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2025年を振り返って、そして2026年へ

― ヨーロッパと日本からのレポート ―

2025年は大変お世話になりました。2026年もどうぞよろしくお願いいたします。
今回はヨーロッパから、そして日本からのレポートをお届けします。
2004年から10年間踊っていたベルリン国立バレエ団、いつもお世話になっているベルリン国立バレエ学校、International Ballet Academy Berlin などを訪れました。

ベルリン国立バレエ『白鳥の湖』

ベルリン国立バレエの『白鳥の湖』は、パトリス・バルト版を上演しています。
2004年、私が入団した当時もバルト版でした。演出、振付は今も変わらず、久しぶりに客席から作品を観て、新鮮でありながら懐かしさも感じました。今回は2つの異なるキャストを観ることができました。

ベルリン国立バレエ団には10年間ダンサーとして在籍していたため、「マラーホフ元芸術監督の指導はこうだったな」「ビシニョーワが白鳥のデビューを果たしたのもベルリンだったな」など、さまざまな思い出がよみがえり、とても懐かしい気持ちになりました。
ダンサーたちは本当に素晴らしく、白鳥たちの群舞も非常によく揃っており、舞台全体を美しい額縁のように飾っていました。
オデット/オディールを踊ったヤナ・サレンコは、私が在籍していた当時から何度も白鳥を踊っていましたが、熟年の演技力と、一つ一つの羽ばたきから声が聞こえてくるような踊りでした。
ジークフリート王子を踊ったカッレ・ウィグは、今回初めて拝見しましたが、金髪で見るからにノーブルな王子にぴったりの容姿と、しなやかでエレガントな踊りが印象に残りました。

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キャスト(1組目)
オデット/オディール:ヤナ・サレンコ
ジークフリート王子:カッレ・ウィグ
王子の母・女王:ラファエラ・ケイロス
ロートバルト:アンドレア・マリノ
ベンノ:ムリーロ・デ・オリベイラ
パ・ド・トロワ:ミシェル・ウィレムス、松本由香、ムリーロ・デ・オリベイラ
式典長:ロス・マーティンソン
演奏:ベルリン国立歌劇場管弦楽団

もう一つのキャストでの『白鳥の湖』
今回はこちらのキャストでも拝見することができました。

キャスト(2組目)
オデット/オディール:佐々晴香
ジークフリート王子:デヴィッド・ソアレス
王子の母・女王:ユリア・ゴリツィナ
ロートバルト:アレクセイ・オルレンコ

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主演のオデット/オディールを踊った佐々晴香さんは、ステップの一つ一つから音楽が聞こえてくるようで、本当に湖の上を舞っているかのような、しなやかで無駄のない踊りに一気に引き込まれました。すべての振付がいとも簡単に見える、余裕と安定感のある踊りでした。
ジークフリート王子のデヴィッド・ソアレスとのパートナーシップも素晴らしかったです。デヴィッド・ソアレスはブラジル出身で、ボリショイ劇場で活躍されていたそうです。クラシックバレエの教則本のように正確なテクニックと、ダイナミックさを併せ持った素晴らしいダンサーでした。
ロートバルトを演じたアレクセイ・オルレンコは、私が踊っていた当時はコール・ド・バレエとして踊っていましたが、現在はプリンシパルとして素晴らしい踊りを見せてくれました。当時から残っている数少ないダンサーの一人で、舞台で観ることができてとても嬉しかったです。

両日のパフォーマンスともに、主役はもちろん、それを支えるソリストやコール・ド・バレエ一人ひとりの個性も際立ち、非常に見応えのある舞台でした。本当に素晴らしかったです。

子どもたちのためのベルリン短期留学

今回ベルリンを訪れたもう一つの目的は、才能溢れる子どもたちに、ベルリンでの短期留学を通してできる限り多くの経験をさせてあげたいという想いからでした。
私がベルリンで10年間一緒に踊っていたダービッド・シミチが、引退後に設立した「Kinder Ballett」は、ベルリンにある子ども向けのバレエスクールで、バレエの基本技術だけでなく、身体を使った表現力やリズム感を楽しく学ばせることを目的としたスクール兼ジュニアカンパニーです。
年齢やレベルに合わせた多様なクラスがあり、子どもたち一人ひとりが自分のペースで成長できるレッスンを提供しており、ベルリン国立バレエ団も活動しているドイツ・オペラでレッスンを行っています。
ダービッドとのご縁のおかげで、今回ワークショップを開催することができました。日本の子どもたちとドイツの子どもたちが楽しそうに交流し、レッスン後も名残惜しそうに一緒に踊っている姿に感動しました。
バレエの魅力を伝えることができ、素晴らしいコラボレーションとなりました。

ベルリン国立バレエ学校での貴重な体験

さらに、ベルリン国立バレエ学校でも、現地の子どもたちと一緒にクラスを受ける機会を設けることができました。この体験は、普段なかなか得られない大きな刺激になったと思います。
ワークショップの一環として、ベルリン国立バレエ学校のリハーサルも見学しました。ちょうどラトビアツアーの準備期間で、ピノキオや『海賊』のゲネプロを拝見することができました。
真剣に作品に取り組むダンサーたちの姿は、日本から短期留学した子どもたちにとって、日常のレッスンでは味わえない貴重な経験だったと思います。

ベルリン・バレエ・カンパニー
バレエ×テクノ「A Techno Ballet Odyssey」

ベルリン・バレエ・カンパニーによる、バレエ×テクノのパフォーマンス「A Techno Ballet Odyssey」を鑑賞しました。
このカンパニーは、私が入団した当時に一緒に入団し10年間活動したアーシャック・ギャルミャンと、私が数年後にジョイントしたサーシャ・シュパックが設立したものです。メンバーの多くは、マラーホフ氏が芸術監督を務めていた時代に共に踊っていたダンサーたちで、彼女たちの踊りを観ることができ、とても嬉しかったです。

元空港だった場所で行われたこの公演は、開演時間になると観客はバーでドリンクを楽しみ、実際のバレエパフォーマンスは1時間以上後に始まるという、まさにベルリンらしい演出でした。
クラブのような夜の空間でバレエが展開し、観客もその中に入り込む没入型のパフォーマンスで、「自分自身を見失い、夜の中で再び自分を探す」というコンセプトのもと、クラシックバレエとテクノサウンドが融合した新しい試みでした。

こちらのカンパニーには、近年振付などでお世話になっている宝満直也さんをお繋ぎし、現地で約1年活動されていました。最後にご挨拶することができ、一緒に活動してきた団員の皆さんと、こうしてつながり続けられていることに、改めてご縁を感じました。

振付:Alexander Abdukarimov、Arshak Ghalumyan
音楽:Marko Nastic、Antonio Vivaldi

15年の信頼と絆、そして2025年という一年

この15年の間に培った信頼と絆があってこそ実現したコラボレーションであり、子どもたちにとっても一生の思い出となる貴重な経験になったことを、とても嬉しく思っています。
さて、2025年は私にとって本当に忘れがたい一年となりました。
一期一会の出会いの中で出会えた方々、支えてくださった皆さま、そして一つ一つの出来事や瞬間すべてに、感謝の気持ちでいっぱいです。
2025年は、4月13日から10月13日まで関西万博が開催されました。その開幕日である4月13日のオープニング・シグネチャーイベントでは、日本古来の民話『鶴の恩返し』をテーマにしたオリジナル・バレエ作品を、EXPO2025「大阪・関西万博」版として新演出し、上演させていただきました。
また、万博閉幕直前の9月26日には、「命のありがたさ」への想いを込めて『第九』を演出し、ナショナル・レイハウスで上演させていただきました。
イタリアパビリオンでの数回のパフォーマンスや、浄瑠璃人形とのコラボレーションによる万博屋外でのパフォーマンスも行わせていただきました。
2000人収容のシャインハットでは、500名の参加者の皆さま、平原綾香さんたちと同じステージに立たせていただきました。ウクライナから避難してきて一緒に活動しているダンサーたち総出演で、古事記を題材にした作品を上演し、私はアマテラスを踊らせていただくという経験もさせていただきました。

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世界遺産である清水寺、国宝瑞龍寺をはじめ、日本文化を背景にした場所でオリジナルバレエを踊らせていただく機会もいただきました。淡路市20周年市政記念式典など、さまざまな場所で平和への願いを込めたパフォーマンスの機会にも恵まれ、感謝しきれません。
また、第63回日本癌治療学会学術集会、早稲田大学、明治大学、学習院大学、ロータリークラブなどでもレクチャーの機会をいただき、芸術や文化、これまでの経験についてお話ししながら、最後は必ず「踊り」で想いを伝える活動を続けてきました。
小学校などでもレクチャーやパフォーマンスを行い、少しでも子どもたちに夢を届けられていたら嬉しく思います。
国内外のコンクールで審査員を務めたり、ワークショップを行ったりする中でも、ただ審査をするだけではなく、子どもたちや参加してくださったすべての方に、何か一つでも伝えたいという想いで歩んできました。
想いに共感してくださる音楽家の皆さまと共にパフォーマンスできたことにも、心から感謝しています。

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2026年に向けて

2026年は、また新たな気持ちで、できるだけ多くの方に勇気や希望を届けられる活動を続けていきたいと思っています。そして、若い世代や子どもたちにも、たくさんの「経験」を届けていけたら嬉しいです。

本年は、3月15日に伊豆でのパフォーマンスを予定しています。その他、海外での活動の機会もありますので、また改めてお伝えしていきたいと思います。
精一杯、自分にできることを続けていきたいと思います。2026年もどうぞよろしくお願いいたします。

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インタビュー & コラム

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針山 愛美 Emi Hariyama

13 歳でワガノワ・バレエ学校に短期留学、16歳でボリショイ・バレエ学校に3年間留学した後、モスクワ音楽劇場バレエ(ロシア)、エッセン・バレエ(ドイ ツ)、インターナショナルバレエ、サンノゼバレエ、ボストン・バレエ団(アメリカ)、と世界各地のバレエ団に入団し海外で活躍を続ける。
2004年8月からはベルリン国立バレエ団の一員に。

1996年:全日本バレエコンクールシニアの部第2位、パリ国際コンクール銀メダル(金メダル無し)
1997年:モスクワ国際バレエコンクール特別賞
2002年:毎日放送「情熱大陸」出演 、[エスティ ローダー ディファイニング ビューティ アワード]受賞
Emi Hariyama Official Page

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『世界を踊るトゥシューズ〜私とバレエ』

針山愛美/著 Emi Hariyama
体裁:四六版並製、240頁ISBN978-4-8460-1734-7 C0073(舞踊)

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