ニューヨークと日本のダンススタジオの公演のために、振付をしました!
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- コラム 友谷真実
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ニューヨークと日本のダンススタジオの公演のために、振付をしました!
まずは、札幌の「小泉のりこバレエスタジオ」さんからコンテンポラリーのグループナンバーのご依頼があり、私は2日間滞在してリハーサルまで行いました。
音楽は、以前から気になっていた「The Dance」という、フラミンゴのドキュメンタリーで使用されていた曲です。私は「踊りたい」「イメージが湧く」と感じて選んだのですが、しずか先生に「素敵です!5拍子ですね!」と言われて、「そうなんだ、5拍子なんだ!」と気づきました(笑)。
フラミンゴは、魚も生きられないような大噴火による火山性の成分を含むアフリカの湖に生息する生き物で、地元の人たちからは、火山にちなんで「火の鳥」とも呼ばれていたそうです。その生態や、ドキュメンタリーに登場する求愛のダンスなどを取り入れて振付をしました。
また、コンテンポラリーはネオクラシック系しか踊ったことがないという高校生の皆さんと、プロのダンサーの皆さんとで、野生のフラミンゴのシャープさを意識し、クールに仕上げました。
振付をした後はニューヨークに戻ったため、通し稽古のビデオを送っていただきチェックし、仕上げは先生と皆さんにお任せしました。今回は高校生以上とプロのポズナン歌劇場バレエ団ソリスト玉井千乃さんが出演されていたため、2日間で3分半のナンバーでも問題ありませんでしたが、これ以上長い作品や年齢層が低い場合は、もう少し時間が必要かもしれません。
photo by フォトワークス
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しずか先生に、公演後の報告で「照明が入ったゲネプロで思わず「カッコいい...!」と声がでる出来栄えでしたが、本番さらに興奮するカッコ良さでした!」とすぐに本番のビデオを送ってくださり、私も嬉しかったです。
こうして日本滞在中に振付ができるのは、私自身にとっても新たな創作や気づき、出会いがあり、嬉しい機会です。
事前にオンラインの打ち合わせができれば、日本には毎年1ヶ月以上滞在しているので、いつか全幕作品にも挑戦できたらと思います(ニューヨークではすでにミュージカル、芝居の全幕作品も振付けています)。
もし何かピンと来るものがありましたら、ぜひInstagramやXでメッセージをください。
photo by フォトワークス
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そしてニューヨークでは、NYDA Hariyama Ballet 20周年記念公演のために、10分弱の『ジュピター』を振付けました!
この『ジュピター』──木星は、古くから「幸運の星」として親しまれてきました。
木星を象徴するキーワード「道行き、繋がり、シェア、受け継ぎ、成長、発展、幸運」をテーマに、スタジオと針山先生、生徒さん、関わった方々、そしてこれからも関わり続ける皆さん、スタジオの意思を持ってそれぞれの世界へ飛び立つ皆さんの姿をイメージし、心を込めて創作しました。
私にとっては、9歳から高校生までの生徒たち、そしてプロのコンテンポラリーやバレエのダンサー、先生方という、レベルの全く異なる出演者に対して振付・構成を行うというチャレンジでもありました。
何度も音楽を聴くうちに、それまで見えていなかったものにふと気づき、イメージやアイデアが湧いてくるので、本番までに本当に何週間も聴き続けました。
そしてイメージが固まったところで、コンテクラスの時間には生徒さんたちに、そして大人の方々には別に集まっていただき、他の生徒さん達は数回だけ日曜にそれぞれのリハーサルをスタートさせました。
なんと、全員が揃ったのは公演当日!
最後のシーンだけ全員で踊る構成だったため、本番前にそこだけ確認しました。
『ジュピター』
『ジュピター』
それまでの合同練習では、学校などの都合で全員が集まれず、私の頭の中だけで成立していた構成が本当に機能するか心配でしたが、長く参加している生徒さんたちを中心に、しっかりと表現までできました。
その中には、以前私のオンラインコンテクラスを受けてくれていた網永真夏ちゃんが、大人のシーンを力強くリードしてくれたり、こちらもクラスを受けてくれたり以前ビデオ作品でアシスタントとして関わってくれた平山美紅ちゃんが、爽やかに踊ってくれました。
先生方はさすがの貫禄で作品を引き締めてくださり、生徒さんとの関係性も自然に表れていて、とても素敵に踊ってくださいました。
さらに、ワシントンのプロのバレエダンサー・飯田慧君が参加してくれたおかげで、リフトなどで高さが出せ、彼のダイナミックな踊りは本当に見ていて気持ちの良いものでした。飯田君の今後の活躍が楽しみです。
後日、「素晴らしい作品で涙が出ました」「感動しました」「一番心に響きました」といったご感想をいただき、それもスタジオとは関係のない方々から「あの作品は忘れられない」と言っていただけたのが、とても嬉しかったです。
何よりも踊った生徒さんたちから「また踊りたいです!」と声をもらえたこと、そして針山先生が「素敵な作品をありがとうございました!また再演できたら!」と喜んでくださったことに、正直ホッとしました。
私自身、海外で活動してきた年月が日本より長くなりました。
50代半ばとなった今思うのは、このグローバルな視点を若い方々とシェアし、一緒に何かを創ったり、仕事を渡したりできるような存在になれたらということです。
もちろん、ときには自分も大人の作品を踊りながら♪
『ジュピター』
『ジュピター』
インタビュー & コラム
友谷 真実 Mami Tomotani
福岡シティ川添バレエ学苑、三ノ上万由美バレエスタジオでバレエを黒田バレエスクールにてコン テンポラリーダンスを学ぶ。
15 歳で劇団四季合格し、ミューシカルで活躍後、英国マシュー・ボーンのニュー・アドベンチャーズに日本人として初めて入団。「くるみ割り人形」では主役クララを演じ、 「エドワード・シザーハンズ」「Highland Fling」(愛と幻想のシルフィード)、トニー賞 受賞の「白鳥の湖」「カーマン」 「眠りの森の美女」出演。 現在は、マシュー・ボーンのインターナショナルツアーの「前座公演」振付、ワークシ ョップを担当。2023 年―2024 年は「エドワード・シザーハンズ」イギリス公演に出演 する。
また、「ハリー・ポッターと呪いの子」日本アソシエイトムーブメントディレクター 担当。最近では NY のアーティスト、Kazue Taguchi の作品で NY の The Museum of Art and Design で踊り、福岡美術館でバンドネオン演奏者、川波幸恵とのコラボで踊った。
振付家として N.Y の全米 No.1 のミュージカル「フェーム」のモデルにもなったラガー ディア芸術高校で「サウンド・オブ・ミュージック」や芝居の「プライドと偏見」「キ ルトに綴る愛」「Compleat Female Stage Beauty」振付で活躍中。 ピッツバーグ大学の「Zanna Don't!」振付やコンテンポラリーのコンクール作品振付で は、NY の NYDA/Hariyama Ballet の二名のダンサー達が銀賞を受賞。YAGP N.Y でもトッ プ 12 入賞。2019 年には、国際バレエコンクールで 1 位と 4 位を受賞。 振付助手としては 2021 年、ホリプロミュージカル、マリア・フリードマン演出、振付 家ティム•ジャクソン「メリリー・ウィー・ロール・アロング」の 1 幕を担当。マシュ ー・ボーンの「ドリアングレイ」日本公演のリハーサルアシスタントも経験した。
ブロードウェイミュージカルを学ぶ NY のプログラム「Mid Manhattan Performing Arts」 芸術監督。
マイズナーテクニックで有名な「ネイバーフッド・プレイハウス
」、N.Y の Hariyama Ballet、でコンテンポラリー、シアターダンス指導、ジョフリーバ レエサマーインテンシブでコンテンポラリー、シアターダンス、バレエを指導、ステッ プス、カーネギー・メロン大学、プリンストン大学など全米、日 本でワークショップ を開催している。
チャコットの web マガジン「踊りある記」連載中。
その他出演作品は「王様と私 」(ロイヤルアルバートホール)、 劇団四季「キャッツ」、「ジーザス・クライスト=スーパースター」、「アスペクツ・オブ・ラブ」、「ウエストサイド物語」、「オペラ座の怪人」、「ハンス」、「オンディーヌ」、スイセイ・ミュージカル「フェーム」、「ピアニスト」。 オーストリア、州立バレエ・リンツにてロバート・プール、オルガ・コボス、ピーター・ミカなどのコンテンポラリー作品。
Website : https://www.mamitomotani.com/
X : @mamitomotani
Instagram : mami.lesson_choreograph