劇場が再スタートし本当に良かったと思います。
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- コラム 友谷真実
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2021年が終わりますね!
NYの劇場が再オープンしてから最初の観劇は、NYのコンテンポラリー・ダンス・カンパニー GIBNEY COMPANYのダンス公演をジョイス・シアターに観に行きました。
NYはエンターティメントの街ですが、ミュージカルやモダンダンス・カンパニーが強くコンテンポラリーのカンパニーはヨーロッパに比べると少ないと思います。
今回はこのカンパニーに私が関わったTBE(ミュージカルプログラム)の生徒さんだったJesse Obremskiが踊っているのでとても嬉しかったです! 長身で、爽やかに風のように舞っていました!
OH COURAGE!
Photo by Joseph DiGiovanna (Sonya Tayeh's work)
このカンパニーの振付家で起業家のGina Gibneyさんは「2020年1月にカンパニーの再改革をする。なぜNYにNDTのようなダンスカンパニーがないのか?」と発表しました。
その後、パンデミックになり活動できませんでしたが、遂に待ちに待った劇場再オープンで公演した3作品は素晴らしかったです!
メインはミュージカル『ムーラン・ルージュ』で、トニー賞を受賞した振付家Sonya Tayehの作品です。
二人の演奏者 The Bengsons が舞台上にいて、ダンサーたちが力強くずっと走っている感じが、とってもパワフルでエンドレスという感じです。音楽、歌とダンスが溶け合う感じで一つになっていました。ライブミュージックは体にビンビン響き、速い動きをダンサーたちは身体をフリーに使い見事に表現していました。
"LUSUS NATURAE"はRena Butler振付で、ニューヨークタイムズから引用すると「自己を非植民地化する角度からキングコングのトリオ」となるのですが、生命力の力強さ、生きている心、それらを3人のダンサーがこれまた倒れないのか?というぐらいの激しい動きで表現し、ミュージカルのように週に8回公演 1年以上のロングランは無理だろう、というぐらい激しかったです。この生き物からのエネルギーを感じ観客が一体化した後に、悲しい現実というか、ガラスを割った感じへと移行するのですが、ダンサーたちの体での表現力も素晴らしかったです。
LUSUS NATURAE
Photo by Scott Shaw (Rena Butler's Work)
THE GAME IS RIGGED
Photo by Scott Shaw (Alan Lucien Work)
Alan Lucien Øyenの"The Game Is Rigged"は、それぞれの恋愛関係の心の中やその心が見えない二人など、複雑なパートナー同士の関係を表す、シンプルなセットの前でのダンスでした。ちょうど私も独自で作る手話での振付をしていたのですが、同じような手話のようなシーンもあり、ダンサーがマイクを使って言葉でも表現していました。
ダンサーたちもマイクをつけて話し、演技をする時代になりましたね。リアルだったのでそれぞれのダンサーたちの経験からの話かな?とも思いました。
とてもシャープで何度もリピートする動きも多く、ダンサーたちは言葉と振りが一体になるように体に入っていました。
私のオンラインのコンテポラリー・クラスやニューヨーク・ダンスアーティストリーの生徒さんたちも一緒に観劇し、刺激を受けていました。やはりビデオも良いですが生は感動の大きさが違いますね!
こうやって劇場が再スタートし本当に良かったと思います。
最後は、ブルックリンのボタニックガーデンで行われている光のアートについてです。
自然の中でのアートは、風、光、土地の角度など色々と考慮しなければならず、ライトアップは夜しか行われないので、暗くならないと分からないものを広大な土地で、一つ一つライトをつけたり置いたりして、全部終えたらイメージ通りになるのを祈りながら?確信しながら、と大変だったと思います。
無料のホットチョコレートもあり、冬の夜にとても素敵な時間を過ごしました。
紙のように見えるアートもあり光が中心にありましたが、「雨の時はどうするのだろう?」と思いました。もしかしたら紙に見えるプラスチックかも知れません。風にひらひらと動いていて、ハンドメイドのような作品でした。
また、ビームで光を照らしそれを反射させて角度を変え、それもかなり長い距離までの作品もあり、歩いて行くコースはこの反射の最後からなので、「え?ビデオ?それともビームみたいだけど何処から?」と考えながら歩いていると、たった一つのビームから始まっていると分かりびっくりしました!
このほかにも音と一緒に変化する光や蝋燭での作品もあり、風が強い時はどうするのだろう?と思いました。(消防署の方が一人待機していました)
野外だと壮大で肌にアートを感じるのですが、天気によって色々と変化もあり面白いと思います。
こういうのを見ているとすぐに踊り出したくなりますね♪
私にとっての2021年は、いろいろと再スタートよりも新スタートが多く、思ったより忙しい年でした。
良い意味で自信持てるようになり、今まで経験するのに必死だったのが、自然と身に備わり良い味になってきているのが感じられましたもちろん、予想外のことやたくさん驚きもあり学んでいます。
2022年がとても楽しみです! 皆さんにとって心から光輝く年でありますように。
インタビュー & コラム
友谷 真実 Mami Tomotani
福岡シティ川添バレエ学苑、三ノ上万由美バレエスタジオでバレエを黒田バレエスクールにてコンテンポラリーダンスを学ぶ。
15歳で劇団四季に合格し、ミュージカルで活躍後、英国マシュー・ボーンのニュー・アドヴェンチャーズに日本人で初めて入団。『くるみ割り人形』では主役クララを演じ、『エドワード・シザーハンズ』『Highland Fling』(愛と幻想のシルフィード)『白鳥の湖』『ザ・カー・マン』『眠りの森の美女』に出演。
現在は、マシュー・ボーンのインターナショナルツアーの「前座公演」振付、指導を担当。『ドリアン・グレイ』日本公演のリハーサルアシスタントも経験した。また、振付家としてN.Yの全米No.1のミュージカル『フェーム』のモデルにもなったラガーディア芸術高校で『サウンド・オブ・ミュージック』や芝居の振付で活躍中。ピッツバーグ大学の『Zanna Don't!』振付やコンテンポラリーのコンクール作品振付では、N.YのHariyama Balletの2名のダンサー達が銀賞を受賞。
ブロードウェイミュージカルを学ぶN.Y のプログラム「ブロードウェイ・エクスペリエンス」(TBE)のアシスタント・ディレクター。N.YのHariyama Ballet、ジョフリーバレエでコンテンポラリー、シアターダンスを指導、カーネギー・メロン大学、プリンストン大学など 全米、日本でワークショップを開催している。
チャコットのウエブマガジンDance Cubeに「私の踊りある記」連載中。
その他出演作品は『王様と私 』(ロイヤルアルバートホール)、 劇団四季『キャッツ』、『ジーザス・クライスト=スーパースター』、『アスペクツ・オブ・ラブ』、『ウエストサイド物語』、『オペラ座の怪人』、『ハン ス』、『オンディーヌ』、スイセイ・ミュージカル『フェーム』、『ピアニスト』。 オーストリア、州立バレエ・リンツにてロバート・プール、オルガ・コボス、ピーター・ミカなどのコンテンポラリー作品。
WEBサイト https://www.mamitomotani.com/
Twitter @mamitomotani
踊りある記 https://www.chacott-jp.com/news/column/usa/
TBE https://www.thebroadwayexperience.com/tokyo