マシュー・ボーン『シンデレラ』の前座公演を指導するために北京と上海に行きました。

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この前座公演とは本公演の前に生徒さんたちが同じ曲を使って舞台上で5分間パフォーマンスすることです。

今回のワークショプと前座公演の振付指導のパートナーはルークです。彼とは、『シザーハンズ』で親子を演じたり、『ザ・カー・マン』『くるみ割り人形』でも共演し、『眠れる森の美女』では執事と乳母役でした。
一緒にツアーをしていてもカンパニーメンバーは多いし、作品によってメンバーが違ったりするのですが、今回の約1か月間という長い時間を一緒に過ごすのは初めてです。とうとう私たちのことを「ドリームチーム」と言われるまでになりました!(^^)!

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北京公演で前座を演じるのは、ダンス学校の生徒さんたちだったのですが、事前に劇場側でオーディションをされたそうで、かなり上級のメンバーが集まりました! インプロやコンテンポラリーはとっても良く、ルークはクラス指導中から喜んでいました。:)

生徒さんたちは演技に関して初日は固かったのですが、だんだんとマシューのメソッドのやり方を理解して、どんどん違うキャラクターもできるようになっていき私も楽しく指導させてもらいました。

たった5日間で5分の作品を作るのですが、どんなメンバーが集まるかは初日のクラスが始まらないと分からないので、半分以上の時間を使って、ダンスのテクニック、演技、キャラクターを見ます。どんな感じの子たちがいるのかを見るためにゲームなどもして見ます。
その後は、最初に少しだけイギリスで作られた振付を指導しますが、ほとんど生徒さんたちと私とルークで創りあげます。もちろん演出、最終判断は私とルークがします。
イギリスにいるマシューにメールして「今回は男性の生徒が5名います。みんなレベルが高くとっても良い感じです。」と伝えるとすぐにマシューから「それは良かった! 男性が多いと雰囲気が変わって良いだろうね。特にこの前座公演を観るために北京に行くから楽しみにしているよ。」と返事が来ました。
この前座公演はイギリス他海外で行われるのですが、カンパニーメンバーが言うにはマシューが気にいるかどうか、かなりプレッシャーを感じているそうです。
海外はほとんど私が担当していて、イギリス国内はいろいろなメンバーが担当しています。私も事前にルークとのミーティグで、プレッシャーを感じず、楽しむこと、生徒さんも楽しめること、その上でプロのカンパニーがマシューと作品を創るのと同じ経験ができるようにプッシュしようねと話し合いました。この前座公演を担当するのに自信があったのでいろいろとアイデアが湧いてきてとても楽しみました。また、演出することに経験も済みでしたので、マシューの視線でどうすれば良いかが判るようになり、こちらも振付以上に楽しみました。

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右から3人目がマシュー

カンパニーメンバーに舞台でのテクニカルリハーサルを見てもらうのですが、みんなレベルの高さにびっくりして、昨年のアメリカツアーの『赤い靴』の前座公演を一緒に担当したアランは、「過去数年の前座公演を入れても、ダンス、演技、キャラクターなど全部のバランスは今回の生徒たちが一番レベルが高いよ。」 とびっくりしていました。

マシューも「とっても良いね! 素晴らしい!」となんども言ってくれました。私が、『スワン・レイク』に如何ですか?」とわざと聞くと、カンパニーメンバーたちも私がマイクを使った言ったので大笑いしていました。正直この中の数名は出演できるレベルでした。

場所は変わり上海でも同じ曲で前座公演を創りました。こちらは、ダンス経験のある生徒さんは数名だけで、ほとんど趣味でダンスをしている感じの生徒さんたちでした。なので、北京と同じにはせず、作品に出てくるキャラクターを変えたり、演技を中心にしたり、構成をほとんど変えました。
私もルークも全く同じことを繰り返すつもりはなかったので、いろいろと話し合い、5日間で上海の生徒さんたちと同じ曲でどこまで変えられるかという作業に挑戦でき、こちらも楽しかったです。
最終リハーサルでは、演技の部分がそれぞれとってもよく演じられていて、かなり面白い作品になり、カンパニーメンバーも北京とは違い、いろいろなキャラクターが多く、11歳の子をよく使っていて面白かった! と感想をもらいました。
上海では、3、4年前の『眠れる森の美女』での前座公演メンバーが観劇に来ていたのと、ワークショップでも再開できとても嬉しかったです。
この前座公演の目的は、若さみなぎるメンバーたちが有名な劇場でプロフェッショナルな舞台環境の中、本公演を観にいらっしゃるお客さんの前でパフォーマンスを経験出来ます。また、将来の舞台づくりに興味を持ってもらい、今後もいろいろな舞台を観劇するだろうという、とても良い芸術のための教育になっています。メンバーの家族、友人がチケットを購入して観劇に来てくれますので、初めて劇場に足を運ぶ方もたくさんいます。

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次の日上海では、私と、ルーク、アラン、シンデレラ役のアシュリー、また上海バレエのダンサーの方と、振付・演出をされる男性とで、この劇場の会員の方たちと前座公演のビデオを観劇し、質疑応答がありました。

「あなたにとってのダンスとは?」という質問に私たちはそれぞれ答えましたが、まとめると「楽しみ、生活の一部、パッション、まばたきをするようなこと」です。
皆様にとってのダンスとはなんでしょうか?

インタビュー & コラム

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友谷 真実 Mami Tomotani

マーサ・グラハム・サマースクール、劇団四季研究所、川副バレエスクールでダンスを学ぶ。
★主な出演作品:
ニュー・アドべンチュアーズ『くるみ割り人形』(クララ、キューピット役ほか)、『白鳥の湖』、『カーマン』、『エドワード・シザーハンズ』(ペグ 役ほか)、『Highland Fling』(愛と幻想のシルフィード)、州立バレエ・リンツにてロバート・プール、オルガ・コボス、ピーター・ミカなどの作品(オース トリア)、 アルティ・ブヨウ・フェスティバル(京都)、ベノルト・マンブレイの振付作;スイセイ・ミュージカル『フェーム』、『ピアニスト』; 劇団四季『キャッツ』、『ジーザス・クライスト=スーパースター』、『アスペクツ・オブ・ラブ』、『ウエストサイド物語』、『オペラ座の怪人』、『ハン ス』、『オンディーヌ』など
★TV/映画:『くるみ割り人形』(BBC)他。
★振付作品:『just feel it?以・真・伝・心』個人のプロローグ(02年);アルティ・ブヨウ・フェスティバル(98年)、他。
http://ameblo.jp/mami-tomotani/

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