マシュー・ボーンの新作「Highland Fling」

マシュー・ボーンの新作「Highland Fling」(日本での題名は「愛と幻想のシルフィード」)は、無事にロンドン・サドラーズ・ウェールズ劇場での公演が終わり、来週からUKツアーが始まります。
私を含め4人は一役しかしていなかったので、サドラーズ公演後に新しい役のためのリハーサルがありました。

月曜の休演日に1幕と2幕の途中まで覚え、木曜日の1回公演の日に残りの2幕を覚え、金曜日の本番の前に1回通し稽古をし、夜は本番というハードなスケジュールでした。

1幕の新しいキャラクターは、いつもやっている強い役のマッジとは違い、田舎者の子モーラッグなので、大変新鮮でした。これからどんどんアイデアが浮かんできそうでとても楽しみです。時々、共演者のウイルは私の名前と役の名前が全部Mで始まるので「M,M,M」と呼びます。

2幕は全員同じ格好をしていて、ライトもサイドから目の高さで大変強いので、(カメラのフラッシュをあびた感じです)立ち位置によっては誰が誰なのか分からなくなりそうです。間違って違う人と踊らないように、いつもやっている役の振りをしないように必死でした(笑)。やはり、リハーサルの回数が少ないと本番は不安です。

1幕のキャラクターは、どんどんそれぞれの個性が強くなってきて良くなっています。私も、新しいアイデアにトライしてみたり、からむ人と今度はこうしてみようと、話し合っています。特に、メインのジェームスの役は踊る人によって 間の取り方など演技が違うので、今日はこうしようと決めず、柔軟にいることを心がけています。

2幕は踊りの面では、コンテンポラリーの呼吸で全員が一つになり最初から最後まで休む暇もないのですが、ただ踊るだけではなくみんなそれぞれのシルフィ-ドのキャラクターを創っていっています。疲れてくると、アラスゴンドなど足をあげるポーズだけになってくるので、コンテンポラリー独特のその形で止まるのではなく、そこまでにもっていく過程を大切に、また 流れるようにと、ダメだしがあります。

先週、ロイヤルバレエの元プリマの方が観に来られて、「上半身をあんなに動かして踊っているのはとても素晴らしい。バレエダンサーたちにこの作品を観に行くように言います。」と言っていたそうです。私たちはテクニックのあるダンサーではないのですが、違う意味でいろんなことができるダンサーたちなので、クラッシク・バレエの方たちからは面白くみえるのかもしれません。

さて、来週からはツアーが始まります。今までのようにロンドンから通うのではなく、以前ここでお話したように、それぞれが予約した家やホテルに1週間滞在します。
みんな とても楽しみにしています。

インタビュー & コラム

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友谷 真実 Mami Tomotani

マーサ・グラハム・サマースクール、劇団四季研究所、川副バレエスクールでダンスを学ぶ。
★主な出演作品:
ニュー・アドべンチュアーズ『くるみ割り人形』(クララ、キューピット役ほか)、『白鳥の湖』、『カーマン』、『エドワード・シザーハンズ』(ペグ 役ほか)、『Highland Fling』(愛と幻想のシルフィード)、州立バレエ・リンツにてロバート・プール、オルガ・コボス、ピーター・ミカなどの作品(オース トリア)、 アルティ・ブヨウ・フェスティバル(京都)、ベノルト・マンブレイの振付作;スイセイ・ミュージカル『フェーム』、『ピアニスト』; 劇団四季『キャッツ』、『ジーザス・クライスト=スーパースター』、『アスペクツ・オブ・ラブ』、『ウエストサイド物語』、『オペラ座の怪人』、『ハン ス』、『オンディーヌ』など
★TV/映画:『くるみ割り人形』(BBC)他。
★振付作品:『just feel it?以・真・伝・心』個人のプロローグ(02年);アルティ・ブヨウ・フェスティバル(98年)、他。
http://ameblo.jp/mami-tomotani/

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