を取り巻く環境や、その場でしか感じられない空気も大切にしてきました。
自然は、私たちが思いどおりに動かせるものではありません。だからこそ、その日々の自然の背景を演出に取り入れ、一つの舞台を創り上げていくことには、特別な面白さがあります。
大自然の中で踊る空間は、私にとっても改めて、その場限りのインスピレーションを感じながら、毎回毎回が新鮮で、その場限りのステージになりました。

舞台芸術は、劇場の中だけで行われるわけではなく、大自然の中や、私は時折、日本の文化の背景の中でも演出させていただいております。その場所にある自然や文化、人々の想いと出会うことで、作品の表情も変わっていきます。淡路島という土地だからこそ生まれる感覚を大切にしながら、観てくださる方々の心にも、それぞれの景色が広がっていたら.....嬉しく思います。

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踊りに込める平和への祈り『SOULS FOR PEACE』

8月22日、23日には、アソンブレホールで『SOULS FOR PEACE vol.5』を開催しました。平和への祈りを込めて続けてきたこの公演も、今回で5周年を迎えました。
私にとって、踊ることは、言葉では伝えきれない想いを誰かに届けることでもあります。世界では今もさまざまな困難が続いていますが、そのような時だからこそ、芸術を通して人の心に希望や温かさを届けることができればと願いながら様々考えています。

今回も、ウラジーミル・マラーホフさんをお迎えすることが叶いました。
マラーホフさんと共演させていただいた、宝満直也さん振付の新作『小さな灯』のクリエーションは、お二人がすごすぎてスタジオでのリハーサルの1秒、1秒がインスピレーションからプロフェッショナルな舞台に変わっていく...、そんな感覚でした。
マラーホフさんのオーラと表現力に圧倒され、その瞬間、瞬間に立ち会えたことは、本当にかけがえのない経験でした。

そして、マラーホフさんとの『白鳥の湖』グランアダージオは、踊ると言うより、ストーリーの1部分を生きる、と言う感覚でした。本当にたくさん学ばせていただきました。
和太鼓とバレエのコラボでは、今回子供たちの出演部分も設け、24名の子供たちとウクライナと日本のダンサー達、総勢でダイナミックな和太鼓の生演奏とともにお届けしました。
ウクライナ、民族舞踊ゴパックでは、みんなの魂のこもったパッションのこもったエネルギーをお客様にお届けすることができたかなぁと思っております。

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さらに、私自身が演出・振付を手がけ、想いを込めて創り上げた『DESTINY(運命)』。
この作品には、葛藤や苦悩から、希望に向かって進んでいく姿、そして最後は、新たな地球の中でそれぞれが進んでいく姿などを表現しました。
それぞれが個性あふれる作品でした。
そして本番中には、マラーホフさんとのトークタイムや抽選会など、舞台以外にも皆さんと楽しい時間を共有することができ、和気あいあいとした雰囲気でパフォーマンスが終了。その後、さらに今回マラーホフさんとのお茶会の機会を設けることができました。『ザ・パソナ』と言うホールに隣接するゴージャスな夢のような空間で、スペシャルな時間を過ごすことができました。
それぞれの出演者が想いを込めた作品をお届けしました。
また、これまで淡路島で活動を続けてきたPASONA Awaji World Balletにとっても、この公演は大切な時間となりました。2022年、ウクライナから避難してきた2人のバレエダンサーを受け入れたことから始まった活動は、あらゆる可能性を模索しながら、今も続けさせていただくことができ、本当に感謝です。
慣れない土地で新たな生活を築きながら、ダンサーとして踊り続けることは、決して簡単なことではありません。それでも、舞台に立ち、観客の皆さまと出会い、バレエを届け続けることができるのは、支えてくださる方々や、一緒に歩んでくれる仲間がいるからです。バレエを続けられる場所をつくること、そしてその舞台を通して多くの方に出会うこと。その一つひとつを、これからも大切にしていきたいと思います。

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次の世代へつなぐ『STEP FOR YOUR FUTURE』

ダンサーとして踊ること、作品を創ることと同じように、次の世代を担う若い人たちと向き合う時間も、私にとって大切な活動の一つです。
『STEP FOR YOUR FUTURE』(8月23日から25日開催)では、これからの可能性を持つ若いダンサーたちが、新しい一歩を踏み出すための機会を大切にしています。技術を磨くことはもちろん必要ですが、それと同時に、自分のまた違う可能性を発見したり、同じ年代のダンサーたちと切磋琢磨しながら成長していただきたい、様々な思いがあります。

私自身、海外で学び、さまざまな国や文化の中で踊り学んできた経験から、若いダンサーたちには、一つの価値観だけにとらわれず、たくさんの人や作品に出会ってほしいと思っています。
視野が広がり、自分では気づいていなかった可能性に気づくこともあります。誰かと比べるだけではなく、自分にしかできない表現を見つけることができるかもしれません。
今回もは、ウラジーミル マラーホフさんを審査委員長にお迎えし、彼から直節教えていただく機会も設けました。そして、教師コースも開催し、マラーホフさんの特別メソードを先生方にお伝えしていただくワークショップや、我がノアメソードを質疑応答をの時間も設けたワークショップなども開催しました。
2027年8月は、またマラーホフさんをお迎えして開催できる予定です。たくさんの学びをお届けしたいと思っております。

東京で迎えた『鶴の恩返し With Love』

9月23日、東京で、バレエ『鶴の恩返し With Love ~バレエ「鶴の恩返し」と和の鼓動~』を上演しました。
『鶴の恩返し』は、私が長い間、想い続けて、ラトビア国立歌劇場や、関西万博でも上演してきた作品です。
今回は東京でお届けする機会をいただきました。このパフォーマンスには、本当に心を込めて、長期間かけて準備を続けてきました。実は、パフォーマンスの1週間ほど前に足を負傷してしまい、1日に2回公演、踊れるかどうか直前まで葛藤がありました。自分自身がお届けしたいものを、しっかりお客様にお届けできるかどうか......ですが、思う通りに足が動けなかった時間は逆にじっくりと作品に真正面から向き合う時間をいただき、そして、本当にたくさんの方々のサポートと助けをいただき、無事に幕を閉じることができました。感謝の言葉が見つかりません。
公演の第2部では和太鼓とのコラボレーションも演出などもさせていただきました。バレエと、和の表現でバレエを又違った形でお伝えできたのではないかと思います。『ドン・キホーテ』の夢の場から抜粋と、私自身は瀕死の白鳥も踊らせていただきました。

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公演を迎えるまでには、様々なことを準備し、リハーサルし、打ち合わせし、一つ一つ形にしていきますが、舞台は決して一人では創れません。出演者、スタッフ、制作に携わってくださった方々、そして公演を支えてくださった皆さまのお力があってこそ、舞台をお届けすることができます...劇場に入ってからも、スタッフの皆さんがより良い舞台にするために、すべての知恵を出し合ってお力添えくださったこと感謝しきれません。
舞台に関わる一人ひとりが、それぞれの立場で同じ方向を向いて力を尽くす、、、その積み重ねが、一つの舞台の一体感と、その時限りの瞬間を生み出し、観客にお届けできるのだなぁと心から感じました。
感謝を忘れず、その想いを踊りに込めて届けていくこと『With Love』という言葉には、そんな願いも込めています。
長く踊り続けてきた今も、新しい場所や人との出会いから学ぶことは尽きません。
本当に、多くの方々に支えていただいていることを改めて感じます。

これからも、一つひとつの出会いや機会を大切にしながら、踊りを通して、誰かの心に希望や勇気を届けられるよう、自分にできることを精一杯続けていきたいと思います。
さまざまな場所でご一緒させていただいた皆さま、そして活動を支えてくださった皆さまに、心より感謝申し上げます。

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インタビュー & コラム

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針山 愛美 Emi Hariyama

13 歳でワガノワ・バレエ学校に短期留学、16歳でボリショイ・バレエ学校に3年間留学した後、モスクワ音楽劇場バレエ(ロシア)、エッセン・バレエ(ドイ ツ)、インターナショナルバレエ、サンノゼバレエ、ボストン・バレエ団(アメリカ)、と世界各地のバレエ団に入団し海外で活躍を続ける。
2004年8月からはベルリン国立バレエ団の一員に。

1996年:全日本バレエコンクールシニアの部第2位、パリ国際コンクール銀メダル(金メダル無し)
1997年:モスクワ国際バレエコンクール特別賞
2002年:毎日放送「情熱大陸」出演 、[エスティ ローダー ディファイニング ビューティ アワード]受賞
◆Emi Hariyama Official Page

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『世界を踊るトゥシューズ〜私とバレエ』

針山愛美/著 Emi Hariyama
体裁:四六版並製、240頁ISBN978-4-8460-1734-7 C0073(舞踊)

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