踊ってます!

ステイホームの期間、なぜか踊る機会が増えています。
これは、私にとって充実した楽しい時間なので、このように踊れることにとても感謝しています。

3月の半ばから始まったニューヨークでの外出禁止・自粛の生活はまだ続いています。
この「踊りある記」を描いている現在、レストランやバーの屋外の席で食事などをとるのは大丈夫になりました。ヘアーサロンなども大丈夫になりました。
でも、大学、ダンススタジオ、劇場などはまだ閉鎖されています。日本の友人たちが、スタジオでリハーサルやレストランで食事するところをアップで写されるシーンを、私は羨ましく見ています(^^
こんな時に洗面所でコンタクトを流してしまいました!
コストコは保険がなくても安く眼科検診ができるので、初めてタクシーに乗って出かけました(地下鉄はまだ怖いので)。私の家の周りの、特に若い人や白人の人はマスクをしないので、外を歩くのがストレスでしたが、家族づれの多いコストコはみんなマスクをしていたのでほっとしました。コストコのメンバーでなくても検診はできるのですが、コンタクトの購入はメンバーだけなので、メンバーカードを持っている一緒に来てくださった友人と屋外の席で、ハンバーガーとビールを頼みました。久しぶりの外食です! 普通のレストランでしたが美味しく感じました(^^♪

image1.jpg

『Requiem 鎮魂歌』

image7.jpg

踊りの話の戻りますね。
最初にオンラインで踊ったのは、中村恩恵さん振付で、友人のヤス(首藤康之さん)が振付協力した作品『Requiem 鎮魂歌』です。ちょうどニューヨークでは黒人差別の事件が取り上げられ、私も「息が苦しい」と言いながら亡くなったジョージ・フロイドさんの動画を見たときで、ショックでなかなか冷静になれず、直ぐにはこの『鎮魂歌』を踊れませんでした。
ある日、コロナウイルスで亡くなった方だけでなく、このような無実の方々の魂が安らかに、と祈りながら踊ろうと思えた日に踊らせて頂きました。
音の取り方が分からなかったのですが、数回踊っている内に(音楽に合わせるのではなく)音楽と私の心が一体になり踊ることができました。こんな気持ちになるのは久しぶりです。

IMG_6349.JPG

首藤さん

動画はこちらからどうぞ。
https://youtu.be/ObcMT2TQKjs

また、#CCJRequiem さんがコラージュを作られました。動画はこちらです。
https://youtu.be/DaoehVGppUo

素敵なダンサーの方々と一緒で光栄です。

皆さん、どうやって音とカメラをオンにして椅子に座ったのだろうと思っていたのですが、それをヤスに聞いたら「もー、真実さん天然だから! 皆さんちゃんと編集して送られてるのですよ。でも真実さんらしくナチャラルだけどね。」と言われました(^^;)

ヤスのヴィオリニストの郷古廉さんとの「鎮魂歌」素晴らしいですよ。もちろん、振付をされた中村恩恵さんのも"氣"が感じられ凄く迫力があります。何度も中村さんの祈りの踊りを観たくなります。たくさんのバレエダンサーやコンテダンサー、若い生徒さんたちも踊られているので、どうぞ見てみてください。

次に踊ったのは、ガラリと雰囲気を変え、バレエダンサーの西島数博さんとのコラボです! 西島さんからYouTubeチャンネルでコラボをしましょう、とお声をかけて頂き、何か楽しいことをしたいと思っていた時なので、いくつかお互いアイデアを伝え、その後は西島さんのリードで細部の決まるのが早いこと!
曲とテーマ「パーティー」が送られてきて、お互いこんな感じ? という短いダンスビデオを送り合いました。
最後に50年代のようなジーン・ケリーとジンジャー・ロジャースなどのペアダンスをしたい、という私の意見を取り入れてもらいお互い8カウントを作りました。それ以外は即興です! もちろん音楽を何回も聞きました!
編集の菅 孝訓さんがとても工夫をしてくださって、ヨーロッパの味も出ている楽しい作品になりました。お互い動画を送った時は「朝から笑いました!」という感じなので、見る方がHappyな気持ちになって頂ければと思います。
Happy Danceの動画です。
https://youtu.be/Hs7EJQcZupc

image3.jpg

image2.jpg

最後はサンディエゴの友人から誘われて、初めてLGBTのプライドのイベントにビデオで参加しました!
サンディエゴの子供たちと一緒に、私の生徒たちも数名一緒に踊ってもらいました!(大きい子たちです)
これもとても楽しいプロジェクトでした。生徒たちもプライドやプライドフラッグの色について調べてもらいました。
一緒に参加した、カーネギーメロン大学の教授でスーザン・ストローマンの助手でもあるTomeは、次の日に"2020 Ellen Stewart Career Achievement in Professional Theatre"!!を受賞されました!おめでとうございます!

image4.jpg

image6.jpg

動画です。
"Raison D'etre - We Live to Rise"
https://vimeo.com/439063529

image9.jpg

image8.jpg

そして、エモーショナルトレーニングをされている水井博子さんの「Emoろう!」のゲストとしてお話をさせて頂きました。参加者はバレエ講師の方がメインで、生徒さん、バレエ関係のお仕事をされている方などカナダ、フランスからも参加されていました。
皆さんからの質問が、普段受けている質問のように「オーディションで受かるには?」などといったものと違い、指導者の方や大人の方からの質問が多く面白かったです。答えられない質問には真剣に考え、質問の意味が分かりません、あるいは、答えが見つかりません、など正直に答えました。
私は、舞台で表現するのに人を感動させるのはテクニックだけでなく、根本は表現者の持っている言葉で表せない何かだと思います。それを「表現」、「オーラ」、「波動」「エネルギー」などと言いますが、目に見えないパワーか何かが表現者にあると思います。それが観客に伝わります。
私も「お客さんを泣かせよう。笑わせよう」と思って演じたり、踊ったりしたことはないのですが、「真実さんのダンスを見て、泣きました。笑いました。元気が出ました。勇気が出ました。」と言われます。何故なのか私には分かりません。率直に「そうなのですか? それは良かったです。何か感じていただいて。」という感謝の気持ちです。
しかも、イギリス人やアメリカ人にも言われるので国境、言葉も関係ないですね。

IMG_6121.jpg

一つ言えるのは、私はイマジネーションが大好きです。子供の頃から『赤毛のアン』の本を読み、想像して、木や空にも話しかけていました。また、子供の時に教わった先生方、三ノ上万由美先生、内藤千夏子先生、黒田晶子先生、朋子先生、川添恵躬子先生のおかげです。ずっと先生方の創作を踊ったり、演技や表情のことをバレエや現代舞踊と一緒に学びました。私はとてもラッキーでした。

水井さんは、ダンサーのための表現を分解して、いろいろな角度から指導されています。受講されると頭が柔らかくなると思います。メソッドがあるので、もっと楽しく、スムーズに出来ると思います。ぜひ受けることをお勧めします。

私が参加した日も、音楽を使って聴覚からのイマジネーションのエクササイズをされていました。私は後から参加したのですが、そんな内容だったとは知らずに、質問に答える時に音楽はとても大切でよく聴きますし、そこから想像することをマシューから学んだ、と答えました。これも偶然ではなく必然ですね。私と水井さんの波動が響き合っていたのでしょう。

image10.jpg

参加された方々は、元々その表現、イマジネーションが大切だと分かっていらして、ご自分でされている以外にどんなやり方があるのか吸収しようと、とてもオープンな方々でした。2時間があっという間でした!
皆さんの質問に答えているうちにもっと質問が出てきたり、私が答えて、それに水井さんが追加したりなど、なんだかお互い、一緒に空に登るためにつたを編んでいく感じでした。

私も同じ時期にニューヨークのバレエの生徒さんに演技を指導してほしい、と依頼があり、これも私の得意分野なので、今後の若いダンサーたちに伝えられるならと、いろいろと勉強し始めました。

振付家としても自分の思うように踊ってもらうには、形ではなく、やはり中から湧き上がる何かなので、それを導くことができたらと思いました。最後に参加者の皆様からの感想をここにアップします。

「今回のトークでは元気をもらいました! 真実さんが話していると、いろんな角度から想像しているのがすごく伝わってきて、聞いていて本当に楽しかったし面白かったし新しい発見がありました。」

「今日は親子でとても良い時間を過ごすことができました。日頃、バレエでは体の引き上げや使い方を頑張っていますが、舞台で踊ることは、自分自身や見てくれる人たちの<心を動かす>という、根底の部分の気付き、喜びも知って欲しいなと、改めて思いました。」

「最近コンテンポラリー作品を観ながら疑問に思っていたことを質問させていただきました。表現する側のお話を聞きすぎるのは、自分の感受性に前提を作り<感じる>ことを妨げにもなります。けれど、お話を聞いたことで腑に落ちて<引っかかり>=感じることの<つっかえ>を取り払ってくれることもあります。今日は後者でした ^-^ 」

「今日とっても印象に残った真実さんのお話、音楽の大事さ 、音楽ももっと知っていきたいと思いました。今日のワークも面白かったです。博子さんの言葉の中にも毎回素敵なヒントが満載です。ジャッジを外す、ということがどれだけ大きいか、私自身にもすごく刺さります。もうひとつ心に残った言葉<踊る>と<動く>は違う、これは踊りを描く時に肝に銘じておかなければならない、と思いました。」

「次から次へと出てくる言葉やアイデアの数々に感心しつつ、どれも難しくなく、これから気にかけていけそうなことばかりでした。親子で会話すること、会話のジャンルを増やしていきたいと思いました。音楽ももっといろいろ聴いた方がいいなぁ、と早速YouTube検索してみました(^^)」

「まみさんのお話を聞いて、私は役を少ししか理解してないかもしれない!? と感じました。もっと人物の気持ちになって考えることをして踊らなければいけないと思います。他に私はバレエで形を求めすぎることもあるので気をつけたいし、客観的に自分を見ることもしていきたいなと思います。」

「普段聞けないこと(オーディションや、マシューボーンカンパニーでのことなど)を聞くのが凄く楽しかったです。真実さんは本当に自分の好きなことを追求、突き詰めていらっしゃるなと感じましたし、自分もそうしていきたい!です。もっと広〜い世界を見たいって思いました。」

「一言で言うと、特に日本で踊っているバレエダンサーはこういう話聞いた方がいいんじゃないかと思いました(笑)。こういうトークってなかなか聞けないから、どんどんやって欲しいです!v子どもの頃にこういう色んな人の話が聞けると、視野が広がって刺激的だと思います。」

「真実さんはダンサー目線、指導者目線、振付家目線で話ができ、どのレベルの質問者さんに対しても、ネガティブなことは決して言わず、悪口も絶対言わず、ポジティブに持っていくにはどうしたらいいのか!!?? ということに一貫していました。聞いていて、とても気分が良かったです。真実さんと水井先生の、質問に対する回答が秀逸で、とても良かったです!」

「自分のいる環境、特に幼い頃の環境というのは、今になって思うと大きく影響していると思いますが、その時にはただそうだったという事実でしか記憶にないものだと思います。お話を伺っていると真実さんも少なからず、そのときはそれが普通だったという印象を受けましたが、自分が踊りに向いているかどうかより、やりたかった、それも、褒められてついた自信というより、やりたい気持ちが強く、それに環境が伴えた様な印象を持ちました。進んでいく過程での道の選択は、それでもやりたいか? それなら頑張れそうかとか、常に今とは違う現実を受け止める覚悟や責任が伴っていておられたのではないかと思います。常に自分と向き合う孤独とも、それが習慣になっておられたんだろうという気がします。」

チャコットのダンスキューブでも坂口香野さんがこの会を取り上げてくださっています。ご覧ください。
https://www.chacott-jp.com/news/worldreport/tokyo/detail017499.html

(ここには全部フィードバックを載せられませんが、皆様、どうもありがとうございました!)

インタビュー & コラム

tomotani.jpg

友谷 真実 Mami Tomotani

福岡シティ川添バレエ学苑、三ノ上万由美バレエスタジオでバレエを黒田バレエスクールにてコンテンポラリーダンスを学ぶ。
15歳で劇団四季に合格し、ミュージカルで活躍後、英国マシュー・ボーンのニュー・アドヴェンチャーズに日本人で初めて入団。『くるみ割り人形』では主役クララを演じ、『エドワード・シザーハンズ』『Highland Fling』(愛と幻想のシルフィード)『白鳥の湖』『ザ・カー・マン』『眠りの森の美女』に出演。
現在は、マシュー・ボーンのインターナショナルツアーの「前座公演」振付、指導を担当。『ドリアン・グレイ』日本公演のリハーサルアシスタントも経験した。また、振付家としてN.Yの全米No.1のミュージカル『フェーム』のモデルにもなったラガーディア芸術高校で『サウンド・オブ・ミュージック』や芝居の振付で活躍中。ピッツバーグ大学の『Zanna Don't!』振付やコンテンポラリーのコンクール作品振付では、N.YのHariyama Balletの2名のダンサー達が銀賞を受賞。
ブロードウェイミュージカルを学ぶN.Y のプログラム「ブロードウェイ・エクスペリエンス」(TBE)のアシスタント・ディレクター。N.YのHariyama Ballet、ジョフリーバレエでコンテンポラリー、シアターダンスを指導、カーネギー・メロン大学、プリンストン大学など 全米、日本でワークショップを開催している。
チャコットのウエブマガジンDance Cubeに「私の踊りある記」連載中。
その他出演作品は『王様と私 』(ロイヤルアルバートホール)、 劇団四季『キャッツ』、『ジーザス・クライスト=スーパースター』、『アスペクツ・オブ・ラブ』、『ウエストサイド物語』、『オペラ座の怪人』、『ハン ス』、『オンディーヌ』、スイセイ・ミュージカル『フェーム』、『ピアニスト』。 オーストリア、州立バレエ・リンツにてロバート・プール、オルガ・コボス、ピーター・ミカなどのコンテンポラリー作品。
Twitter @mamitomotani
踊りある記 https://www.chacott-jp.com/news/column/usa/
TBE https://www.thebroadwayexperience.com/tokyo

ページの先頭へ戻る