スロバキア国立劇場、コシシェにあるバレエ団のパフォーマンスを見ました。

今月も、東ヨーロッパよりお届けします。

スロバキア国立劇場、コシシェにあるバレエ団のパフォーマンスを見ました。

「チャーリー・チャップリン」

誰でも名前は知っているチャーリー・チャップリン。
しかし、彼の人生そのものを知る人は少ないかもしれません。
舞台や、メディアに出ている芸人のチャップリン。幼い頃から、母親が精神病になったりアルコール依存症の父親が幼い時に死去するなど、人生は大変困難なものでした。その苦悩と表の輝きを対比させた素晴らしい演出、振付の作品でした。
舞台装置自体はシンプルでしたが大きな机を8個使用し、ダンサーたちが机を舞台上にあるセットの1部として動かしながら次々といろいろな形に転換していきます。
それがときには壁になり、ステージ上にあるチャップリンの舞台になり、通路になり、様々なアイデアが満載でした。
芸人チャップリンと、チャップリンの本当の姿は2人のプリンシパルダンサーが演じました。芸人チャップリンは、正に本人を見ているようで演技もアクティングも踊りも素晴らしく、チャップリンの苦悩を描いたダンサーの表現は本当に心に響きました。
もう一度見たい作品です。

(C) Emi Hariyama

「チャーリー・チャップリン」

(C) Emi Hariyama

(C) Emi Hariyama

「チャーリー・チャップリン」

「アンネの日記」

この題材を、ダンスのパフォーマンスとして見るのは初めての事でした。
ステージは、国立芸術がお芝居に使う小ステージでした。
限られた空間には鉄で作られたはしごや、鉄で作られた大きな筒が真ん中にセットされていました。
ダンサーの出入りは、観客が使う入り口を使用して、小さな空間がまるで大きな舞台にいるかのような錯覚を覚えました。
第二次世界大戦の重く苦しい雰囲気、そして目をつぶってはいけない事実をパフォーマンスとしてしっかりと見せ、最後は涙を流している人がたくさんいました。私も何とも言えない気持ちになり、改めて消してはいけない真実と歴史を伝えることを、時にはアートを通して訴えかける大切さを感じました。
ダンサーたちは迫真の演技で、体当りの演技、怪我をしてしまうのではないかと思う位でした。演出・振付はOndrej・Soth。才能溢れる彼の作品、心を撃たれました。

「アンネの日記」photo Joseph Marcinsky

「アンネの日記」photo Joseph Marcinsky

「アンネの日記」photo Joseph Marcinsky

「アンネの日記」photo Joseph Marcinsky

「アンネの日記」photo Joseph Marcinsky

「アンネの日記」photo Joseph Marcinsky

「アンネの日記」photo Joseph Marcinsky

「カルメン」

カルメンは、先月リハーサル風景と2年前に本番を見ましたが、オリジナルの曲が含まれ、演出とリブレットもオリジナリティー溢れたものになっています。
「白鳥の湖」のリハーサルをしているときのダンサーと、「カルメン」などネオクラシックの作品を踊っているダンサーはまるで別人です。
これが自然に出来るのもやはりプロです。
主役を踊った2人は、今回2回目でとてもフレッシュなカップル、いろいろ若手も主役踊る機会がありこれからの成長が楽しみなカンパニーです。

「カルメン」舞台終演後

「カルメン」舞台終演後

2月はスロバキア国立コシシェのバレエ団で「白鳥の湖」の振付 演出 指導を担当していました。
はじめの数日間はウラジーミル・マラーホフと一緒に仕事をして、振付指導のアシスタントを務めました。2月後半からは私1人に任され、責任を感じながらのリハーサルの日々でした。
「白鳥の湖」のような壮大な、そして莫大な時間がかかる大作を1人で任され沢山の方々に助けられれながら、なんとか2月末には通し稽古できるところまでもっていくことができました。

(C) Emi Hariyama

自分が、アシスタントを務めているときには考えていなかったような些細なことも、ダンサーから質問されると振付家の意図を100%正しく伝えたいと思うので、マラーホフ氏と1日何回もやりとりをしながらリハーサルを進める日々でした。
女性のパートは踊ったことがあるので細かいステップの持って行き方なども分かるのですが、やはり男性の「パ」になると、見て覚えていることと実際やってみることがこれだけ違うのかとすごく勉強になりました。
ダンサー達は、他のパフォーマンスが沢山ある中、2月最後に行った通しリハーサルでは凄い集中力で臨んでくれ、私もやっと肩の荷が少し降りた気がしました。
この様な経験は、本当に素晴らしい機会でした。
限られた時間の中で、どのように時間を配分してリハーサルを進めていくかなどを含め、自分がダンサーの時には深く考えて居なかった事をたくさん学びました。
バレエマスターやディレクターが的確にその場をまとめる事、カンパニーのモチベーションを保つ事、今1番必要な事を咄嗟に判断し伝える事等が、本当に大切な仕事の1つだということを身に染みて感じることができました。
「白鳥の湖」は、私にとって切っても切れない1番思い入れと思い出のある作品です。このような機会を与えていただいたことに本当に感謝です。
3月に、もう一度スロバキアに来て最後のステージリハーサルの担当をします。
来月もヨーロッパからお届けします。

(C) Emi Hariyama

(C) Emi Hariyama

(C) Emi Hariyama

インタビュー & コラム

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針山 愛美 Emi Hariyama

13 歳でワガノワ・バレエ学校に短期留学、16歳でボリショイ・バレエ学校に3年間留学した後、モスクワ音楽劇場バレエ(ロシア)、エッセン・バレエ(ドイ ツ)、インターナショナルバレエ、サンノゼバレエ、ボストン・バレエ団(アメリカ)、と世界各地のバレエ団に入団し海外で活躍を続ける。
2004年8月からはベルリン国立バレエ団の一員に。

1996年:全日本バレエコンクールシニアの部第2位、パリ国際コンクール銀メダル(金メダル無し)
1997年:モスクワ国際バレエコンクール特別賞
2002年:毎日放送「情熱大陸」出演 、[エスティ ローダー ディファイニング ビューティ アワード]受賞
Emi International Arts
針山愛美のバレエワールド

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