東京で1幕の振付のアシスタントをした『メリリー・ウィー・ロール・アロング』の本番とゲネプロをN.Y.Cで見ました!
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- コラム 友谷真実
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なんと、一昨年2週間だけ東京で1幕の振付のアシスタントをした『メリリー・ウィー・ロール・アロング』の本番とゲネプロをN.Y.Cで見ました!
昨年の11月のゲネプロはこの日が1幕を通す初めての日で、190席ぐらいしかない劇場で観客は私一人だけでした!
一昨年はイギリスからオンラインで演出していたマリア・フリードマンにも会えました。イギリスのロイヤル・アルバートホール『王様と私』共演以来の再会です♪
このニューヨーク公演は約2ヶ月ありますが、チケット売出し開始6分で売り切れたと言っていました。凄いですね!
マリアと一緒にN.Yへ来ていた振付のティムには初めてお会いし、(日本ではオンラインでしかお会いしたことがなく)いつも座っていたのであんなに背が高い人とは知らずビックリしました。(笑)
マリアは、日本でアシスタントだった私をニューヨークのキャスト陣全員に紹介してくださり、皆さん暖かく迎えてくださいました。しかもチャーリー役のダニエル・ラドクリフ(映画『ハリー・ポター』のハリー役の彼です!)が直ぐに挨拶に来てくださり、肘で「Hi!」と言われ、ビックリ! 通しが終わった後も「素晴らしかった!」と伝えると「どうもありがとう。」と爽やかな笑顔で答えてくれました。
マリアとティム
ラドクリフとジョナサンと
この通し稽古をスタッフ以外で観ているのは私だけで、後ろで観ようと思ったのに、ティムとカンパニーマネージャーから一番前のセンターでと言われ(そこが一番スタッフや役者の出入りに邪魔にならないからだそうですが)緊張しました。
ティムが「真実、リラックして楽しんで!」と言いながら離れていくのに、私が「これでリラックス出来ると思う?」という表情で「はい、リラックス・・・」と言うと笑って去って行きました。
劇場は小さいので手を伸ばせば役者に届く距離で、時々みんなが私をみながら歌うので、その日はスーパースペシャルの日で、一生忘れられない感動の夜となりました!
観ながら本来の日本でのアシスタントの鎌田真梨ちゃんのピンチヒッターで、何も知らず2週間で1幕を皆さんと一緒に仕上げた思い出や、「あーこの場面、次は下手からこの人が出てきて!」と懐かしく思い出しました。日本のカンパニーは遠隔の演出、振付けでよくやったなー。と、2週間だけの自分も含め誇りに思いました。
マリアとティムとも話ができ、役者さんたちへのノートも少し聞くことができました。
そして、今年の1月公演の最終週に日本でフランク役をされた平方元基さんと、一緒に観ることになりました!
元基君(ご本人からは元基と呼んで良いと言われていますが)とは、東京でのリハーサルの時、地元福岡が一緒で共通の友人がいることが分かり、すぐに同じ空気を感じて仲良くさせて貰い・・・と言っても、メリリーの時はコロナが一番大変な時期なのでたまにおしゃべりするぐらいで、「一緒に写真を撮るのを忘れたねー」と言って終わったのですが、とても気を遣って、私がやりやすいように現場をしてくださり大変助かりました。ビール好きなので今回はNYで一緒に楽しみました♪
平方元基君と
日本公演の元基君のフランク役はピッタリでしたね! 1幕は感情がいろいろと激しく動く役を見事に演じられていました。それも重たくなく、それがスタイリッシュな作品、メリリーに、ソンドハイムの歌にもあっていました。
NYの俳優さんのジョナサン・グロフのフランク役は、みんなが助けたくなるフランクでした。女性にすぐついていってしまうような所もありました。ダニエル・ラドクリフのチャーリーはフランクの反対でしっかり者に見えて、歌もとても彼にあっていました。メアリー役のLindsay Mendezはとても面白かったです。彼女が出ると彼女の周りはすぐに暖かい感じになっていました。ガッシーがいかにもアメリカ人という感じでした。私はいろいろな役者さんが違う風に演じるのは好きなのですが、ガッシーは珍しく、この作品ではマリアの演出では日本の朝夏まなとさんの方が好きだな、と思ってしまいました。観終わって日本のキャスティングも流石だな、とマリアに言うと、そうでしょう! 日本のプロデューサーのお陰でもあるわ、と言っていました。
始まる前に劇場のお隣のバーでまずはマリアとティムと飲み、始まってからは隣の元基君がたまに鼻歌のように歌いだすので(笑)舞台のフランクと隣のフランクを楽しみました。
そして終演後には、ジョナサン・グロフとダニエル・ラドクリフさんが私たちに会いに来てくれました! 元基君がジョナサンと話している間に、私は少しだけ感想をダニエルに伝え、後は元基君が役作りでの質問や違った箇所などを二人と話しているのを一緒に楽しみました。その後もマリアとティムと長い間レストランで話すことができ夢のような夜を過ごして、その事を全部理解するまでに時間が掛かりましたね〜。
『メリリー・ウィー・ロール・アロング』は、観る人のその時の状況などでも変わってきます。
私も日本で稽古に参加した時とは違った感動をもらいました。日本では女性の気持ちからの感動があり、男性によって人生が変わって行く女性たちからの目線でしたが、今回は、仲間という方に気持ちが行きました。それは私が今度昔の仲間、エタたちと仕事をするので、その気持ちと重なったからです。
「フランクは最後に仲間に会いに行くと思いますか?」この疑問はマリアと元基君と私とではそれぞれ違い、マリアはそれで良いのよ。と・・・
いつか日本で再演される時は、また違った感動をするのだと思います。
インタビュー & コラム
友谷 真実 Mami Tomotani
福岡シティ川添バレエ学苑、三ノ上万由美バレエスタジオでバレエを黒田バレエスクールにてコンテンポラリーダンスを学ぶ。
15歳で劇団四季に合格し、ミュージカルで活躍後、英国マシュー・ボーンのニュー・アドヴェンチャーズに日本人で初めて入団。『くるみ割り人形』では主役クララを演じ、『エドワード・シザーハンズ』『Highland Fling』(愛と幻想のシルフィード)『白鳥の湖』『ザ・カー・マン』『眠りの森の美女』に出演。
現在は、マシュー・ボーンのインターナショナルツアーの「前座公演」振付、指導を担当。『ドリアン・グレイ』日本公演のリハーサルアシスタントも経験した。また、振付家としてN.Yの全米No.1のミュージカル『フェーム』のモデルにもなったラガーディア芸術高校で『サウンド・オブ・ミュージック』や芝居の振付で活躍中。ピッツバーグ大学の『Zanna Don't!』振付やコンテンポラリーのコンクール作品振付では、N.YのHariyama Balletの2名のダンサー達が銀賞を受賞。
ブロードウェイミュージカルを学ぶN.Y のプログラム「ブロードウェイ・エクスペリエンス」(TBE)のアシスタント・ディレクター。N.YのHariyama Ballet、ジョフリーバレエでコンテンポラリー、シアターダンスを指導、カーネギー・メロン大学、プリンストン大学など 全米、日本でワークショップを開催している。
チャコットのウエブマガジンDance Cubeに「私の踊りある記」連載中。
その他出演作品は『王様と私 』(ロイヤルアルバートホール)、 劇団四季『キャッツ』、『ジーザス・クライスト=スーパースター』、『アスペクツ・オブ・ラブ』、『ウエストサイド物語』、『オペラ座の怪人』、『ハンス』、『オンディーヌ』、スイセイ・ミュージカル『フェーム』、『ピアニスト』。 オーストリア、州立バレエ・リンツにてロバート・プール、オルガ・コボス、ピーター・ミカなどのコンテンポラリー作品。
WEBサイト https://www.mamitomotani.com/
Twitter @mamitomotani
踊りある記 https://www.chacott-jp.com/news/column/usa/
TBE https://www.thebroadwayexperience.com/tokyo