ベルリンの様子を日本からお届けします
- インタビュー & コラム
- コラム 針山愛美
掲載
7月1日から7月2日
南ドイツのレーゲンスブルグで野外公演がありました。
Thurn-und-Taxis-Kleinkunst-Festival
Open air Villapark-Festival
というフェスティバルに参加したのですが、バレエの他にオペラやクラッシクのコンサート、ジャズなど10日位にわたって行われました。
これが、2006-7シーズンのベルリン国立バレエ団の最後の公演です。
6月30日、朝11時に国立歌劇場に集合し、何とバスでレーゲンスブルグまで行くのです。
6月30日、朝11時に国立歌劇場に集合し、何とバスでレーゲンスブルグまで行くのです。
バス2台にスタッフ、ダンサーほぼ全員が乗り、まるで遠足のようでした。
レーゲンスブルグは南ドイツ、ミュンヘンから1時間位の所にあるドナウ川沿いの小さな街です。
バスには休憩を入れて約7時間も乗ったのですが、話したりしているうちにあっという間に到着しました。
ポリーナがチョコレートを配りに来たり、ランチ休憩ではみんなでコーヒーを飲んだり、まさに小旅行気分でした。
街についてからはオペレッタを見に行きました。
ダンサーとスタッフ数名で見に行きましたが、7月だと言うのに寒くて、やはり野外劇場というのは天候に左右されるから大変だなあ、、、と実感。
明日ここで踊るのに大丈夫だろうか、、、と思いながら見ていました。
7月1日
リハーサルは夕方からだったので、午前中は観光しました。
ドナウ河が街の中心を流れていて、橋からの景色は絶景、プラハを小さくしたような街でした。 昼はクラスが街のスポーツ施設であり、体育館の様な所にリノリウムを張った床でレッスンしました。
そこからバスで劇場へ。
日差しが強く、昨日とはうって変わっての晴天。
場当たりがあり、すぐメークの準備にかかりました。
このフェスティバルは毎年行われていますが、宮殿の庭園に野外特設ステージを作って行われます。なので、更衣室は宮殿の中の豪華なお部屋を使わせていただきました。
美術館や博物館が大好きな私にとったら夢のような環境でのメークアップでした。
大理石や、純銀の壺、17-18世紀と思われる絵に囲まれながらウォームアップしたりと本当に豪華!
プログラムは1部
『白鳥の湖』2幕よりアダジオ
ポリーナ・セミョーノワ
ウラジーミル・マラーホフ
『ゼンツァーノの花祭り』
ヤーナ・サレンコ
マリアン・ワルター
『スターズ アンド ストライプス』
コリーン・ベルディーユ
ライナークレンシュテッター
『マノン』より寝室のパドドゥ
ポリーナ・セミョーノワ
ロナルド・サフコービッチ
『マノン』は当初、ナディア・サイダコーワが踊るはずでしたが、当日の体育館でのクラス中に足を少し痛めて、急遽、ポリーナが踊ることになりました。
彼女がリハーサルのときに、マノンの衣装を着て『白鳥の湖』の頭飾りをつけていたので、事情を知らなかった私は冗談かと思いました。でもさすがはポリーナとロナルド。
一度あわせただけで本番はばっちりでした。
『ゴパック』
ジーヌ・タマズラカウ
『ダイアナとアクティオン』
ヤーナ・サレンコ
マリアン ワルター
『白鳥の湖』は太陽が照りつける中、コール・ド・バレエ付で踊ることになりました。
薄暗くないので何か雰囲気が出なかったなあ、、と思いますが、ポリーナとマラーホフは出てきただけで拍手を浴びて貫禄の踊りでした。
その他の作品は、残念ながら宮殿の中の部屋から見ていましたが、観客の拍手がすごくて、凄い盛上がり、まるでお祭りでした。
2部は『バレエ・インペリアル』(バランシン振付)。
もう既に10時ごろだったので日も暮れて、ステージのライトアップがとても綺麗でした。
野外だったので風になびかれながら舞台にたてて、気持ち良かったです。
最後の最後で小雨が降りましたが、その他は天気もよくお客様も大喜び。
マラーホフ監督の挨拶で幕を無事に閉じました。
7月3-5日、(6月末にも3回)
ベルリン国立バレエ団の5人のダンサーが振付けた公演が行われました。
もちろん、すべてが世界初演です。場所は旧東ベルリンのクラブというたいへんおもしろい企画公演でした。
振付を担当したのはナディア・サイダコーワ、ロナルド・サフコービッチ、クセーニャ・ビルスト、ケーシー・ポペ、マルチン・ブツコの5人です。
クラブと言う空間と、建物のコンクリート、レンガ、グラスが絶妙にマッチして、それに個性の強い照明が加わり見てて飽きない新鮮なパフォーマンスでした。
5人のダンサーによる公演
建物は昔工場だったような感じ、半分廃墟のようなおもむきの建物でした。
各ダンサーが10分強の振付を披露しました。ベルリン国立バレエ団の数名のダンサーが踊りましたが、ナディアとクセーニャの2人は振付しながら本人も踊り、 5人が全く違ったタイプの作品を作り上げたので、とても興味深かったです。
フォーサイス調のものや、ストーリー性のあるミュージカル調の作品、日本のイメージの作品など・・・クラッシック・バレエと電子音楽、独特の衣装に振付、そこにクラブと言う空間がベルリンならではの魅力を引き出していました。
衣装もダンサーが担当して、思いがけないデザインのものばかりでした。
ゲネプロは『ジゼル』の公演のあと6月27日に行われましたが、夜中11時半からで大変でした。しかし、公演は全日完売の人気でしたので、マラーホフ監督をはじめダンサーは国立歌劇場から大移動して、みんなで見に行きました。
7月5日-7日
ナチョ・デュアト率いるスペイン国立ダンス・カンパニーが来独しました。
ナチョの作品は、私がかつて踊っていたボストン・バレエ団のレパートリーにも入っていたので見たことはあったのですが、デュアトのカンパニーが踊るのを見る機会は、この日が初めてでした。
作品は『バッハへのオマージュ』。
日本でも披露した作品ですが、私自身は見るの初めてでした。
音楽の使い方、ダンサーの動き、照明や装置どれも素晴らしかったです。
ベルリンの観客の反応も凄く、何度もアンコールが続きました。
その後はレセプションがあり、マラーホフ監督とナチョ・デゥアトの挨拶がありました。
7月5日
今シーズン最後のクラスがあり、マラーホフ監督自身が教えました。
心配されていた膝も大丈夫なようで、軽く見本を見せながらアンシェルマンを組んでくださいました。
みんなに素敵な夏を!!!
7月9日
コーミッシュ・オーパーでモーツアルトのオペラを見ましたが、その演出に唖然!!!
演目は"後宮からの逃走"1782-2年に初演されたモーツアルト作曲のオペラでした が、あまりにも過激な演出。
舞台はアムステルダムの裏通りという設定でした。
スキャンダルになった話題作品だったので、一度見ておこうと思ったのですが、日本ではとても上演できないような演出でした。
一度、日本でもオペラを見たいと思います。
ベルリン国立バレエ団は7月から8月中旬にかけて休暇中です。
ダンサーはいろいろな所にゲストで踊りに行ったり、バカンスを楽しんでいるようです。
私も久しぶりに日本を満喫しています。
来月はシーズンがスタートした様子、ダンサーたちの様子をお届けしたいと思います。
インタビュー & コラム
針山 愛美 Emi Hariyama
13 歳でワガノワ・バレエ学校に短期留学、16歳でボリショイ・バレエ学校に3年間留学した後、モスクワ音楽劇場バレエ(ロシア)、エッセン・バレエ(ドイ ツ)、インターナショナルバレエ、サンノゼバレエ、ボストン・バレエ団(アメリカ)、と世界各地のバレエ団に入団し海外で活躍を続ける。
2004年8月からはベルリン国立バレエ団の一員に。
1996年:全日本バレエコンクールシニアの部第2位、パリ国際コンクール銀メダル(金メダル無し)
1997年:モスクワ国際バレエコンクール特別賞
2002年:毎日放送「情熱大陸」出演 、[エスティ ローダー ディファイニング ビューティ アワード]受賞
◆Emi International Arts
◆針山愛美のバレエワールド