今年の夏もイギリスで踊ってきました!

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今年の夏もイギリスで踊ってきました!
マシュー・ボーン・ニューアドベンチャーズカンパニーにはチャリティ部門があります。これはカンパニーがとても大切にしているもので、夏に図書館、公園、ホスピス、介護施設、老人ホーム、子供ケアハウス、レヒュジー(難民施設)、学校など、普段劇場に行けない人達へ世界クラスのダンスを無料で届け、楽しんでもらうパフォーマンス「ドアステップ・デュエット」のことです。

これを始めるにあたって最初にカンパニーから声がかかったダンサー達のオーディションがあります。
私は、オーディションに来なくても良いと振付家のアンジャリ・メーラ(私はアンジーと呼んでいます)から言われましたが、どんな感じの振付かリハーサルが始まる前に知りたくて受けに行きました。
アンジーとは「白鳥の湖」に1999年、2000年とデビューが同じで、その後も作品によっては一緒に踊っていました。今回久しぶりに仕事を一緒にすることになりお互い嬉しかったです。

振付家のアンジーの、作品のためにキャストの世代を幅があるようにしたい、との希望で50代の私も選ばれました。
リハーサルもですが、アンジーはとても穏やかで、ユーモラスと気さくな話し方で進めるのでみんな気持ちよく、変に緊張せず仕事ができました。
彼女が振付けたダンスもありますが、それ以外は、私達にたくさんのタスク(資料の中の5つのキャラクターからどれが良いか決めて、8カウントでこの言葉を表すなどの指示です。)を渡してクリエイトをさせてもらえるので楽しかったです。
最近は、ミュージカルでもこういうワークショップをしてムーブメントを創る方が多くなったと聞いています。

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Stephen Daly/@stephendalyphotography
ダンサーズ:Xavier Andriambolanoro Sotitya, Anna Maria de Freitas, Luke Murphy, Holly Saw, Molly Shaw-Downie and Mami Tomotani.

リハでは、私やルークの創った動きをアンジーは確認せず、「真実とルークが創ったのを他のメンバーに教えて」とか演技でアンジーに「真実、そこの16カウントの芝居カット少しできる?」と聞かれ試してみましたが、どうしても気持ちの変わるシーンには短すぎて他にカットする箇所を提案し、そこはそのまま長いままにしてもらったりと私たちを信頼してもらい、作品作りができたのでとても楽しかったです。

一般の方が観られる公園や図書館では、子供連れの女性が涙して「一人ではない、と作品から感じた」「どうして涙が出てくるのか、感動した」と言われたりしました。また、ケアハウスでは「ずっと同じ人達といるので、こういう楽しいダンスがここで観られるのは一時でも現実から離れられて嬉しい」などの言葉も頂きました。

ホスピスでは「毎年夫婦でマシュー・ボーンの作品を劇場で観てきたけど夫は今回が最後となるでしょう。こうやってホスピスにまで来てもらえて本当に感動をありがとうございます」とこちらが涙ぐむような言葉をもらいました。
子供ホスピスでは、緊張した顔の2歳ぐらいの女の子がベットのまま運ばれて来ました。椅子に座っている7歳ぐらいの男の子は椅子の背に顔を向けて見ようともしませんでしたが、曲が始まると顔を椅子から離して見始めました。最後にこの男の子は笑顔でタンバリンを叩いてとても嬉しそうで、私達に「バイバイ」もしてくれました。
ベットの女の子も大きな笑顔になったので終わって私が話しかけると、ご両親が「この子は目が見えないの。でも音楽をとても気に入ったみたい! 家でもよく音楽をかけるのよ」と嬉しそうに話してくれました。

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Stephen Daly/@stephendalyphotography

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Stephen Daly/@stephendalyphotography

難民施設のレヒュジーでは、60代ぐらいの男性が話したいとスタッフさんと一緒に質問しに来られました。「これは何のダンスなのか?タンゴなのか?」と。私が英語で「コンテンポラリーダンスです」と携帯の辞書に書くと、男性の国の言葉に変換されず、結局モダンダンスで理解してもらいましたが、後でスタッフさんは「詳しくは話せないけど彼は大変な思いをしてここに来て、まだ家族は国に残っているの。彼は精神的にも参って誰とも話さないし、どこも行かないのよ。それが初めてダンスを見て声を出して質問までしているので私達もびっくりしているの」と話してくれました。

芸術、ダンスは心のお薬。人に一時の笑顔や現実から離れられる時間、希望などを与えられると私も思っていましたが、改めて目の前で経験し本当に素晴らしいことだと実感しました。
この企画を提案したニューアドベンチャーズの教育部門、そして実現できるために資金を出してくれたアートカウンシル、それぞれの町のリーダーの(劇場のスタッフさんなどが町で場所を選んでくれ設定をしてくれます)方々にとても感謝です。

イギリス国内では無料で映像が見られるのですが、日本の皆さんは下記のウェブサイトから情報を見てください。
ニューアドベンチャーズ ドアステップ・デュエット
https://www.new-adventures.net/doorstep-duets#overview

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Stephen Daly/@stephendalyphotography

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Stephen Daly/@stephendalyphotography

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Stephen Daly/@stephendalyphotography

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Stephen Daly/@stephendalyphotography

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Stephen Daly/@stephendalyphotography

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Stephen Daly/@stephendalyphotography

インタビュー & コラム

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友谷 真実 Mami Tomotani

福岡シティ川添バレエ学苑、三ノ上万由美バレエスタジオでバレエを黒田バレエスクールにてコン テンポラリーダンスを学ぶ。
15 歳で劇団四季合格し、ミューシカルで活躍後、英国マシュー・ボーンのニュー・アドベンチャーズに日本人として初めて入団。「くるみ割り人形」では主役クララを演じ、 「エドワード・シザーハンズ」「Highland Fling」(愛と幻想のシルフィード)、トニー賞 受賞の「白鳥の湖」「カーマン」 「眠りの森の美女」出演。 現在は、マシュー・ボーンのインターナショナルツアーの「前座公演」振付、ワークシ ョップを担当。2023 年―2024 年は「エドワード・シザーハンズ」イギリス公演に出演 する。
また、「ハリー・ポッターと呪いの子」日本アソシエイトムーブメントディレクター 担当。最近では NY のアーティスト、Kazue Taguchi の作品で NY の The Museum of Art and Design で踊り、福岡美術館でバンドネオン演奏者、川波幸恵とのコラボで踊った。
振付家として N.Y の全米 No.1 のミュージカル「フェーム」のモデルにもなったラガー ディア芸術高校で「サウンド・オブ・ミュージック」や芝居の「プライドと偏見」「キ ルトに綴る愛」「Compleat Female Stage Beauty」振付で活躍中。 ピッツバーグ大学の「Zanna Don't!」振付やコンテンポラリーのコンクール作品振付で は、NY の NYDA/Hariyama Ballet の二名のダンサー達が銀賞を受賞。YAGP N.Y でもトッ プ 12 入賞。2019 年には、国際バレエコンクールで 1 位と 4 位を受賞。 振付助手としては 2021 年、ホリプロミュージカル、マリア・フリードマン演出、振付 家ティム•ジャクソン「メリリー・ウィー・ロール・アロング」の 1 幕を担当。マシュ ー・ボーンの「ドリアングレイ」日本公演のリハーサルアシスタントも経験した。
ブロードウェイミュージカルを学ぶ NY のプログラム「Mid Manhattan Performing Arts」 芸術監督。
マイズナーテクニックで有名な「ネイバーフッド・プレイハウス
」、N.Y の Hariyama Ballet、でコンテンポラリー、シアターダンス指導、ジョフリーバ レエサマーインテンシブでコンテンポラリー、シアターダンス、バレエを指導、ステッ プス、カーネギー・メロン大学、プリンストン大学など全米、日 本でワークショップ を開催している。
チャコットの web マガジン「踊りある記」連載中。
その他出演作品は「王様と私 」(ロイヤルアルバートホール)、 劇団四季「キャッツ」、「ジーザス・クライスト=スーパースター」、「アスペクツ・オブ・ラブ」、「ウエストサイド物語」、「オペラ座の怪人」、「ハンス」、「オンディーヌ」、スイセイ・ミュージカル「フェーム」、「ピアニスト」。 オーストリア、州立バレエ・リンツにてロバート・プール、オルガ・コボス、ピーター・ミカなどのコンテンポラリー作品。
Website : https://www.mamitomotani.com/
X : @mamitomotani
Instagram : mami.lesson_choreograph

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