2025年の最初の「踊りある記」は、私がアーティストメンバーであるマシュー・ボーン、ニューアドベンチャーズの『シザーハンズ』と『白鳥の湖』のワークショップについてです。
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- コラム 友谷真実
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2025年の最初の「踊りある記」は、私がアーティストメンバーであるマシュー・ボーン、ニューアドベンチャーズの『シザーハンズ』と『白鳥の湖』のワークショップについてです。
イギリスでは、季節ごとにいろいろなワークショップが行われているのですが、日本でニューアドベンチャーズのワークショップが開催されたのは、なんと2016年以来でした!
ワークショップを指導するには、そのための授業をイギリスで受けないといけません。昨年もまた新たに指導者達が集まったワークショップに参加し、新しいアイデアなどもみんなで話し合い、メンテナンスをしました。
普通は二人1組で指導しますが、一人で指導できるのはカンパニー内でも10名もいません。私の場合はその資格を有しているので今回、「エドワード・シザーハンズ ダンスバージョン」が日本全国で上映されたタイミングに東京で行なわれました。
ワークショップの内容は多岐にわたります。今回その中でいくつか選びましたが、終わってみると2時間では足りず3時間欲しかったー!と思いました。それほど、笑いありの熱気あるワークショップでした!
以前ニューヨークの〈ステップス〉で私とポールがワークショップを行った時は、ブロードウェイの出演者が本番前に受けに来ていたので、今回は参加しやすいように公演がお休みの月曜日に行いました。そのため日本でもミュージカル、お芝居、コンテンポラリー、バレエのプロの方々がたくさん受けに来てくださいました。
そして夜の方は、学校に通っている人たちも受け易いように時間を選びましたが、こちらもプロの方や指導者が多く参加されました。
私が驚いたのはイギリスではこれからプロになりたいと思う10代、20代前半の参加者が多いのに日本は10代4名だけと少し寂しくイギリスと違うな、一番感受性も脳も柔軟な時なのでもったいないな、と思いました。
ワークショップは、両作品からのナンバーと、マシューのクリエイトをいくつか紹介して挑戦してもらいました。皆さんとても素晴らしかったです!『シザーハンズ』のキャラクター作りから入ってもらいました。知らないメンバー同士でもすぐに盛り上がり、心苦しかったのですが途中で「メインは白鳥の湖なので」とストップしてもらいました。24名の方がビッグスワン、ミドルスワン、シグネッツに分かれてナンバーに挑戦してもらいました。
次のクラスでは、その反対で『白鳥の湖』を少し踊ってもらい、その後長いナンバーの『シザーハンズ』を4人家族になってキャラクター作りからダンスまでにチャレンジしてもらいました。
両ナンバーとも実際に過去のオーディションで使用されたナンバーでもありました。
皆さんキャラクター作りに気持ちを込めたことでクリエイトも面白くなり、それにプラスカウントで構成も覚えてもらい、両方を消化するまでは行かなくともマシューのリハーサルの仕方を経験してもらうことが出来良かったです。
撮影した映像を後で見ると、例えば子供役で気持ちを入れるとテクニックが子供っぽい。それは子供っぽく踊るのと、子供を演じてしっかり踊るのとは違い、またしっかりテクニックを見せて踊るのとも違うし、本当に役作りは大事で・・・。これを時間内で伝えられず・・・。
公演や、もしカンパニーに入りたい場合は、ここをしっかりやれてないといけないので、やはりマシューのスタイルをもっと経験してほしいと思いました。カンパニーに入らなくても、役に立つと思います。
受講された方々は、目が輝いていました!
アイデアも多く、グループ分けしても一つとして同じキャラクターがなく、たくさん作業をしましたが、「とても面白かった。自分の今の仕事に取り入れられる。マジカルな時間で参加して良かった。どうやって作品を創るか触れられて良かった」などフィードバックを頂きました。二つクラスを受ける方もいましたし、質問の内容もとても深くて私も出来る限り答えました。「真実さんから実際のリハーサルのお話などいろいろ聞けたことも良かったです」とも言われました。
終わって、マシューの右腕のアソシエイトのエタやチャリティー部門のケリー、会社サイドから許可を出すジェニーなどみんな「どうだった? 写真は? 映像は? 良いダンサーいた?」など気にしてくれて、このようにイギリスからサポートがあったのも嬉しかったです。
もちろん、マシューにも私から報告しますが、このエタ他のメンバーからイギリス側に伝わっていると思います。
情報をシェアしてくださった皆様、どうもありがとうございました。
このワークショップ開催を学校や、スタジオでご希望の方は、カンパニーのウエブサイトから英語でお申し込みできます。受講希望は、カンパニーのインスタグラムをチェックするとイギリスで行われる情報が出ます。
次の日本で行われるのはいつでしょうね? 10年後の2035年ではないことを祈ります(笑)
インタビュー & コラム
友谷 真実 Mami Tomotani
福岡シティ川添バレエ学苑、三ノ上万由美バレエスタジオでバレエを黒田バレエスクールにてコン テンポラリーダンスを学ぶ。
15 歳で劇団四季合格し、ミューシカルで活躍後、英国マシュー・ボーンのニュー・アドベンチャーズに日本人として初めて入団。「くるみ割り人形」では主役クララを演じ、 「エドワード・シザーハンズ」「Highland Fling」(愛と幻想のシルフィード)、トニー賞 受賞の「白鳥の湖」「カーマン」 「眠りの森の美女」出演。 現在は、マシュー・ボーンのインターナショナルツアーの「前座公演」振付、ワークシ ョップを担当。2023 年―2024 年は「エドワード・シザーハンズ」イギリス公演に出演 する。
また、「ハリー・ポッターと呪いの子」日本アソシエイトムーブメントディレクター 担当。最近では NY のアーティスト、Kazue Taguchi の作品で NY の The Museum of Art and Design で踊り、福岡美術館でバンドネオン演奏者、川波幸恵とのコラボで踊った。
振付家として N.Y の全米 No.1 のミュージカル「フェーム」のモデルにもなったラガー ディア芸術高校で「サウンド・オブ・ミュージック」や芝居の「プライドと偏見」「キ ルトに綴る愛」「Compleat Female Stage Beauty」振付で活躍中。 ピッツバーグ大学の「Zanna Don't!」振付やコンテンポラリーのコンクール作品振付で は、NY の NYDA/Hariyama Ballet の二名のダンサー達が銀賞を受賞。YAGP N.Y でもトッ プ 12 入賞。2019 年には、国際バレエコンクールで 1 位と 4 位を受賞。 振付助手としては 2021 年、ホリプロミュージカル、マリア・フリードマン演出、振付 家ティム•ジャクソン「メリリー・ウィー・ロール・アロング」の 1 幕を担当。マシュ ー・ボーンの「ドリアングレイ」日本公演のリハーサルアシスタントも経験した。
ブロードウェイミュージカルを学ぶ NY のプログラム「Mid Manhattan Performing Arts」 芸術監督。
マイズナーテクニックで有名な「ネイバーフッド・プレイハウス
」、N.Y の Hariyama Ballet、でコンテンポラリー、シアターダンス指導、ジョフリーバ レエサマーインテンシブでコンテンポラリー、シアターダンス、バレエを指導、ステッ プス、カーネギー・メロン大学、プリンストン大学など全米、日 本でワークショップ を開催している。
チャコットの web マガジン「踊りある記」連載中。
その他出演作品は「王様と私 」(ロイヤルアルバートホール)、 劇団四季「キャッツ」、「ジーザス・クライスト=スーパースター」、「アスペクツ・オブ・ラブ」、「ウエストサイド物語」、「オペラ座の怪人」、「ハンス」、「オンディーヌ」、スイセイ・ミュージカル「フェーム」、「ピアニスト」。 オーストリア、州立バレエ・リンツにてロバート・プール、オルガ・コボス、ピーター・ミカなどのコンテンポラリー作品。
Website : https://www.mamitomotani.com/
X : @mamitomotani
Instagram : mami.lesson_choreograph